見出し画像

梅雨に思う、ステレオタイプな秋

関東の衣替え。夏は6月1日から1週間前後。冬は10月1日から1週間前後。つまり夏は最長、10月7日まであることになる。
そう、服装は、体感は、10月はまだ夏なんだ。気象庁がどんなに「夏は8月までですよ」と言ったとて、ずーっと前から10月は夏! 夏と言ったら夏なの!
そして12月から冬が始まる。気象庁がそう言ってるから始まるのではなく、服装は、体感は、12月はもう冬なんだ。12月に秋の格好をしていたら恥ずかしい! 冬と言ったら冬なの!
10月、11月、わずかふた月足らずしか、秋はない。
昨今、「最近、秋が短くなった、秋がなくなった。夏が終わったら冬だね」なんてことをよく耳にする。けれど、昔っから秋なんて「あっ」と言う間すらなく終わっていたわけ。

8月31日、夏休みの終わりと同時に秋が始まる。そして紅葉、食欲、読書、運動、『クレイマー、クレイマー』で母と子が抱き合うシーン、そんな風景が訪れる、なーんて思っている人は少なくないはず。
あるいは、『ちいさい秋みつけた』の歌詞やメロディを思い出す人もいるかも知れない。ってなわけで、どこまで秋を感じる歌詞なのかを見てみよう。

『ちいさい秋みつけた』
作詞 サトウ・ハチロー

だれかさんが だれかさんが だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ
すましたお耳に かすかにしみた
よんでる口ぶえ もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた

だれかさんが だれかさんが だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
おへやは北向き くもりのガラス
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた

だれかさんが だれかさんが だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた
むかしの むかしの 風見の鳥の
ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ 
はぜの葉赤くて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋 ちいさい秋 みつけた

ちいさい秋みつけた

物悲しいメロディに、百舌鳥やハゼの葉など秋の季語が散りばめられていて、さらには秋を連呼している。これこそが秋のステレオタイプの最たるものだろう。

だがしかし、9月から10月上旬は秋雨前線が日本列島に張り付いている。梅雨より降水量の多い秋雨がザーザーと。湿気がジトジトと。さらに、9月から11月は台風シーズン。下手すりゃ死者すら出る。
これが秋、ニッポンの秋。鬱陶しく、そして凶暴だ。
最近、秋が短くなった、秋がなくなった。夏が終わったら冬だね」なんて言ってる人は、実のところ秋なんて気にしたことないんじゃないかな? いや、絶対に気にしてない。

夏休みが終わるガッカリ感や、夏休みを勝負時としている受験生の焦燥感が、9月から秋が始まると勘違いさせるのだろう。ステレオタイプな秋を想起させるのだろう。

よくないよ。ステレオタイプで物事を見るのはよくない。差別の始まりだ。
ダメ、差別、絶対。
こういう小さなところから、差別って始まるんだと思う。小さい秋から差別って見つかるものだと思う。秋から差別が始まる。あ、小さい秋から差別を見つけた。
んなわけあるかい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?