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【実録 / 1.3万字 / 昨年比38倍成長】SaaSスタートアップ創業2期目の軌跡【第二弾 / 前編】

2019年8月1日に創業したQuickWorkは、第二期・上半期の最終月である2021年1月でメンバー数50名まで拡大し、企業売上としても昨年同月比38.4倍の急成長(※1)を遂げることができました。
※1 2021年1月時点での前年同月比の売上成長率

また、前回記載した創業後1年間(2020年8月〜2021年7月)の試行錯誤をまとめた「創業1期目の軌跡」はnote内で1000件のいいね突破を超える程の反響がありました。

起業は創業初期であればあるほど情報戦です。「知ってる」「知らない」で経営状態が大きく左右されることが非常に多く、他の起業家にとって有意義な情報源となるよう、事細かに言語化してまとめていったところ、1.3万字と割と長めの文章になりました。(自身の振り返りとしても大変有意義な時間となりました。)

■創業1年半で得た実績まとめ
・外部資本0で黒字化(SaaS)
・利用企業6500社突破
・シード期 / シリーズAの資金調達をスキップ
・コロナ化で成長し続けている企業「Fast Movers」選出(国内138社)
・日本の人事部「HRアワード入賞」
・営業支援SaaS「顧客満足度No.1」獲得
・経産省から「IT導入補助金」対象事業者として認定

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■noteを書こうと思った背景
創業からの企業の存続割合は5年経過後約40%、引用:【経営コラム】創業5年の生存率が深刻に低い本当の理由)です。100人起業家がいれば約60人は5年以内に倒産廃業になってしまいます。会社経営を初めて1年半経過して感じたのは、事前に知っていれば適切に対策を施すことでリスクを回避できることが沢山あるということです。勇気を出して1歩踏み出し起業にチャレンジする方が、本記事を読んで頂き、少しでも参考になれば嬉しいなと思いnote書くに至りました。
■想定読者:
・将来独立を検討している方
・創業期のスタートアップ経営者
・PL責任者
・新規事業に携わっている方全般

2期目前期の6ヶ月間は起業家→経営者への転身が求められる期間でした。自分がプレイヤーとして手を下すのではなく、組織として機能させていくためにどうすべきかを考え続けた半年間となりました。具体的には「決算」「MVVの浸透」「オペレーションの構築」「標準化」「分業体制の構築」「社外広報」「競合優位性の追求」「新規事業開発」「1on1による対話」「採用活動」など1期目にそれほど注力していなかった業務に自分の時間を費やすこととなりました。

その6ヶ月間の試行錯誤、QuickWorkでの2期目の出来事について時系列(各月ごとに)で記載しております。まとまった時間が確保できない方は月毎に分けて読み進めると良いと思います。(読了時間目安:20分)

2019年8月〜2020年7月(創業1期目)はこちらに記載

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メンバー数:31名(CEO+COO+開発5名,ビジネス24名)

1-1. 決算締め

1期目が終わった!と一息付く間も無く、『IT導入補助金』の申請対応に追われました。補助金対象として認定されると導入費用の一部を国が補填してくれるというものです。お客さんはQuickWorkが提供するサービスを通常の1/4のコスト(特別c型のみ)で導入する事が可能になります。導入ハードルが下がり、受注率と平均受注単価が上がるため僕らとしては『何があろうとも認定事業者になりたい』という気持ちでした。

資金が潤沢でない創業期こそ、国が提供する補助金制度はうまく活用することをおすすめします。ただし、国のルールに則って申請しないと採択率が下がり工数だけ取られることがあります(制度により条件 / 採択率は異なる)ので、注意が必要です。

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我々がIT導入補助金の事業者として認定されるためには『法人税納付証明書』を提出する必要がありました。法人税の納付は決算を締めた後にのみ納付が可能で、納付証明書の取得のためには決算閉めなければなりませんでした。

■IT導入補助金認定事業者への申請条件
『法人税納付証明書が必要 』=
①法人設立から1年以上(決算を終えている)
②法人税を納付している(黒字である)

「決算を締める」とは、「1年間の経済活動を1円の差異もなく帳簿に落とし込み、見合った税金を国に収める」ということで、1件1件の入出金の取引を整理していく必要があります。経理・税務業務が膨大に発生することもあり、1ヶ月前後かけて決算は締めを完了するのが一般的です。ただし、QuickWorkでは補助金申請期日が8月2週目に近づいてきていることもあり、QuickWorkの第1期決算(2019年8月〜2020年7月)を2営業日以内に閉める必要がありました。顧問税理士、社内メンバーで力を合わせてなんとか決算を締め、申請完了&事業者として正式に受理されるに至りました。

