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『天使の翼』第4章~吟遊詩人デイテの冒険~

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天使となった吟遊詩人デイテはついに旅立つ。聖薬査察官のシャルルとデイテが最初の寄港地に選んだのは、マウリキス伯爵家の首都惑星ポートシルキーズだった。
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『天使の翼』第4章(21)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「たいしたもんじゃ、デイテ。昨夜一度の公演で、翌朝すでに、五通……いや、三通の招待状と…

武田敦
2年前

『天使の翼』第4章(20)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、身支度を整え、老総支配人の部屋の扉を叩いた。  「はいられよ」  老人は、わた…

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(19)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 久しぶりに心の扉を開いて安心したバージニアは、そして、バージニアの個性に惹かれたわたし…

武田敦
2年前

『天使の翼』第4章(18)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、何と言ってよいか分からなかった。――よくある話といえば、それまでだが……  …

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(17)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、眺めの良い部屋に戻って、窓の前のソファーにくつろいでいる。  今日二度目のシ…

武田敦
2年前

『天使の翼』第4章(16)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 「みんな!そろそろ次の歌を歌いたいんだけど!……」  ――わたしは、吟遊詩人としての弾…

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(15)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしは、歌い終わり、ギターをそっとおろした。  会場は、しんと静まり返っている。  心の時計は、現実の時間と異なり、どの位沈黙が続いたか分からない。――たとえて言えば、ミュージック・ソフトを聴く時、ソフトの終りの方になって一曲終わった後、それがそのソフトの最後の一曲なのか分からずに、次の音を待つような心境だ……  そして、次の音はやってきた――  数人の客が、互いに待っていたとばかりに立ち上がり、ゆっくりと、そして徐々にピッチを上げて、拍手を送ってくれた……それは、やがて

『天使の翼』第4章(14)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 ――大抵、それは野次という形をとる。今日もそうだった。  「へい!そこの綺麗なねえちゃ…

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(13)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 聞き間違いようのない声――バージニア・クリプトン!  彼女が、今、愛想笑いを浮かべた総…

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(12)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 クリプトンが次から次へと繰り出すハイテンションな曲を聴きながら、わたしの心境は、幾分複…

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(11)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしが、吟遊詩人魂を心に秘めて会場に足を運ぶと、すでに、前座の――という言葉は使いた…

武田敦
2年前

『天使の翼』第4章(10)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 わたしにあてがわれた部屋は、ロイヤルやスーパーといった冠詞は付かないかも知れないが、サ…

武田敦
2年前
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『天使の翼』第4章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 彼は、手振りで、窓際の応接セットを示した。わたしは、この時点でもう合格したようだ…… …

武田敦
2年前

『天使の翼』第4章(8)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 ――ここでなら出演を断られる心配はない。そして、わたしは、自分のすべてに自信がある――決して過信ではなく……わたしの歌にも、そしてわたしの容姿にも――わたしは、もうすぐ三十になろうという頃に一つの真実を悟っていた――男性の心は、決して厚化粧の整った顔のメイクには揺り動かされない。そうじゃないのだ。素朴な薄化粧で十分なのだ――彼女が生き生きと無心に輝いていさえすれば……  わたしは、エアタクシーを降りた所にそのまま突っ立って、思わせぶりに、海からの風に長いブルネットの髪をなび