蝉時雨を忘れない 10/13
著作
みたに
https://mtaaaaaani.web.fc2.com/semishigure.html
キャスト
春香:himi
非常にシットリしている春香だと思う。
過剰に繊細に描かず、女性の地の声をちゃんと伝えている。
中身が甘くないカントリーマアムのような質感が
モノローグに独特の雰囲気を醸し出していて
今回の上演の特色のひとつかなと感じた。
ブレスと発声を切り離さないスタンスが生々しく
本作でいうところのプラトニックをよく表している。
劇が進むにつれて少しずつ感情を加速させる
表現のアクセルワークがとても丁寧。
オンオフで急加速するのではなく
ジワジワと熱っぽくなっていく。
先生に小百合との質されるあたりから
いよいよ発火するような感じが出て
ああ、こういう春香もいいなああああ!!となった。
先生:SEN
変に繕うことなく出る渋み。
恰好をつけて苦み走った声を出すのではなく
ちゃんと雰囲気として先生を描いている。良い。
リズムキープがとても安定しているので
表現と相まって劇全体をしっかりまとめてる。
全体的に『余裕がある』と感じる。
ここ最近に拝聴したいくつかの上演ではもう少し
彼の抱える揺らぎを表現した演技が多かったが
この方の先生にははっきりとした余裕がある。
ある意味で諦観と言ってもいいと良いと思う。
小百合:麻音
底抜けに明るい、とはまるで異なる意味の
底のない明るさを感じさせる。
上は明るいんだけど、潜るほどに暗くなっていくような。
朗らかさとは違う、含みと澱がある演技だと思う。
個人的な意見だが、台本から汲み取れる小百合のデザインは
そんなに選択肢が多くないと考える。
平坦になりがちな冒頭の流れをちゃんと弾ませて
その中でも、表面的には明るいのにざらついた後味が残る表現は
小百合という役割を考えると実に的を射た解釈だと思う。
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