20200816_メリーベルベット レビュー

20200816_メリーベルベット レビュー

(全敬称略)
こたつ作

総論

瞬間的な雰囲気のシフトを
二人とも全く同じタイミングとペースで
きれいに行っていると思いました。

雰囲気が変わる瞬間に
それぞれの役者間でタイムラグがないんですよ。

メリーが落とした瞬間ナタリアがそこのテンションに
スッと合わせて、逆もまた然りで。
この二人のタイマン劇、受けの技術が
めちゃくちゃ高いと思いました。

メリー・N:えみごんに関して

妙齢であることをしっかりと伝えてくれる声と演技をしてます。
若すぎない年齢設定ながら天真爛漫さを放つ女性を
どれだけ嘘っぽくなく演じられるか、
味付けが難しいところをしっかりと判断して
キャラクターを立てています。

モノローグの際に舞台から少し離れたような
ほんの少しの距離感を加えるのが最高にうまいです。

終幕に向けてはお芝居の温度を一旦下げて
諦観と許容を見事に体現しています。

陰のある大人の女っていいよな!

ナタリア:くろつばめに関して

冒頭では、執事という立場から女性性を減らして
中性的な声と演技を出しています。
暗転後はしっかりと個人としてのナタリアを描き分けています。
モノローグの際の、鼓動を感じるような独白は
観客を惹きつけました。

終幕に向けて絞り出される激情は
銃弾の火薬のようにキリキリと物語を結末に歩かせます。

ナタリアの息苦しさと苦悩が伝わる良いお芝居でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?