国関係の補助金周りはルールが多い上に例外が基本的に認められないので、しっかり事前にリサーチして計画を立てておくことをおすすめします。

1-2. 新規事業「Visual」がHRアワード入賞

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ここで、エンゲージメントを可視化から改善までワンストップで管理できるHRクラウド「Visual」が日本の人事部、HRアワードのプロフェッショナル部門に入賞しました。

エン・ジャパン、べネッセ、ワンキャリア、リクルートなどの大手企業のラインナップに加えていただき大変光栄でした。当時、2020年7月にリリースしたばかりで利用事例もなかった状態で、我々の目指す方向性 / 価値観だけを判断基準として選出してもらえたのは大きな励みになりました。

事業の立ち上げ期は、導入事例&表彰&メディア掲載などの信頼性を証明できる実績が少なく、サービスは良くても信頼性の観点で大手企業中心に導入を見送られてしまうこと少なくありません。この権威付けの観点において「HRアワード」という人事業界にて知名度が高い受賞タイトルで選出されたのは非常にありがたかったです。

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■Visualとは
従業員エンゲージメントの可視化による定着率向上システム。ひとりひとりのエンゲージメントを可視化し、改善策の実施までを一気通貫で運用できる。PCやスマートフォンから簡単に回答でき、人事の負担を最小限に。アンケート結果はリアルタイムで自動集計され、蓄積されたビッグデータと共に解析することで組織ごとの特徴や傾向、課題の特定、定着率向上を可能。

1-3. 情報発信の意義

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創業1期目に振り返りも兼ねて書いたnoteの反響がたくさんありました。「事実をありのままに発信」したnoteがこれだけ世間で需要があったことに驚きが大きかったです。

日本人の起業家は世界的に少ない言いますが、”いつかやってみたい”程度に関心を寄せている起業家予備軍はおそらく沢山います。

参考:スタートアップランキング
アメリカ137555社に対し日本569社(約242倍異なる)

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経営における落とし穴や地雷を事前に知っておくことで、0→1の難易度はグンと下げられます。ITが進んだ今でもリアルな経営ノウハウ・実例を見つけることはなかなか難しく、自分たちが経験した内容を発信することの意義を感じました。(英語圏と比べ、日本語の文献は特に少ない)

また、noteは自社の広報的観点においてもポジティブな影響が多数ありました。note経由にて沢山の経営者やビジネスマンからコンタクトがあり、サービスを利用してくれる方や業務提携に至るまで様々なビジネスに直結していきました。他にも下記のように良かったことがありました。

■noteの広報効果まとめ
・共催ウェビナーの開催が決定
・大手からアライアンスの依頼
・起業家のつながり増加
・メディアでの連載決定
・投資・出資の依頼複数
・サービス契約数件

これまでは事業だけに向き合い孤軍奮闘してきた僕ですが、これをきっかけに人との出会いが増えました。プライベートで一緒にご飯に行く経営者仲間も増えましたね。

1-4. 社外広報の強化 Part1

noteの経験から広報の重要性を実感した我々は、広報チームを3名体制まで拡大させました。「QuickWork Now.」というオープン社内報を公開し、会社と個人のTwitterも開始しました。

「発信する」=「文章で情報を伝える」ことに関してド素人だったので、発信力を磨くべく色々な本から情報を集めることにしました。中でもWORDS代表の竹村俊助さんのnote / 著書は参考になりました。新型コロナウイルス拡大に伴うテレワークの急激な浸透の影響もあり、社内 / 社外限らず書いて伝える機会は非常に増えてきています。今後、「文章で情報を伝える機会」は間違いなく増えてくることが予想されます。経営者の方だけでなくサラリーマンの方であっても慣れておくとこの先有利になると思います。

COOの粂も「非エンジニアによるWebサービス開発」と題してサービスローンチ〜PMFまでの生々しい経験をnoteにして公開しました。学習の成果が伴い、処女作にしてnote編集部のおすすめにPickupされています。0 → 1〜PMFについて情報収集される方はこちらもご一読ください。

