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2018年5月の記事一覧
『わたしがいなかった街で』柴崎友香
離婚し、ひとり新しい町にすみはじめる主人公。
彼女の祖父にまつわる思い出、
彼女が好きで読んでいる昔の小説、
世界各国でおきている紛争ドキュメント番組。
点々があちこちで点滅するように
彼女の脳内で記憶や記録がしみを作る。
あたまの中でのひとりごとが多くて、
まるで主人公の脳内会議。
SNSサイトを見ながら
『なぜみんな、こんなふうに気軽に、
素早く、なにかを伝えることができるんだろう、
『オレンジだけが果物じゃない』
さまよい続ける「わたし」は現実とお伽話をたゆたう…
どころではなく特急コーヒーカップのようにぐるぐると回りながら進む。
狂信的な親と宗教とともに進む話を皮肉的に物語り、熱心になればなるほど笑えてくる。
かなり好き。
この著者の灯台守の話も好みだったし、あと数冊出版されているので、続けて読みたい。
白水社もやっぱり好みだな
#ジャネットウィンターソン #岸本佐知子 #読書感想 #海外文学