《連続投稿481日目》サブスクとは何か?~時間を買う~
日経電子版の記事【サブスクで曇る「経済の鏡」 揺らぐ統計、政策に影も】は、所有から利用へと『コト消費』の潮流が進行する中、サブスクリプションとは何なのか、その本質を問い直すきっかけを与えてくれる骨太のリポートだと思います。
消費のあり方の所有から利用への変化について考えるには、まず、そもそも『所有』とは何なのか押さえておく必要がありそうです――人は何故所有するのか?――。
そこには、おおむね2つのニーズがあるのではないでしょうか――
▶『所有』する事のニーズ
(1)直接的なニーズ・・・愛着その他の理由で、所有する事・コレクション
する事・モノを排他的に独占する事自体が目的。
(2)間接的なニーズ・・・そのモノを排他的に独占して利用する事を目的に
(そのための手段として)所有する。
つまり、直接的なニーズ、コレクション目的でない限り、『所有』という手段を使わずに間接的なニーズ、独占的な利用が達成できるなら、そもそも『所有』にこだわる必要はない、という事になります。
確かに、モノを独占的に利用するには、『所有』という形態が最も簡便で分かり易く、また、つい最近までは、『所有』以外の形態で独占的な利用ができるようなサービスがあまりなかったかも知れません。
しかし、『所有』という消費形態には、モノの陳腐化・故障・メンテナンス、税金など所有に関わるコスト・飽きてしまう・失敗した買物など様々なリスク要因があって、そのようなリスクを回避できる、サブスクなど『利用』そのものを追求したサービスのもつベネフィットにはかないません。モノを所有することそのものにこだわらないのなら、一定の期間独占的に利用できるサブスクのようなサービスには、『所有』に勝る優位性があるのです。
さらに、モノのサブスクということでは、忘れてならないのは、『所有』できないような、『所有』がためらわれるような高額品・高級品にも手が届き、期間を限って利用が出来る、という点です。
その意味でも、サブスクは、『モノ消費』社会よりも流動的で、変化のスピードが速く、民主的と言えるかも知れません。
そして、当然のことながら、サブスクには、モノのサブスクだけでなく、サービスのサブスクもあります。一回限り買い切りのサービスではない、サブスクのサービスは、モノのサブスクの場合と同様に、一定の期間の利用が保証されたサービスです。
この点はきわめて重要で、モノのサブスクにせよ、サービスのサブスクにせよ、サブスクという消費形態は、プロダクト(モノ・サービス)を利用する『時間』を買う、という消費形態とみることもできます。
サブスクリプションが、モノでもなく、サービスでもなく、時間を買う消費の形態だとすれば、その価格の概念、統計的な評価も、『サブスクの時間の価値』として表されるのかも知れません。
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