2人とも苦手意識の強かった「ライティング」で1ヶ月やそこらの短期間で、そこそこ反響のあるコンテンツを作れるまで成長できました。今の時代、学習材料が沢山転がっており、新たなスキルを習得するハードルは下がってきているな、と改めて思いました。

1-5. Moat(モート)構築による競合優位性の追求

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売上には「新規顧客からの売上」「既存顧客からの売上」の2種類しかありません。「新規顧客から売上を立てる仕組み」を確立できたことにより事業単体として短期的に経済合理性を成り立たせること(投資資金を1ヶ月以内に回収できる体制)が可能になりました。一方で「ユーザが自社を使い選び続ける理由(=Moat)」を作る具体的な戦略を描けていないことに課題意識がありました。そこでDCMさんのMoatに関するnoteを軸に、我々の強みとして磨いていくべき経営戦略を再整理していきました。

■Moat(モート)とは
事業という城が外敵(競合)から攻められたときに、事業を守り続けてくれる"堀"、つまり競合優位性や企業の強みのことです。長く続く事業を作ろうとする際には、このMoatがあることが必須になります。
Moat = 競合優位性と書くと「競合が少ないから大丈夫」と思う人がいるかもしれません。しかしMoatは狭義の競合に対するものだけではなく、全ての代替される選択肢(e.g., ソフトウェアに対する紙、エクセル)に対する"ユーザーが選び続ける理由"のことを指すと思っています。(記事引用)

本記事を参考にCOO粂とMoatの要素を洗い出し、下記の項目を注力することに決めました。Moatの中でも比較的スタートアップが真似しやすい項目だけに注力し、各施策を進めていきました。

①ユーザーへのアクセス/ディストリビーションチャネル
大手も気付いていないマーケティング・チャネルの活用。顧客獲得コスト低下(Facebook / Google 等のレッドオーシャン経路以外からの獲得注力)
②テクノロジー優位性
RPA技術による人件費削減とデータベース鮮度の向上(競合他社が数百名のリサーチャーでデータ収集している体制をRPAのプログラムで代用)
③コスト優位性

既存参入企業と同品質のサービスを2 / 3で提供(テクノロジー優位性による人件費削減によるコスト優位性)
④卓越したオペレーション(オペレーショナル・エクセレンス)
セールスオペレーションを中心に自動化 / 型化を加速(Zapiar / YCBM / Pardot / Salesforce 等の活用)

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メンバー数:37名(CEO+COO+開発チーム8名+ビジネス27名)

2-1. 業務内容の移り変わり

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2020年9月時点で人数が35名を超え、僕個人がプレイヤーとしてタスクをこなす機会も減り、仕事内容も急激に変わってきました。

PMF前(起業家)
プロダクト作り、資金調達、顧客開発、仲間集め
PMF後(経営者)
MVVの浸透、市場/競合リサーチ、業務の形式知化/浸透、PR、IR、従業員採用、EXIT戦略の構築と実行、バリューチェーン構築、ポートフォリオ戦略築など様々

社外広報を強化していたこともあり、メディアからインタビューを受ける機会がちらほら出始めました。他にも、9月は過去一度も経験したことのない仕事内容が多く、勉強中心の月になりました。正直、経営の選択肢が多くなり優先順位付けにおいて困惑したこともありましたが、本やnoteで学習し、COO粂と議論(壁打ち)することを繰り返して現在の自分たちの優先順位を整理した上で、実行していきました。

慣れない連載のタスクも増えたりと、変化・学びが多く1ヶ月が非常に長く感じましたね…。なんやかんやで「学習(インプット)して壁打ち(アウトプット)する」を繰り返している内にできないこともうまくこなせるようになっていきました。考えてみれば、社会人経験3年やそこらの僕が経験した範囲内で解決できることなんてそもそもないな、と開き直って1つずつ勉強していきました。

■取材・連載記事一部

本からの「学習」において「起業大全」という本が一番参考になりました。「起業の科学」著者の田所さんの名著です。一発屋で終わらない「再現性のある経営」を目指したい方は必ず目を通すと良いでしょう。

■起業大全

■豆知識
人は新しいことをやっていると時が長くなるそうです。「人生蚊取り線香理論」(歳を重ねる程、短く感じる)とは挑戦していない人にしか当てはまらず、新しいことに挑戦していると長く感じます。せっかく1度きりの人生なので、時の流れが短く感じた場合は新しいアクションをして新しい経験と向き合うと有意義。

