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インバウンドにプランBを!

 日経電子版の記事【東京駅、運行再開も混乱 途方に暮れる訪日客も】は、台風19号明けの交通機関の乱れに関するリポートですが、訪日外国人という事に絞って言うなら、次の一節には胸の痛むものがあります――

(記事より)
東京駅構内では諦めたように座り込む外国人が目立ち、外国語での案内方法に課題が残った。



 ……諦めて座り込んでしまう、というのは、完全に選択肢を見失ってしまった状態で、茫然として時の過ぎるのを待つしかない状況です。

 もし、自分が、例えば、海外でハリケーンに遭遇し、交通機関の状況が全く把握できず、言葉も満足に通じない状態に陥ったら、今夜どこに泊まればいいんだ、日本に予定通り帰れるんだろうか、などとネガティブなイメージが次々に浮かんできて、怖いな~と思う……。せっかく時間とお金の工面を付けて憧れの異国の地を訪れたのに、その期待と現実のギャップの大きさを思うと、諦めて座り込んでしまうという状態には同情の念を禁じ得ません。



 昨今の異常気象の激化などを真摯に受け止めるなら、台風などの災害リスクは日本のツーリズムに織り込むべき必須の要素であり、災害発生時のインバウンド対応に官民挙げて取り組むのは、ホストとしての当然の義務なはずです。この部分、何かあった時の対応が不十分なまま、インバウンド、インバウンドと言っても、信頼を失うのが落ちではないでしょうか。

 まず、何よりも、①今何が起きているのか、交通機関の状況がどうなっているのか、各国語で明快に情報発信するサイト・デジタルサイネージ・相談センターが必要な事は言うまでもなく、その上で、②インバウンドの訪日計画の修正案を一緒になって考える施設・機関がなくてはならないでしょう

 そして、それをさらに一歩進めて、③積極的に『プランB』を提案できるような施策が必要だと考えられるのです。



 日本を訪れて、台風などに遭遇してしまったインバウンドに、彼らの最初の計画とは違うけれども、何かアットホームな心のこもった『プランB』を提供することが出来れば、もし自分がインバウンドの立場ならと考えると、日本で出会った人々との思い出、思いもかけなかった気付き、という体験価値を得ることに繋がるかも知れません。



#COMEMO #NIKKEI

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