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人との接し方1「勇気づけ」

 前回「勇気づけ」の重要性を説明しそのため3つの
 ①貢献に注目
 ②過程(プロセス)を重視
 ③失敗を許容
 以上の方法があるとした。ぞれぞれを説明します。

※アドラー心理学:アルフレッド・アドラー(1870~1937)の「人間知」(人間に関する具体的·実践的な知恵)についての思想、心理学理論·技法の総称

貢献に注目

 褒める場合「君は優秀だ、すごい、よくやった」「○○してくれて偉いね」という個人の能力や偉大さに注目した言葉を使うことがある。
「勇気づけ」では、「おかげでとても助かった、ありがとう」「出張中、○○してくれてありがとう」という、

他者や社会への貢献や協力に注目した言葉使い」をする。

 アドラー心理学では、社会との繋がりで人は成長し、社会の中に自分の居場所を獲得していくことを重視する。そこで、自分の能力を自分のために使うことを推奨する、というより能力の使い道として他者への貢献や協力に焦点をあてる。職場や家庭での関わりの場面で、「自分のことだけ考えろ(他人のことは心配しなくていい)」というよりも「〇〇さんのことが気になる。私たちに出来る事は何だろうね」と他者との繋がりのなかで、どうしていくのかを共に考える。このような関わりを考える。つまり、自分にだけ関心を集中させていくのではなく、仲間や社会へと関心を拡げていくことを重視し、自分のすることが社会(全体)と関わり合い、自分が社会に影響を与えているという意識を育てていく。

 この意識をアドラー心理学では「社会的関心」(共同体感覚)と言う。

 いきなり、社会・国家・世界等の大きなものに関心を持つように関わっていくよりも、まずは身近な関係、例えば職場や家族における関係で貢献度や所属感を持つことが出来る。そのことが「社会的関心」を育てる近道であると考えらる。
「勇気づけ」とは「私は社会に貢献する能力がある」という価値観を育てることを意図し、単純に能力を伸ばすための関わりではないと考える。

過程を重視

 褒める場合は、結果を重視することが多く、相手が優秀な成績をとってきたら「優秀な部下(子ども)を持ち嬉しい」という言業を使うことがある。

 アドラー心理学では、結果を出すまでのプロセスを軽視しない。仮に結果が悪かったら場合、認められないと認識してしまう副作用があると指摘する。過程(プロセス)を重視して言葉を使う場合、「努力していたのを見ていたよ、頑張っていたね」という言業を使う。
 この過程(プロセス)の重視は、努力を続けることが大事であるというメッセージになる。また、人間は結果に至る自分の工夫、他者との協力、予期せぬ事態への対処等、過程(プロセス)から学ぶことが多い。よって、そこでの学びに目を向けていくという言い方とも言えます。

失敗を許容

 アドラー心理学では、人間は不完全な存在、壁ではなく、努力を統けることで進歩できる、という考え方を重視する。失敗を怖れて挑戦しないことは「教育の失敗」であるとしている。実際に失敗をしないことに越したことはない。しかし、人間は失敗することはある。一人では解決出来ない困難な課題もある。
 そこで、失敗をどう立て直すか、どのように繰り返さないか、と失敗やうまく出来ないことを受け入れ、必要ならば他者に接助を求める等、挑戦(再挑戦)していける人を育てていくことを重視する。
「失敗したら何にもならない」「結局うまくいかなかったじゃないか」という失敗を咎めるような「困難を甘受する気力を奪う言い方」ではなく、
「残念だね。努力していたのを見ていたよ」と失敗を受け入れてる言い方を用いることが大切である。その上で「○○をやっていたのは、よかったと思う」と過程(プロセス)の中でよい所に注目する言い方や「どの辺が上手くいかなかった?」と失敗を一緒に見ていく事や「次はどうやろうか?」と、共に作戦を練るという言い方がよい。要は「失敗をした、もうだめだ、無駄だ」と接するのではなく、相手が努力を統けることを願い、エールを送るのです。相手の今後にも繋がるような温かい関わり、決して相手や結果をこき下ろさない、挑戦する勇気は奪わないうようにすることが大切です。