2-2. セールス・マーケティングオペレーションの確立

アウトバウンド営業は一切せず、サービスLPからの問い合わせ(インバウンド)に集約しました。少人数で700社の問い合わせを捌けたのはテックタッチ(工数かからない)のオペレーションを早めに作り、本当に大切な顧客応対の部分にのみ社内リソースを使うよう限定したからだと思います。
①〜③までは全て自動で一切工数がかかりません。

■インバウンドのISオペレーション
①顧客からLPへ問い合わせ(https://salesnow.jp/)
②salesforceにリード情報追加&gmailへリード情報送信&サンキューメール(期限付デモ有り)送信(※)
③gmailとslackをzapiarでAPI連携しslackのリードチャンネルに自動通知(※)
④インサイドセールス担当が架電し商談化(5分以内目標)

フロー① 問い合わせ → LP → Gmail → (Zapiar) → Slack
フロー② LP → Zapiar → Salesforce → Pardot(自動メール)

テックタッチのオペレーション構築によってより少ない工数で受注まで進めることが可能になりました。(3人月=160時間×3人 / 月 の工数で月間40-50顧客を受注可能)多様なマーケティングチャネルによるCV獲得体制と、FS / ISの受注に必要な工数を最小化できるセールスオペレーションの2つがQuickWork急拡大の決め手です。

QuickWork 5つの行動指針(バリュー):
Operational Excellence

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2-3. 「The model」型、分業体制の構築

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Salesfoeceより引用

IS / FS / CSの完全分業に踏み切りました。これまではそれぞれの業務範囲が曖昧で、効率が非常に悪かった点を反省しています。

■「The Model」とは
営業プロセスモデルのひとつとして、セールスフォース・ドットコムで活用されてきたもの(参照:セールスフォース・ドットコムHP、営業効率を最大化する「The Model」(ザ・モデル)の概念と実践より)。セールスフォース・ドットコムでは、現在も営業プロセスを「お客様の成功と共に、売上を拡大していく仕組み」と位置づけ、見込み客と最初の接点を持つマーケティングやインサイドセールスから、商談を行うフィールドセールス、導入後の伴走支援を行うカスタマーサクセスまで、それぞれの部門が連携し、顧客に対して一貫した対応を実現しています。

2-4. プロダクトへの投資(開発チーム+20名)

単月営業利益が50%を超え、投資体力に余裕が出てきたこのタイミングで「SaaS事業者たるものプロダクトに投資すべし」ということで開発チームを5名→25名(5倍成長)に拡大する計画を立て、実行することになりました。

採用数から逆算して必要なエントリー数・面談数をKPIとして置き、僕1人(実工数:0.2人月程度)で採用活動をスタートさせました。結果としては目標達成可能なペースで順調に採用できていたものの、組織が急激に肥大化することで開発効率が落ちることが懸念となり、15名前後採用したところで一時的に採用をストップさせ、入社後のオンボーディングや開発体制の構築・メンバーとのコミュニケーションに注力しました。

2-5. 採用広報の強化(会社説明資料リリース)

スタートアップにおいて”採用”は死活問題です。今後の事業成長を見据えると、今後の採用目標を達成することができません。そこで採用広報強化、第一弾の施策として会社説明資料をリリースしました。

また、会社には採用担当はおらず、僕1人で100名以上のエントリー 、数十件の面接を捌く必要がありました。会社資料は会社の認知度を向上させるだけでなく、「ミスマッチが減りエントリー→採用の効率が高まる」「面談時に個別説明する工数が省ける」という効果も見込めます。

結果、5ヶ月間で1.6万pvを集められ1ヶ月あたり3000名以上の求職者に閲覧されるに至りました。

会社資料に限らず沢山の「QuickWorkがどんな会社か」把握するための自社コンテンツを用意しました。会社情報を「誰でもアクセスできる」状態にしすることで、工数をかけずとも自社の採用ターゲットが集まってくる状態を徐々に作っていきました。

■採用のために作成した「コンテンツ」
1. 会社資料(canva作成 → speakerdock公開)
2. 創業ストーリー(PRtimes story と wantedlyストーリー公開)
3. メンバーインタビュー(PRtimes story と wantedlyストーリー公開)
4. MVV(Wantedly / notion / speackerdock にて公開)
5. オープン社内報(QuickWork Now. note内)

