あつくわ

フリーライター。取材・執筆。シナリオ、啓発落語等の演芸台本。某テレビ番組のリサーチ。パ…

あつくわ

フリーライター。取材・執筆。シナリオ、啓発落語等の演芸台本。某テレビ番組のリサーチ。パラリンピック取材(バンクーバー・ロンドン・東京) 受賞歴:第5回上方落語台本・佳作 /新作落語台本落語会2018・佳作

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今年78になる母。 「免許がない、あれ、勝手に持って行ったやろ!あんたはいつもそうや」 まくしたてる系の母からの怒りの電話である。 -------- 母の様子がおかしいなと思ったのは7年前。 私は40歳だった。 その時は、結婚前で一緒に住んでいたんやけど、家に帰ると、 母はガスの五徳の周りに布巾を丸く沿わせながら、揚げ物を作っていた。 「お母さん、火の回りに布おいたら火事いくで」と慌てて布巾をどけたけれど、 「濡らしてあるから、大丈夫」といって、きかなかった

    • 落語×出会い

      大阪生まれの大阪育ち。小学生の頃、土曜日はおうちに帰ると吉本新喜劇がついていたし、漫才とかお笑いが好きやった。この頃、落語とはまだ出会っていない。 中学生の頃、通学の満員電車の中で友達3人と、「今日はいつも乗ってくるあの人を笑わせよう」とターゲットを決めベラベラ話し、その人が笑いをこらえていたら、友達と「今日も勝ったな!(何にや)」という純な中学生やった。この頃、落語とはまだ出会っていない。 高校生の頃、恋などする暇もなく、探偵ナイトスクープにコネタを出そう!と友達と考え

      • パラリンピック ~足で弓を射るアーチャー~

        両腕がなく足で弓を射るマット・スタッツマン。アームレス・アーチャーとして、世界のメディアから注目されているインフルエンサーだ。 マットは、2012年ロンドンパラリンピックで銀メダルを獲得。 「最も遠く正確な射程距離」で射抜く記録のギネス世界記録保持者でもある。今大会で3度目となるパラリンピックは、3回戦で敗れ9位に終わった。 (Photo 宮地秀行) マットは先天的に両腕の無い状態で生まれ、養子に出された。 素晴らしい家族と出会い、幼少期から「何でも自分でやりなさい」と

        • パラリンピック~こぼれ話~まんまと騙された話

          9年前のロンドンパラリンピックのとき、Wi-Fiを借りようと街に出たら、 スーツを着た紳士風の男性に道を聞かれた。 「知らん」と一言いうと 突如、警官が2人現れ警察手帳を見せながら「今、この男から覚せい剤かったやろ。お前、財布に隠し持ってるやろ。財布見せろ」と職務質問された。 ええーーーーっ。覚せい剤買ったと思われてる。 なんで?こんな清純派な私に、薬物所持の疑い? これは、無実を証明しな牢屋にぶち込まれるやん。 まだ取材始まってないのに、えらいこっちゃと焦る。

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          パラリンピック~こぼれ話 難民選手団~

          難民選手団は、紛争や迫害によって、故郷を追われた難民選手たちのために結成されたもので、前回のリオパラリンピックで初めて結成され、東京大会では6名が出場した。 競泳のアッバスカリミ選手は、生まれつき両腕がない。 アフガニスタンの首都カブールで生まれ、両腕がないことでいじめられた。障がいを持つカリミ選手は民族性の問題もあり、テロ事件などから逃れるため、16歳で祖国を逃れ、トルコへ亡命したという。 今大会の予選通過後、アフガニスタン出身のカリミ選手に、アフガニスタン情勢につい

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          パラリンピック~TikTokのインフルエンサー、金メダリストの17歳~

          パラ競泳のパゴニス・アナステイジア(アメリカ)は、目が見えない競泳選手だ。 私は最初、彼女のTik Tokやインスタグラムの赤裸々な胸の内を読んで驚いた。17歳という年齢で決めつけてはいけないが、発信力が半端ない。楽しい投稿だけでなく、考えさせられる投稿も多い。真っすぐな思いを聞いてみたいと思った。 (写真 清水一二) アナステイジアは、子どものころから水泳が好きだったが、11歳の頃に視力を失い始めた。見えなくなったときは、ひどく落ち込みウツ病などを患い、死を考えるほど

