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コンビニが、あなたをだめにしていないか?

昨年12月に、2年ぶりに日本に帰国して、ひと月ほど滞在しました。
当時は入国時に新型コロナの隔離制限などもあり、思うように自由に動き回ることは難しかったのですが、それでも久しぶりに家族や友人と会えたことが本当に嬉しかった。やっぱり、ふるさと、日本はいいなぁ。そう素直に思いました。

コンビニの存在

でも、以前はあまり気にならなかったことが、今回はなぜかとても気になってしまいました。
それは、コンビニの存在です。
日本に行くと、どこの町にも、しかもいくつも、いろいろな種類のコンビニがあります。24時間開いていて、コンビニエンスストアの名の通り、とっても便利です。私も、日本に滞在中は、コンビニをよく利用します。朝ごはんを買ったり、お昼ごはんを買ったり、時には夕ごはんを買ったり。のどが渇くと、飲み物を買ったり、ちょっと疲れたときには、甘いものやスナックを探したり。どんな雑誌が出ているのか見てみたり、ちょっとした雑貨を見たり。そして、用がない時でも、ついそうしてしまうのです。

「とりあえず」の人生?

でも、一歩引いて冷静に考えてみると、コンビニで売っているものは、ほとんどの場合、「どうしても、この商品でなければならない」ことは稀です。ほとんどのものが、「とりあえず、これでいいや」と選ぶものではないでしょうか。本当なら、パン屋さんや、ケーキ屋さん、和菓子屋さん、スーパーマーケット、市場、生活用品店、お酒屋さん、本屋さんなどで、時にはお店の人とやりとりしながら、自分が本当にほしい、自分にぴったりなものを買ったり、つくったり、食べたりすればいいのに、「時間がない」とか「面倒くさい」とかの理由で「いいや、とりあえず、これで。」とコンビニで済ませている。

手っ取り早いからと一日に何回もコンビニを利用するようになって、知らず識らずのうちに、自分の人生まで、「とりあえず」や「手っ取り早い」や「いいや適当にこれで」で埋め尽くされていないでしょうか?

コンビニ食が生活の中心になっていたり、他の選択肢がないという生活を送っているとしたら、それは何かを見直すサインかもしれません。なぜ家でつくって食べる時間がないのか、なぜスーパーや市場に買い物に行く時間がないのか、なぜ食堂で食べる時間がないのか。コンビニで買える食事は多くの場合において保存状態をよくするために添加物がたくさん使われていたり、自分でつくる時とくらべたら単価も決して安くないことが多いでしょう。長期的に考えたら、健康の上でも、経済的にも、持続可能ではないかもしれません。そして、なにより、かけがえのない自分の人生を、とりあえずの選択の連続で生きるのは、自分が本当に望んでいることでしょうか。

毎日、本当は必要がなかったり、他により良い選択肢があるにもかかわらず「とりあえず」コンビニに寄り、使っている時間とお金は案外ばかにならないものです。その時間やお金を、もっと自分が本当に大切にしたいことに使える可能性と、どうしたらそうできるかを考えることは、決して無駄なことではないと思います。

ちなみに、デンマークにもコンビニはあります。日本よりも数は圧倒的に少ないですが。そして、空港やターミナル駅のコンビニは、急いでいる人や旅の途中の人でも、例えばオーガニックやヴィーガン、グルテンフリー、フェアトレードなどそれぞれの人のこだわりやニーズにできるだけ高いレベルで応えるために、品揃えはそこそこ充実しています。でも、だからといって、そこで毎回の食事を調達する人は稀だと思います。あくまでも急いでいるから、非日常だからの選択肢です。そうする必要がないように、コンビニエンスストアと他の店の棲み分けができており、また、ライフスタイルや思考も、それを選択しない方向性を持った人が多いと感じます。

コンビニは、より短期的思考を促し、その欲求を満たすための象徴的な存在なのかもしれません。(そして、そのオンライン上のコンビニ的存在が、FANG《フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス・グーグル》かもしれません)

コンビニというインフラのこれから

コンビニは、今や宅配便や、郵便局や金融機関の機能の一部を担う、地域の重要な拠点になりつつあり、エリアによっては、地域と密着して、本当に地域の人が必要としているものを提供しているコミュニティの拠点としてのコンビニもあると思います。

でも、コンビニは、あくまでも急いでいる時、忙しい時の「とりあえず」をサポートしてくれるありがたい存在であって、コンビニが生活の中心にある「とりあえずライフ」がずっと続いているのであれば、自分の生活サイクルを一度見つめ直してみるのもいいかもしれません。

そして、近い将来、コンビニの役割は少しずつシフトしていくと考えています。これからは、消費し続ける社会ではなく、循環を基盤とする社会になっていくと考えられます。様々な資源が枯渇するリスクをはらんでいることから、今後は作る⇒売る⇒捨てるの直線ラインではなく、作る⇒リース⇒回収⇒作るというサイクル/循環に変わっていく、そのサイクルを支えるために企業と人をつなぐ存在となる可能性を持つのがコンビニではないかと期待しています。

今あるコンビニという強力なインフラが、長期的視野になって、ほんとうの意味での「便利」で地域や国にとって有益な存在になっていくような未来を、子どもや孫や未来にこの世にやってくる人たちのために選択したいと思います。


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