■「コンテンツ」に記載した内容
1.会社概要
  会社概要
  事業概要
  実績
2.創業者
  創業者経歴
  創業のきっかけ
3.会社のMVV
  会社の目指す未来像は (1年後、3年後)
  実現のために必要なことは/課題?
4.自社独自の魅力
  仕事の魅力
  個としての成長機会
  社会への貢献度
  業界の成長性/魅力
  環境面の魅力
5.採用ペルソナ
  こんな人と働きたい
  こんな人と働きたくない

また、1年間で50名を採用した採用ノウハウを下記のnoteにまとめています。採用戦略について詳しく知りたい方は是非ご一読ください。(上記の詳細も記事に記載しています。)


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メンバー数:39名(CEO+COO+開発10名,ビジネス29名)

3-1. 情報資産を蓄積する体制の構築(notion導入)

過去に海外のスタートアップ「notion」に関するnoteを読んで「これが本物の少数精鋭か…!」と感銘を受け、notionのファンだった僕ですが、「情報資産の蓄積」を目的としてnotionを導入しました。導入動機である情報蓄積だけでなく、「必要な情報に誰でもアクセスできる」状態を作ることができたため、各部門での情報連携 / 入社オンボーディング  / 経営戦略の共有工数が大幅に削減できました。QuickWorkでは各自の自己紹介、議事録やマニュアル、戦略の共有はNotionで情報蓄積しています。

■notionに記載していること
・各メンバーの自己紹介
・入社 / 職種マニュアル
・定例MTG議事録
・経営戦略
・新規事業のサービス構想 / 要件定義
・顧客向けQ&Aページ
・組織図 / 各自の役割一覧

SaaS関係者必読

3-2. MVVの言語化(ミッション・ビジョン・バリュー)

「情報をオープンにすることで採用活動におけるミスマッチを減らす」「関わるメンバーと共通認識を持つ」という2つの目的で、MVVを言語化しました。「サービスで誰のどんな課題を解決するか」「サービスの目指すべき姿」「ミッション・ビジョンを達成するために大切な行動指針」といった要素をnotionや会社説明資料にまとめ社内 / 社外に共有しました。

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3-3. バリュー浸透の社内施策

バリュー浸透施策は「各バリューのキーワードをSlackスタンプとして利用する」というシンプルなものでした。今ではそれぞれのスタンプをメンバーが日常的に使用しており、他社に比べても浸透しているのではないかと思ってます。施策から3ヶ月以上経過した今でも、何気ない会話でもメンバーがスタンプを利用しており、普段からバリューを意識して仕事をしている様子が伺えます。

実際のSlackスタンプ

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QuickWork5 つの行動指針(バリュー)

①Operational Excellence
テックタッチとヒューマンタッチを融合させた、洗練されたオペレーションを構築しよう。属人化を許さず仕組みで解決する方法を模索しよう。付加価値の低い仕事は排除するか自動化する選択をしよう。
keyword:仕組化 , 自動化 , テックタッチ , ヒューマンタッチ

②Trustful Team
性善説に基づき、チームメンバーを信頼する。
互いに信頼し合い、各メンバーの自己決定を促すことでチームとして最高のアウトプットを生み出そう。情報をオープンにし、透明性の高いチーム創りをしよう。
keyword:性善説 , 信頼 , 権限移譲 , オープン

③Learn and Adjust
外部環境が変わり続ける中で、時代の先をいくために。
より先の未来を、より解像度高く予測できるように常に学び続けよう。
keyword:学習 , 適応 , 先見性

④Fact Base
勘や経験だけに頼らず、事実・数値に基づいたデータドリブンな意思決定をしよう。判断に必要なデータが自動で蓄積される体制を作り、誰が見ても納得度の高い決断をしよう。
keyword:データドリブン , 可視化 , 定量化

⑤再現性
徹底的に言語化を追求し、事業開発に再現性を持たせよう。
結果に関わらず振り返る習慣を持つことで、プロセス / 勝ち筋を徹底的に体系化しよう。
keyword:言語化 , 体系化 , 振り返り

3-4. 感情的差別化による競合優位性の追求

機能的差別化が難しくなってきた昨今、顧客から選ばれる可能性を高めるには感情的 / 体験的価値による差別化が必要になってきます。

そこで、「感情的差別化のためのUX改善」を目的としてD2Cから学ぶためにCOO粂と私でD2Cの本を読み漁りました。

小売業界中心に、製品の機能ではなく「世界観」や「ブランドストーリー」といった「体験(UX)的価値」を中心とした戦略を起用するブランドが増加しており、SaaSにおいても同様の動きがあるように感じ、社内で注力することに決定しました。見えてきた大切な要素をnotionにまとめ「【SalesTech】戦略(体験的価値)」と題して社内のメンバーに共有しました。

