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声劇レビュー

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拝聴した声劇をレビューしたものをまとめています。
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#声劇

血を争う(2023年1月9日21時〜)

ママ:麻音
ナナ:ぎりこ

昨年、麻音さんから「これからぎりこさんと殺し合いをするので女性が1:1でバチバチにやり合える台本を書いて欲しい」とバトル・ロワイアルの北野のような言い回しで頼まれました。

平素より拙作をご愛顧いただき、やれ企画だやれ告知だの際には遠慮なく駆り出させていただいている麻音さんの頼みであったので、二も三もなくお引き受けいたしました、

お前らにうんこを食べさせたいと思います

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蝉時雨を忘れない 10/13

著作
みたに
https://mtaaaaaani.web.fc2.com/semishigure.html

キャスト
春香:himi非常にシットリしている春香だと思う。
過剰に繊細に描かず、女性の地の声をちゃんと伝えている。
中身が甘くないカントリーマアムのような質感が
モノローグに独特の雰囲気を醸し出していて
今回の上演の特色のひとつかなと感じた。
ブレスと発声を切り離さないスタンスが生々し

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20200816_メリーベルベット レビュー

20200816_メリーベルベット レビュー

(全敬称略)
こたつ作

総論瞬間的な雰囲気のシフトを
二人とも全く同じタイミングとペースで
きれいに行っていると思いました。
雰囲気が変わる瞬間に
それぞれの役者間でタイムラグがないんですよ。

メリーが落とした瞬間ナタリアがそこのテンションに
スッと合わせて、逆もまた然りで。
この二人のタイマン劇、受けの技術が
めちゃくちゃ高いと思いました。

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2020_0812 セルリアンブルー・エアー レビュー

2020_0812 セルリアンブルー・エアーレビュー
(全敬称略)
揚巻 作

総評二人のお芝居の解釈がとても近く
距離というテーマをしっかりと表現できた
佳い上演だったと思いました。

先手後手・仕手受手の区別はちゃんとされてますが
その上で、お二人のフィーリングが似ています。
この台本においてとても重要な点だと思いました。

女1と女2の距離感がありすぎると
このお話の空気感が出ないので
実は

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2020_0810声劇台本based on 落語より『真田小僧』レビュー

2020_0810声劇台本based on 落語より『真田小僧』レビュー

(全敬称略)
原作;古典落語『真田小僧』
台本化:くらしあんしん

総評小気味よい調子(リズムではない)と
ちょいと口先が曲がったような言い回し。

トントンと積み上がっていくこの
落語の雰囲気っていいですよねぇ。

本来は一人の噺家さんが
二役で上演するものなのですが
このお二人の調子は落語らしく
立て板に水そのものでし

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2020_0809劇団摂氏零度第5回本公演『痴人の愛』レビュー

2020_0809劇団摂氏零度第5回本公演『痴人の愛』レビュー

(全敬称略)
羽白深夜子 作

総評眩しいくらいの若さの余白と
いつまでも響く切ない余韻が
なんとも言えない掌編でした。

構造的なテーマとしては
観客に、短時間の上演で
どれだけ鮮烈に強い印象を焼きつけられるのか
というところにあるのかなとさえ感じました。

この短さ、潔さが青春の儚さを
いっそう端的に強調していると感じました。

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2020_0808 tRisEleレビュー

2020_0808 tRisEleレビュー
(全敬称略)

揚巻 作

総評極めてドラマティックなトリスケルだったように感じます。

私はこの台本のいいところを
三者三様に全力で感情をぶつけられる
ところにあると思うのですけども

このトリオはそれぞれが
異なる属性を発揮しながら
特徴を際立たせてお芝居をしていました。

全ての登場人物に濃厚に特徴が出ているんですね。

トリスケルにありがちな

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2020_0807 パラノーマンズブギー外伝『帽子を深くかぶると』レビュー

2020_0807 パラノーマンズブギー外伝
『帽子を深くかぶると』レビュー

(全敬称略)
ススキドミノ 作

総評今までのパラブギとはまた違う雰囲気の
外伝にふさわしい作品だったと思います。

岩政悟と佐野の直球同士のぶつかり合いに
母として徹する幸子、密に入りすぎない酒井と
各キャラクターが外伝という作品の属性を
逸脱しすぎていない、連続シリーズの中の
一つの劇としてちゃんと一線引かれた上演

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2020_0806 tRiskEleレビュー

2020_0806 tRiskEleレビュー

(全敬称略)
揚巻 作

総評三者三様に激情をぶつけ合うトリスケルもあれば
組み合わせと連携の妙を味わうトリスケルもあります。
トリスケルは精神と時の部屋です。

今回のトリスケルは非常に技巧的でした。
ご本人たちが意識したかどうかはさておき
直球の球速や勢いだけを追うのではなく
少しテンポを落としても響く演技を選んでいたように思いました。

トリス

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2020_0731 斯くして王は供物を喰ったレビュー

2020_0731 斯くして王は供物を喰ったレビュー

(全敬称略)
羽白深夜子 作

総評総じて、各役者たちが稽古の中で
『自身が咀嚼したキャラクターをしっかり演じた』
という感想を抱きました。

構成や連携の妙というよりも
『各々が斯く捉えた』という像を
舞台の上で踊らせるような上演でした。

ある意味では、
ワンオフで、かつメンツを固定している
摂氏零度の上演とはまた違う
化学反応が起こると

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2020_0806 幸せとお願いレビュー

(全敬称略)

2020_0806 幸せとお願いレビュー
みたに作

総論それぞれの役者がそれぞれの役を
非常に大切にして丁寧に演じた上演だと思いました。

例えば、モノローグ一つに比較しても
ブライトが語る世界観とエイミーが語る世界観は
しっかりと違うんですね。
これはそれぞれの役者がちゃんとして
その役から見た世界観を語ってるからこそ
起こる素晴らしい現象だと思います。

エイミー:南 可奈に

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2020_0801 スクリーンに一輪レビュー

2020_0801 スクリーンに一輪レビュー

(全敬称略)
羽白深夜子 作

総論開幕前のアナウンスという手段を使われました。
なるほど、こういうやり方も良いですね。
ムードたっぷりにストリングとテノールを鳴らしながら
上品な案内が、私が今観劇の席にいることを
優しく伝えてくれます。

このキャストでのスクリーンに一輪は
幻想的な雰囲気を終始湛えたまま
役者それぞれの特性とキャラクターを活かして

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2020_0607 劇団摂氏零度第二回本公演 スクリーンに一輪〜夜〜レビュー

(全敬称略)

2020_0607
劇団摂氏零度第二回本公演
スクリーンに一輪〜夜〜 レビュー
作 羽白深夜子

総論方法論になってしまうんですが
まず、出囃子の使い方が巧妙です。
開演ブザー前に隠し球のようなフックで
煮えてきた観客の意識を一回はたきます。

この台本そのものは尺もさほど長くなく
登場キャラクターも三人のみ。

限られたリソースの中で
どれだけリアリティを積み重ねて
首を締めてく

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7/28 パラノーマンズ・ブギーEP6「大馬鹿者」レビュー

(全敬称略)

7/28 パラノーマンズ・ブギーEP6「大馬鹿者」レビュー
ススキドミノ作

総評これまでに出演したキャラクターが
時系列を行き来して様々な変化を湛えて
舞台に現れるエピソード6。
これが長編シリーズ物の醍醐味であり、
また同時に、難しいところだとも思いました。

大乱闘のダイナミズムというよりは
これまでに飛び散った様々な破片を
拾い集めていくような、
どことなく静けさのある一幕

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