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Queen和訳4/11マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン~verse1-前半:物語の解説~

はじめに

フレディ・マーキュリー作詞のQueenの楽曲「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」の和訳・分析をしています。

前回は詩の1番の物語部分の概要を先にお話ししました。

今回は詳しい解説です。

まずは1番の前半のみです。


※注意。差別的表現が含まれます※


因みにこの解説は私がこう見えるというだけで、あなたなりの解釈を優先させてください。単語はかなりフレキシブルです。あなたとの違いをお楽しみください。



"The March Of The Black Queen"
Written by Freddie Mercury


詩(verse)の1番

You've never seen nothing like it no never in your life
Like going up to heaven and then coming back alive
Let me tell you all about it -
And the world will so allow it
Ooh give me a little time to choose
Water babies singing in a lily-pool delight
Blue powder monkeys praying in the dead of night


Here comes the Black Queen, poking in the pile
Fie-Fo the Black Queen marching single file
Take this, take that, bring them down to size
Put them in the cellar with the naughty boys
A little n*gger sugar then a rub-a-dub-a baby oil
Black on, black on every finger nail and toe
We've only begun- begun
Make this, make that, keep making all that noise
Now I've got a belly full
You can be my sugar-baby, you can be my honey chile, yes

(直訳に手直し)

あなたはそのようなものを見たことがありません、あなたの人生で決してありません
天国に上がってから生き返るようなものです
それについてすべてお話ししましょう-
そして世界はそれを許します
ああ、私に選ぶ時間を少し与えてください
睡蓮の池で喜びに歌う水の子
草木も眠る真夜中に祈る少年兵

黒の女王がやって来る、束に囲まれて、突っつきながら
ファイ・フォー! 女王様!一列に行進する
これを取れ、あれを取れ、やつらを縮み上がらせておやり
わんぱくなガキどもと一緒に地下室に入れておけ
砂糖を少しやってから、ベビーオイルをダバダバかけて
すべての手と足の爪に黒く塗れ
まだ始まったばかり
これをしろ、あれをしろ、そのすべての騒音を出し続けよ
今、私は腹がいっぱいになった
お前は私のシュガーベイビーになることができる、お前は私の愛しい子になることができる、はい


今回は、1番の詩の中でも、太字の解説です。

ナレーション

まず最初のところ

You've never seen nothing like it no never in your life
Like going up to heaven and then coming back alive
Let me tell you all about it -
And the world will so allow it 
Ooh give me a little time to choose

ナレーションが物語を語り始めるところです。

音的な部分。

韻を踏むのはlifeとalive(ラィフ・ヴ)、about itとallow it(すばらしい)、oohと(to) choose(ウー)です。


よく見るとここのverseはエル(L)だらけ。フレディの詩の特徴かも。

1,2行目は、

最後のlifeの次がlikeで始まり、次の詩もaliveの直後にletから始まる。


冒頭系はlike x2, life, alive, let, tell-you, allow, little、他にもall-about, world, willなど。単純な単語を使っているせいなのか。

1行目はエルだけじゃなく冒頭のnも多い。nothing no neverなど重ねまくっています。


3,4行目もエルが多いが、3,4,5行目は言葉がかぶさっています。フレディの初期の歌でよく見られますね。

4行目はworld-willなどwが多い。

3と4行目は非常に似ており、折り重なるように歌われるのは合っている。

Let me tell you all about it -
And the world will so allow it

太字の部分の音が似ている。about itとallow(アラゥ)itは、「アゥ」で同じ母音。

直前のallとsoは、普通に発音すると、低い「オー」と「オゥ」なので全然違う発音。特にsoは、イギリスでは最後の「ウー」の方が強調されがち。しかし歌う分には伸ばすので、どちらも「オー」となり似てくる。


5行目のtime to chooseも、time toで頭文字一致、to chooseは母音が「ウー」と一致して、とてもリズムが良い。ただし、toはしゃべり言葉では力の抜けた「タ」と発音されるが、冒頭の「ウー」というコーラスともかぶっている。


意味的な分析としては、ナレーションです。

これから始まる物語を解説しています。

一種の文学、または映画です。

これはアルバムのつくり方にも関係がありそう。


B面のサイドブラックは6曲目から始まりますが、「オウガバトル」、「フェリーフェラー(妖精木こり)の神業」は夜が舞台の昔話、ファンタジーです。

光のような、ネバーモアーと次のファニー・ハウ・ラブ・イズに囲まれ、最後にキラキラした少年漫画のアニメOPのようなライ王国の「輝ける7つの海」(詩はちょっとダーク、声も。)で終わります。

他の曲は3分くらいで、これだけ6分半超。ただし前後がつながっている曲が多い。

オウガバトルで、「今は昔、老人が僕に寓話(ぐうわ)をした、笛吹き(パイパー、ハーメルン?)が去り・・・」で始まり、一つ目の人食い鬼同士の戦いが始まる。戦い自体は言葉で語られず、サウンドと、フレディ・ロジャーさんのシャウトで表現されている。

