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ユダヤ人、屋根の上のバイオリン弾き、丹下左膳

ポグロムと言えば帝政ロシアから旧ソ連時代にかけて行われたユダヤ人迫害、弾圧、虐殺のこと。とりわけヨーロッパの東側、ロシアの西側で行われていた。具体的に言うと、ドイツ、ベラルーシ、モルドバ、ポーランド、そしてウクライナなどなど。

そんなウクライナ系ユダヤ人(ユダヤ系ウクライナ人か? ユダヤ系ソ連人か?)が暮らす村は、しきたりを重んじる。ユダヤのしきたりである。しきたり、しきたり、しきたり。
「しきたり!」で始まる物語がある。『屋根の上のバイオリン弾き』だ。内容はショーレム・アレヘイムの『牛乳屋テヴィエ』を読んでいただければいい。あるいは芝居か映画で観るか。
それも面倒な人はマルク・シャガールが描いた『 屋根の上のバイオリン弾き』を画像検索していただくと助かる。
この話、あるいは絵画はポグロムが描かれている。それはそれは恐ろしいポグロムが。血の足跡がこわいんですぜ。

さてさて、そんなユダヤ人、今度はナチスドイツからの迫害、弾圧、虐殺にあう。ホロコーストだ。ダッハウなりアウシュビッツなり色んな強制収容所にぶちこまれたけれど、生き残った人々もいる。そんな人たちが解放されてテクテク我が村、我が家に帰った。そこで待っていたのはポグロム。
ポグロム、ホロコースト、ポグロム、とまあ近代になっても迫害され続けている。

そんなポグロムしまくっていたウクライナ。その国の大統領が今やユダヤ系のゼレンスキーである。ゼレンスキーの出身地ではユダヤ人迫害は行われなかったそうだが、しかしウクライナも成長したのもだ。と偉そうに言っちゃったりして。
と思っていた矢先、ロシアによるウクライナ侵略。からのイスラエルに対するハマスのテロ。大変ですな、ジューイッシュは。

Jewish。そうユダヤ人。差別的な言い方で、Jew。ジュー。ハンバーグ師匠ではないが、ジュー。十。10。
丹下左膳の生みの親、林不忘こと長谷川海太郎が1920年代のアメリカを『めりけんじゃっぷ』に記している。アメリカに行った彼は、人種にランクがあると気づく。もちろん白人がトップで黒人がボトム。で、白人の中にもランクがあると気づく。そして白人の中で一番ランクの低い人たちが「ジュー」と呼ばれていることを知る。
彼は日本人コミュニティで「九一(くいち)さん」と耳にする。9+1=10。すなわちユダヤ人に対する隠語を耳にした。

彼らジューイッシュは、一聞すればユダヤ人だと分かる特徴的な名前を持っているため、名乗る時から勝負が始まるという。ひょっとすると在日コリアンもそんな気持ちなのだろうかと想像を膨らませる。通名を使っていたら別だが。

こんなユダヤ人にまつわるエピソードを羅列すると、丹下左膳が屋根の上で「シェー(姓)は丹下、名はシャゼン(左膳)」と言っている姿が見えるのは私だけだろうか? ああ、私だけだ。
久々に『百万両の壺』でも観ようかしら? もちろん山中貞雄監督の。矢場ってそういうところなんだね。「矢場とん」って・・・と話がそれ始めたので、ドロン。