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ヤマハの「サイレントギター」~ユーザーが本当に欲しいもの~

 日経電子版の記事【ヤマハ、音の小さなギター2種を投入 夜間でも練習】は、①一般的なアコースティックギターと比べ音量を約2割に抑えながらも、②自然なアコースティックギターに近い深みのある音色を実現した、③共鳴部分がない「サイレントギター」に関するものです。



 このごく短い記事を一読して「なるほどな~」と思ったのは、そもそも、ギターの使用時間の大部分は『練習』じゃないか、というものです。

 コンサート、コンテストなどの本番でギターが使われるのは、総体的に見ればほんの一瞬のハレの舞台……だとすれば、大部分を占める『練習』で思う存分使いこなせるギター、それこそが本当にユーザーの求めているものなはずです。



 ……ところが、実際には、普通のアコースティックギターでは、音量の問題から、夜間の練習ははばかられる訳です。これでは、昼間働いている人には厳しい、練習時間が取れない……

 ここで「仕方ない」と諦めるのではなく、共鳴部分を無くしてしまう、というイノベーションを起こせたことは、確実に、今までギターに興味はあっても、時間的制約(自由な時間は夜しかない)などから馴染んでこなかったアコースティックギター予備軍を取り込むことに繋がりそうです。

 ユーザーが本当に欲しいもの、そのインサイトに迫ることがイノベーションに繋がる、「サイレントギター」はその好個の一例だと思われます。




#COMEMO #NIKKEI

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