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長くなる鼻、のばさない鼻~顧客に最適化する~

 日経電子版の記事【新幹線のび~る鼻、半世紀で4倍の切実な事情】は、世界に冠たるShinkansenも、技術至上主義が過ぎて、あまりに国内市場に特化してしまうと、ガラパゴス化して海外輸出が思うように進まなくなるような事態に警鐘を鳴らしています。


 確かに、記事で紹介される新幹線の「長鼻化」には、『高速化』だけでなく、トンネル突入時の圧力波を抑え騒音を軽減する『低騒音化』という目的がある訳で、トンネルが少なくて済む地域への輸出には不要なデザインということになります。日本の特殊事情に最適化している新幹線を、真に世界の『Shinkansen』として輸出するには、何よりも、自分がその国の住人になったつもりで、その国に必要な高速鉄道『Shinkansen』を一からデザインする姿勢、顧客への最適化こそが必要なはずです。

 記事にあるように、輸出相手国の状況に対応し、相手の求めているテクノロジーとコストを見誤ることなくデザインした『Shinkansen』でなければ、商談を成功に導き、受注を獲得することは難しいと考えられます。『Shinkansen』に求められているのは、日本での成功事例ではなく、「日本でこれだけのことが出来たのだから、我が国でもその状況に合わせた高速鉄道を作ってくれるに違いない」という相手国の期待への変化対応力であることは間違いありません。


 大きなプロジェクトに限らず、モノであれ、サービスであれ、同じような事例は『Shinkansen』以外にも数多くあるはずで、輸出企業には、日本の優れたテクノロジー、ビジネスモデルをガラパゴス化させない現場対応力が求められていると思います。

 日経電子版にも、海外で苦闘する企業に関するリポートが頻繁に掲載されます。印象に残った記事としては、【いきなり!ステーキ 米店縮小、安さ受けず】や、少し古いですが最近見付けた【「10人会って10人採る」が理想 メルカリの新卒採用】があります――


 日本企業は、『新幹線』を『新幹線』のまま輸出するのではなく、相手国の事情に合った『Shinkansen』に作り変える必要があるのは明らかです。

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