「この戦いを刮目(かつもく)せよ」、とは、ライブやクイーンの伝説が始まることを告げているかのよう。


このように、この曲でも、前の曲のようにファンタジーが始まることを自然に示している、と思った。

見たことも聞いたこともない、天使や王国の出てくる魔訶不思議な物語。

そして話者はじらす。

しかし、全てを話してくれるという。


場面設定

Water babies singing in a lily-pool delight
Blue powder monkeys praying in the dead of night

睡蓮の池で喜びに歌う水の子
草木も眠る真夜中に祈る少年兵

ここは前回のおまけで説明した。

水の子どもたちとパウダーモンキーについて(私の要約)

水の子どもたちは、1863年にイギリスのチャールズ・キングスレー牧師によって書かれた本。煙突掃除少年トム(浮浪児・孤児)が水に溺れ、水の子に生まれ変わり、虫や女神に導かれ、徳を積んで真人間になる道徳的な話。イギリス国家の貧しい者への仕打ちや児童労働や不衛生な状態も疑問を呈したといわれる。
パウダーモンキーは、イギリス海軍で、戦闘の時に火薬を運ぶ少年のことのよう。最初にこの言葉が使われたのは航海時代の17世紀とのこと。10代前半くらいの少年水兵のようだ。火薬があると危険なので、非戦闘時は火薬は倉庫にあり、戦闘時は素早い彼らにやらせたとか。アメリカの戦争時など19世紀終わりまで実在した。

「喜びのユリのプールで歌う水の子供達」、とは、睡蓮のことで、水の子たちの幸せな様子を描いていると思われる。

「青いパウダーモンキーが丑三つ時に祈る」

これは、「水の子どもたち」というファンタジーから連想した事項ではないか。

その物語で水の子になった主人公トムも孤児で煙突掃除人なので、同じく煤だらけでしょう。

なぜパウダーモンキーはブルーな(青い)のか。ブラックなクイーンに対応しているのかもしれない。

「ブルー(憂ウツ)な」、やブルースなどを掛けている?

またはユリの「pool」とかけている。どちらも破裂音(BとP)から始まり、場所は違えどL(エル)があり、「ウー」の母音である。


パウダーモンキーも、キングスレーの疑問視した児童労働に関わります。

しかも、19世紀などにイギリスの浮浪孤児やパウダーモンキー、どちらも実在したのです。

マーク・トウェインの「王子と乞食(1881)」も16世紀のイギリスを舞台にした話で、浮浪孤児トムと王子の話です。トムは貧しさから父親に虐待され、盗みを強要されます。孤児ハックルベリーの父親も同じです。

また、ブルースはblues(ブルーズ)といい、アメリカに連れてこられた奴隷が青い空を見ると労働しなくてはいけないという憂鬱な気持ちをうたったのが起源です。ギター弾き語りが起源で、跳ねるようなリズムがあるそう。白人に気づかれないような歌詞になっています。

子供も当然労働したでしょう。


このように、目に見えない水の子たちがモネのような美しい池で楽しく暮らしている一方、現実世界ではかつてトムのような児童労働をしている子供たちが、死んだような静かな夜に眠れず、ブルーになって祈ったのでしょうか。

祈るところは、歌い方が狂気のように声が高くなり、次の女王の行進へと物語が進みます。


ここで、ライム(韻)やリズムについて。

Water babies singing in a lily-pool delight
Blue powder monkeys praying in the dead of night

太字は韻を踏んでいるとわかる。(デライト・ナイトで「アイト」)

babies、lilyは、同じアルファベットの連続。

singing inは「イngイngイn」になる。(スィ・ニ・ニ・ナのようにきこえる)N(エヌ)系多し。babiesから数えると「イ」の母音もかなり多い。

lily-pool delightもエルばっかり。

この1行だけでとてもリズムが良い。

Blue powder monkeys praying in the dead of night

は前文と同じくBとPが多い。

dead-ofでd2連続。

praying in theも前の文と同じ構造。

babies singing in a lily-pool delight
monkeys praying in the dead of night

同じくmonkeysから数えると、母音「イ」が多い。

このようにとてもリズム感あふれることがわかる。


まとめ

まとめると、詩の1番の前半は、

これから始まる物語について、まずナレーションが入り、

場面設定を話す。

場面設定では、恐らく昔のイギリス(まだ王国の権威があったころ)などが舞台で、特に焦点が当たっているのは、恵まれない子供。

人知れずうるんだ、または渇ききった目を開けて過ごす、憂鬱な真夜中のできごとだと思う。

曲調は阿鼻叫喚からピアノメインのファンタジー系に変わり、まるでちょっとダークな霊的なお話がこれから始まるのを予感させる。

ワクワク感と、隠された悲愴に満ち溢れるスタート。

ハリポタのように、ファンタジーに悲劇はつきもの。


では、次は女王(の部下)の登場です。

お楽しみに。

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