7/28 パラノーマンズ・ブギーEP6「大馬鹿者」レビュー
(全敬称略)
7/28 パラノーマンズ・ブギーEP6「大馬鹿者」レビュー
ススキドミノ作
総評
これまでに出演したキャラクターが
時系列を行き来して様々な変化を湛えて
舞台に現れるエピソード6。
これが長編シリーズ物の醍醐味であり、
また同時に、難しいところだとも思いました。
大乱闘のダイナミズムというよりは
これまでに飛び散った様々な破片を
拾い集めていくような、
どことなく静けさのある一幕でした。
妖紅:上野 桃香に関して
幼女で数百歳の妖怪という
設定数の多いキャラクターを
しっかりと立てて演じています。
裏側に入ってくるような、刀でいうところの
刃を上に、峰を下にしたような声だと思います。
実にわかりづらいと思うんですが
何気なく触れられそうで、その実すごく切れる声をしています。
田中/芙蓉:るふに関して
ストーリーにおけるジョーカーの役回りであり
最後の切り札としてクローザーとして活躍し続けた
『エブリタイム田中』にふさわしい
ハードな舞台が与えられたと思います。
これまでのお世話掛のツケを返すように
派手に暴れる田中に、きっとこの方は
思いを重ねて思う存分やったのでしょう。
初めて田中というキャラクターに
『自由』さを感じる演技でした。
二役目の芙蓉は打って変わって
若々しく瑞々しい演技を選ばれてました。
むしろあどけないとさえ言っていいほどです。
芙蓉の朴訥さをストレートに表現していると思います。
栄:机の上の地球儀に関して
ストーリーの経過とともに
栄がしっかり成長したという側面を
しっかりと訴えかけてきています。
キャラクターとしては成長はしているが、
純粋な演技としては比較的濃い目に、
これまでの紅一点の花から
中心キャラクターのそれに比重を移した感がありました。
李:速見 誠人に関して
融通の効かない実直さを声と芝居で
よく表せていると感じました。
一方で、大きく絞り出した時も声が濁らず
清廉さを失っていません。
少し早めの間合いとタイミングを好み
いいリズムで劇を加速させてくれています。
特筆すべき点として、
後半の穏やかで柔らかな振る舞いは
ブレス音のコントロールがとても精緻で
耳に緊張感を与えずに聴かせてくれました。
浜渦:リバーに関して
ふてぶてしさと逞しさを両立させた
アウトロー臭のするカッコよさだと思います。
三枚目の演技が三枚目にならず
中途半端な二枚目や四枚目になってしまうことがあるが
この方の場合、きっちりと三枚目感が出てます。
この太々しさとアウトロー臭で
きっちりと狂言回しを務めておられます。
いい仕事してます。
速見/清平:ススキドミノに関して
今回の速見の声と演技は
男の色気よりも落ち着きが前に出ていました。
こういう細かい演技の配分がとてもお上手だなと思います。
肉食獣が喉を鳴らすような仕草で
下から蹴り転がす声の出し方って
悪役っぽくてかっこいいですね。
首引童子:さくやに関して
邪悪さと妖艶さをこれでもかと
練り込んだ口当たりの良い和菓子のような声をしています。
下世話にならず、過剰にならず、品があります。
声自体も艶があるが、演技に息を混ぜても
耳障りにならず、中低音もよく響く優秀な声だと思います。
ニコル:赤池 つばさ(摂氏零度)に関して
今回の赤池はいい感じの年増感が出ています。
こういうデザインできたか!と
虚を突かれた感がありますが、実に劇によくなじんでいます。
毎回毎回しっかりとプログラムごとに
演技のキャラクターに差をつけているのは素晴らしいですね。
ハイハーイ♪が本当に好き。ハイハーイ♪
N・軍曹:オルット3に関して
今回はまさかの二役(少ないという意味で)
最後の最後まで舞台を引っ張り続けた
オルット3さん、大変お疲れ様でした。
色々なキャラクターが右に左に
交差していく長編劇を
糸のようにまとめた素晴らしいナレーションでした。
音響はガロとゆう兄
動画はアダツさんでした。
連続シリーズお疲れ様でした!
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