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クイーンズ・ギャンビットがぶっ刺さった話



Netflixオリジナルの「クイーンズ・ギャンビット」が人生の縮図すぎて刺さる内容だった。
人生大逆転ストーリー、チェスの勝負事としてのストーリー、最近流行りのアダルトチルドレンに焦点を当てたようにも見えるので色んな角度から楽しめる作品だと思う。


表面的な内容だと、孤児だった少女がチェスの才能に目覚め世界王者ボルゴフに勝つため何度破れても立ち向かうといった至ってシンプルなストーリー。

…なんだけど、見ている内に思ったのは
これ最終的な敵ってボルゴフじゃなくて主人公ベス自分自身では?ということ。
そう解釈すると物語の見方が変わり、見終えた時の爽快感や充足感が最高だった。


相手を打ち負かす為のストーリーはよく見るし、その過程で得る友情や成長、勝った時のスカッと感も楽しめる作品が多い。


が、自分自身と戦い愛や信頼を体験しながら過去を乗り越えていく核心をつくも平凡なストーリーで親近感が湧きつつも、「チェス」×「天才」という異端設定の矛盾に溺れそうになる感覚は他の作品とは違った魅力がある。



以下、ネタバレ📢



\  私的、心に残ったシーン3選  /


継母の死

普通にびっくりした。あのタイミングで亡くなると思ってなかった。
シャイベルさんに始まり、継母。
継母が亡くなった後にベルティック。
と別れはありつつもなんだかんだ必要な時に手を差し伸べてくれる人がいるというのは私たちのリアルな人生にとってもあるあるだ。
「やっぱり私(ベス)って孤独な人生なんだ」と捉えるか「必要な時に必ずそばに誰かいてくれる。周りの人に感謝だ」と捉えるかできっと世界の見え方は全然変わってくるんだろうなと感じた。
過ぎ去ったあとではなくリアルタイムでそれに気付ける自分でありたい。難しいけど。



セックス後のベスの微妙な表情

セックスシーンは3回あったが毎度ベスが
(^^;)?って顔をしてたのが印象的だった。
最初はチェスしか知らずに生きてきたから、セックスよりチェスで一戦交えた方がベスにとっては相手をよく知れるんだろうな〜くらいに思っていたが
よくよく考えると、そもそも愛情というものを知らずに育った上に孤児院で薬物依存症にされたベスにとって、愛情とか自分を大切にするなどなんのこっちゃという感じなんだろう。
初体験はまじでよくわからんモブ男と済ましたシーンによく表れてると思う。
ベルティックとベニーはベスを愛してたが、ベスは愛の受け取り方がわからない。
ベスなりの愛のお返しがチェスで勝つことだったようにも見えるが、結局どちらともそれにより破局している。
アダルトチルドレンの特徴である、愛情不足による自尊心の低さをセックス後の微妙な表情で表すのはオシャレだなと感じた。



ジョリーンとお喋りシーン

「ここは深い穴の底のようね。自分で掘った穴よ。掘るのをやめることね」
「こういう性分なの。母も病んでた」
「もう死んだ人よ」

という会話。冷水をぶっかけられたような、でも心に来るものがある1番好きなところ。
ところどころに挟まれる幼少期のベスの記憶にいる母はいつも泣いてるか怒っているかで不安定な人。
母は男に依存していたし病んでた、だから自分も酒や薬に依存するのも仕方ないとベス自身が自分を諦めていることが露わになったシーン。
何年も苦しみのもととなっていた母の存在を、言葉にしたのは最終話でジョリーンにだけというのもエモい。
そしてそれを「もう死んだ人」と一喝で終わりにしてくれたことは、ベスにとって呪いから解かれたような、目が醒めたような人生が切り替わる瞬間のように見えた。



知らないところで応援してくれてた人がいたこと
困った時に助けてくれる人がいること
ベスが今までずっと取り憑かれてた孤独感や不足感が、ジョリーンとの再会とシャイベルさんの死ににより払拭され、ようやく自分で自分の足で立って戦えるようになったことが、ボルゴフとの対戦前日に薬を捨てるシーンと、対局中の深呼吸からの天井チェスのシーンに表れていてとてもゾクゾクした。



ベスは過去に苦しみ最終回前まで自己破壊的な行動を繰り返すが、チェスを通した多くの人との関わりの中で自分自身の闇を乗り越え、自分の居場所を見つけ完結するストーリーは、アダルトチルドレンが溢れる現代人にとって前向きになれる作品でもあり、
当時チェスは男性がやるものとされる中で、堂々と対等に戦うことで自分の道を切り開いていくベスに勇気をもらえてなんだかちょっと強気になれるそんな作品だと思う。

チェスは私は全然わからんけど、役者さんの表情や画面の移り変わりでなんとなくどんな戦況なのか理解させてもらえる。
服装や街並みやコントラストの低さなどもオシャレで全体的に魅了される。

多分これは2週目がより面白く見れる作品な気がするので、また少ししたら見返そうと思う。


最高な作品をおすすめしてくれたお友達に感謝。
溢れる感情を書き出してスッキリした。

おわり。

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