          パラリンピック~TikTokのインフルエンサー、金メダリストの17歳~

          パラリンピック 〜盲目のカメラマン〜

          卓球会場のメディアセンターに、白杖をついてカメラマンベストを着ている男性が入ってきた。 目が見えへんのに、どうやって写真を撮るんやろう。 気づいたら声をかけていた(人見知りやのに、誰にでも声かけるやん) ブラインドフォトグラファーのジョーアン・マイヤーさん。 28歳までは見えていた目が、ブドウ膜炎という病気で失明した。 右目は見えず、1メートルぐらい離れて座った私を見て、下のほうが黒い色(私のズボンの色)だと識別できるぐらいで、顔や手などは全く見えないという。 目

          パラリンピック 〜盲目のカメラマン〜

          パラリンピック取材~こぼれ話 息子と離れて6日目~

          パラリンピック取材で2週間、東京滞在中。 息子と離れて6日目。息子ロス~。 夫に毎日一枚、息子の写真を送ってと言っているのに、「忘れた」とかいって送ってこない(なんで送れへんねん) ホテルに戻ると、息子とテレビ電話をするんやけど、 夫が「21時過ぎたら寝るからさ」と言って、やんわり断ってくる(1,2分ええやないか) 最初は息子も、「ママ~。会いたい~」「いつ帰ってくるん」と泣いていて、その姿をみるだけで泣きそうになって、電話をするたびに胸がズキズキ痛んだ。 まるで、

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          パラリンピック取材~こぼれ話 感染対策~

          コロナ渦のなか行われた五輪。 メディアはプレイブックを守り、必ず感染対策を守らなければならない。 どう取材するかによっても変わるのだけれど、選手を近くで取材する記者の場合、4日に1度PCR検査をする。当然だが、競技場に入るときも、検温と消毒をすませてから入る。 簡単にPCRキットが提出できるように、各競技場に提出スポットが用意されている。そうじゃないと、出さない人も出てくるよなというぐらい、各会場は離れている。 コロナ前のパラリンピックの取材では、競技を終えた後に選手

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          パラリンピック取材 〜こぼれ話 卓球〜

          パラリンピック取材中に私が感じたことを こぼれ話として書こうと思います。 卓球、イブラヒム・ハマト選手(エジプト)の試合を最初に見たときは、正直驚いた。 えーーっ!口でラケットをくわえるん?! 両腕がないイブラヒム・ハマト選手は、口でラケットをくわえて、首を左右に素早く振ってサーブする。 片足は靴を履かずに指が出た靴下を履いている。 球を器用につかんでトスをあげるために。 10歳のとき列車事故で両腕を失ったハマト選手。 卓球を始めたのは13歳で、最初はラケット

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          パラ取材で4歳息子と2週間離れる

          東京パラリンピックが開幕した。 初めてのパラリンピック取材は2010年の冬季バンクーバー大会で、色々な競技をはじめて観戦して、その面白さと迫力に魅了され、2012年のロンドンパラリンピックも取材。 その後も、取材のお誘いをいただくもなんやかんやありまして(なにがあったんや)、2016年のリオパラリンピックの時は、息子を妊娠中で取材できず。 おなかにいた、息子は早いもんで4歳になりました。 五輪の東京開催が決まった時、取材のお誘いをいただいたので 「パラリンピックの取材

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          大雑把ママが作る踏切の作り方

          3歳だった息子が踏切にはまった(4歳になった今も踏切好き)。 お箸やえんぴつ、棒状であれば、フランスパンまでも踏切にみたて「カンカン、カンカン」言っている。 毎日レシートをクルクル、新聞をクルクルしては『ふみきりカンカン〜カンカン〜』と歌い、こんな、お祓いのときに使うシャラシャラしたやつ(おおぬさっていうみたい)を毎日たくさん作りはじめた。 息子には宝物であろう踏切やけども、毎日量産されるので、しれっと捨てる母(ひどい)。捨てても毎日新たな踏切が作られる。 踏切のフィ

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          ズボラ家事~妖怪・ヒゲジョリーよ、さらば~

          結婚して6年がたつ。 私も働いているので、結婚当時から、なるべくズボラ家事で生活できる方法を考え、実践し習慣にするようにしている。 少しでも余計な家事を減らそうと思うと、夫にいくつかお願いすることになる。嫌な顔をされるけれど、口をすっぱくして何度もいわなければならない(人によるやろ)。友人の中には「何回も言うのが面倒だ」「言っても直らないし、嫌な顔をされる」といって言わずに悶々とするというが、私はあきらめない。無駄な家事は一つでも減らすのだ! その一つが、 夫のヒゲの

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