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『卒業していく顧客』とどう向き合うか?

 商品(モノ・サービス)には、目的を達してしまうと、あるいは、一定の期間を経過すると、もう使われなくなってしまうものがあります。顧客がその商品から卒業してしまうのです。企業は、このような『卒業していく顧客』とどう向き合っていけばいいのでしょうか?


 例えば、日経電子版の記事【SHIBUYA109、新ロゴ点灯 40周年で刷新】では、「若者から『109はもう卒業した』と厳しいコメントをもらう」という状況からの脱却がリポートされています。

 

 また、同じく日経電子版の記事【RIZAP、再成長に欠かせぬジムの具体策】では、「ジムの最前線ではある異変が起きている」状況がリポートされます。

 記事によれば、「痩せ方が分かったので普通のスポーツジムで十分」と退会を決める顧客が出てきた、というのです。まだ、そのような事例は少ないとリポートされていますが、確かに、トレーニングを提供するという事は、同時にノウハウを提供している事でもある訳です。

 

 一般論として、『卒業していく顧客』と向き合う事は、企業にとって非常に重要な課題に違いありません。少子高齢化の時代にあっては、新規の顧客が継続的に増加していく保証は何もないからです。

 そこで、企業が将来にわたって継続的に売上と利益を成長させていく為に考えられる施策は、顧客が卒業していく既存の商品(モノ・サービス)以外の柱を立てる、新しい商品を提供することですが、それには、大きく3つの方向性がありそうです――

▶顧客が卒業していく商品をカバーする

(1)『卒業していく顧客』とは違う顧客を獲得する新商品
   (場合によっては全く新しいセグメント、新規事業)
   
(2)『卒業していく顧客』に提案する新商品

  
『商品群の垂直的拡大』・・・顧客に次のステップを提供する。

  ②『商品群の水平的拡大』・・・顧客に別のステップを提供する。


 (1)は、文字通り収益獲得の別の柱を立てるものですが、(2)の『卒業していく顧客』を繋ぎ止め、安定したユーザーストックを確立するような施策は極めて重要だと考えられます。

 例えばですが、減量を達成した顧客に、次のステップとして、ボディビルの大会への出場をサポートするサービス(『商品群の垂直的拡大』)や、別のステップとして、フットサルのクラブを提案(『商品群の水平的拡大』)する、などです。検討すれば、いいアイデアが出てくるかも知れません。

 そのような施策は、ユーザーにとって多様な選択肢のあることが条件となって、ユーザーストックが成長し、アクティブユーザーの比率が向上するとするなら、プラットフォーム型のビジネスモデルへの転換という事が一つの解となるかも知れません。

 時に、SNSなどを活用したユーザーコミュニティーの存在も、会員同士の情報交換、交流、切磋琢磨などを通して、新しいアイデアの発見へと繋がっていくと考えられます。



 

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