その上で、カスタマージャーニーマップに沿って部署ごとに具体的な施策を決定し、1ヶ月くらいかけてフローを一変しました。

■社内共有したnotionの内容

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## 体験的価値の他社事例イメージ
ビズリーチ:サービス導入時に社長からの挨拶メッセージ
Offers:サービス導入時にSlackのコミュニティ招待。ユーザー1人に対し、先方は16人体制でフォロー
Offers:ユーザのサービスに対するTweetに社員 / 役員が反応
notion&ノースサンド:アンバサダー制度
マルケト:ユーザの表彰
コアラマットレス:商品購入で絶滅危惧種に寄付できる
COMP:注文後の手書き(っぽい)サンクスレター
リフカム:リファラルアワード

中でも非常に参考になった2冊をピックアップして紹介します。

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メンバー数:41名(CEO+COO+開発チーム13名+ビジネスチーム26名)

4-1. CSオペレーションの強化

ようやく9月から取り組んでいたCS / FSの完全分離がほぼ完了しました。SaaSにおいて継続率(チャーンレート)の改善はLTVを最大化する上で非常に重要な経営指標となっており、継続率に多大な影響を与えるCSオペレーションの構築に会社として注力することにしました。

■CSオペレーションの例
・FS受注時のヒアリング項目決定
・CSチームによるオンボーディング面談
・月次振り返り面談
・notionによるQ&Aの型化
・チャット対応開始(チャネルトーク×Slack)
・Slackコミュニティへの招待
・顧客エンゲージメントに応じたプッシュ型の面談サポート

4-3. CM放映開始

創業1期目のnoteをみてくれた映画広告の営業をしている企業役員の方から映画CMのオファーがあり、映画のフルスクリーンでSalesTechサービスのCMを放映できることになりました。まさか2020年1月にローンチしたサービスがリリースから1年経たずにCMになるとは思っても見なかったので、衝撃でした。

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4-4. 新規事業開発

時間が空いてきたこともあり「既存事業のシナジーのある新規事業を手がけよう!」とCOO粂と話し、着手し始めました。

COO粂の「QuickWork成長戦略」の第4項目にもあるように、可能な限り売上を分散させることで経営を安定させようという意図で新サービス開発に注力することに決めています。

SaaSを代表するセールスフォースでは、4つのサービスを柱にポートフォリオ形成され、リスク分散されています。下記のように売上が15%~34%と4つの事業でポートフォリオが組まれています。sales cloudが売上の大半の印象を持たれがちですが、実際は34%しかありません。(記事引用)

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結果、11月〜12月にかけて3つの新サービスの開発を進めることができ、1月〜2月リリース予定です。

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メンバー数:44名(CEO+COO+開発チーム16名+ビジネスチーム26名)

5-1. 社外広報の強化 Part2

更新止まってしまっていたnoteを再開・強化しました。将来のコアメンバーに向けてしっかりと情報を伝えることが大切だと感じているので、各切り口で情報発信をしていくことにしました。月4本ペースで村岡・粂(COO)の経営陣で発信していきます。

5-2. 1 on 1 の開始

メンバーが増えるにつれて全員の業務状況について把握しづらくなってきました。組織として「相互理解を深める」「課題の吸い上げ」「エンゲージメント向上」などを目的として1 on 1を粂と役割分担して開始することにしました。

それぞれのメンバーにとって現在のQuickWorkで働く理由は千差万別なので、対話を重ねていくこと、事業創出&拡大を通して沢山ポストを用意することで、可能な限りWillに沿った仕事をパスできるように引き続き改善していきたいと思っています。その第一歩として1on1の定例化をはじめました。

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メンバー数:50名(CEO+COO+開発チーム19名+ビジネスチーム29名)

6-1. パートナーセールス(代理店制度)の再開

新たなリード獲得チャネルの開拓のため、1期目に試みた際は失敗に終わったパートナーセールス(営業代行)にリベンジすることに決めました。

「パートナーの目標設定」と「振り返りの定例化」を変えてリベンジしました。1月後半に制度を開始し8件の商談を獲得することができたので、立ち上がりとしては上出来だと感じています。

