2020_0812 セルリアンブルー・エアー レビュー

2020_0812 セルリアンブルー・エアーレビュー
(全敬称略)
揚巻 作

総評

二人のお芝居の解釈がとても近く
距離というテーマをしっかりと表現できた
佳い上演だったと思いました。

先手後手・仕手受手の区別はちゃんとされてますが
その上で、お二人のフィーリングが似ています。
この台本においてとても重要な点だと思いました。

女1と女2の距離感がありすぎると
このお話の空気感が出ないので
実は一番これが重要な要素かもしれません。

物理的な距離が遠く離れてもこの距離感があれば
別に飛ばなくてもいいんです、飛べるんです。

女1:麻音に関して

適度な脱力感を漂わせながらも
発声自体を脱力させてないです。

力みなく自然に演じようとすると
なんかただダルそうなだけになってしまう
こともあるんですが
そういう崩してはいけないところは
ちゃんと守っていて、本当の意味で
演技の自由度を保っていると思います。

今回の上演の旨味は
中盤の「そうね」の一言に集約されてます。

生きてりゃ人生色々あるわけで、どちらにでも振れる
どちらでも選べるという「そうね」には
基本と節度を守った上での自由な演技がないと
なかなか深みは出ないよなぁと感じました。

女2:くろつばめに関して

個人的な推察ですが、このかたはややかぶせていくような
インファイトめなお芝居を好むように感じました。

ゆったりとした時間感覚を持った台本なので
このスタンスのおかげで前半で間延びしなかったです。
ひょっとするとこれを予想した振る舞いかもしれません。

低めの声に個性と存在感があるタイプの方だと思いました。
それと、疑問形で相手に尋ねたときに声がフッと浮くんですが
このフッと浮かび上がる感じがすっごくリアリティがあります。

実生活での疑問形ってこういう風に聞こえます。
ボールを下手で投げて相手に取らせるような
この浮き上がり感って実に自然な感じなんですけど
出している人あまりいないと思います。

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