■パートナーセールス制度の変更点
Before:
「IS」「FS」「CS」全てパートナーに依頼
After:
「IS」「FS」「CS」のうち「IS」(商談化)を依頼
+定例の振り返りミーティングを設定(1週間〜2週間毎)

「5商談以上 / 月間」のトスアップが可能な企業様をパートナーとして積極募集しておりますので、ご興味ある方はLPよりご連絡いただけますと幸いですm(_ _)m

6-2. 緊急事態宣言(2回目)

1度目にそこそこ苦しめられた緊急事態宣言が再度発令されました。蓋を開けてみると思ったほど「経済」に対しては影響は少なく、ホッとしました。影響という影響はなく、「好きな飲食店が遅くまで営業しておらず、息抜きの選択肢が少なくなった」ぐらいです。

(どうでも良いですが「おうち時間」が増えて退屈になったので、僕はこれを機に料理をはじめました。玉ねぎ切ると本当に涙でるんですね。)

外部状況が変わったからと言って特にやることが変わるわけではありません。感染症対策もきっちりしつつ、経済を盛り上げていきたいと思います。

コロナウイルスのような外部環境はコントロール不能なもの、つまり ”自分たちでは変えられない”ので、可能な限り素早く”適応する”選択をするようにしています。広告キャッチをテレワークに即したものに変えたり、いち早くリモート前提の営業体制にシフトしたり、他企業に比べると前倒しで意思決定してきた自負はあります。

6-3. リブランディング

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Salestech領域のSaaSサービスをいくつかリリースしていた我々ですがそれぞれのブランドを統合し、「SalesNow」(セールスナウ)という新ブランドに統合しました。

サービス / 機能単体で競合優位となるように努めてきたわけですが、その違いを繋げてサービス全体として一貫性を持たせる意味で「コンセプトの一新」(≒リブランディング)を決心しました。

これから僕たちが目指すARR10億〜 , ARR100億〜といった大きな市場でかっていくためには、今まで進めてきた「スピードを利用したアービトラージによる差別化」だけでなく、事業 / サービス同士がシナジーを生み、サービス全体として競合優位な状態を作っていく必要があります。

まとめ

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QuickWorkがそこそこうまくいってる理由は「振り返りと言語化による再現性の徹底的に追求している」に尽きると思います。

誰でもできるけど誰もやらない成長 / 成功への一番大きなドライバは「経験を振り返ってうまくいった / いかなかった理由言語化する習慣の有無」です。

具体的な成長戦略について詳しく知りたい方は弊社COO粂のnoteを御覧ください。

2期目後半に向けて

下記の表は、各領域のNo.1企業です。日本企業は1社もなく全社外資の企業が並んでいます。今後QuickWorkでは、日本企業代表としてこのライナップに入っていけるように尽力していきたいと思います。

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スタートアップの成長性が適正か図る世界的な指標としてT2S3という指標があります。最初の基準である1期目から2期目にかけての成長率(3倍以上が適正)はQuickWorkにおいて達成可能な速度で成長しています。米国圏のスタートアップの成長スピードと比べても遜色ない事業成長だと言え、今後、急拡大していくための土台を構築できたと考えております。

■T2D3の成長率
1年目3倍,2年目3倍
3年目2倍,4年目2倍,5年目2倍

■ Marketo, NetSuite, Omniture, Salesforce, ServiceNow, Workday, Zendesk など、優良な 海外SaaS スタートアップの T2D3実績

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少しだけ採用告知を…!

冒頭で記載した通り昨年比売上成長率が約38.4倍となっており、サービス引き合いが順調に増えております。それに伴って多数のポジションで採用を強化中で、どの職種も責任者ポジションまだまだ空いております。新規事業としてリリースを控えているものも幾つかありまして、これから急成長を続けていくためにはもっと多くの優秀な仲間が必要です!

Wantedlyからエントリーお待ちしております!!

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最後に

経験も少ない自分に対し、最初に付いてきてくれたQuickWorkメンバーを始めとし、実績も少ないプロダクトを導入いただけたクライアント様 / パートナー企業様に対して感謝してもしきれません。2期目後半からも、社内人員も大幅に増加しプロダクトを磨いてまいりますので引き続き御自愛いただけますと幸いです。

自分の振り返りも兼ねて今後ちょくちょく更新していきますので良ければフォローお願いします!

Twitterも是非!(_ _)

村岡 功規 / Atsunori Muraoka

QuickWork公式

人は心が原動力です!

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