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親の喫煙と飲酒は子どもの不安につながる

自分が禁煙してから,もう何年経ったでしょうか。あんなにタバコを吸わないといてもたってもいられない毎日だったのに,いつの間にか,すっかり気にならなくなっています。

まさに「依存」ですね。

ただし,タバコがほかのものへの依存に変わっただけではないか,という気がしないでもありませんが……。

タバコと飲酒の影響

喫煙に関しては本当に多くの研究が行われていて,メンタルヘルスにもさまざまな悪影響がもたらされるといわれています。たとえば,出生前に親が喫煙していて,タバコにさらされた子どもは,生まれた後で内在化問題(抑うつや不安など)の可能性が上昇するという研究結果も報告されています。

一方で,問題になりそうな行為としては飲酒もありますよね。

ただ,飲酒に関しては,研究によって結果はまちまちのようです。出生前に親がアルコールを摂取していると,育った後で不安の問題を生じさせるという研究がある一方で,必ずしもそうではないと言う研究もあるようです。もしかしたら,喫煙と飲酒はセットになっている可能性もありますので,そこで結果が混在してしまっているという可能性もあります。

どうすればいいのか

こういう研究についてしっかりとした結論を与えるためには,幾つかの条件があります。

◎長期縦断研究:生まれる前からデータがとられていて,生まれた後も追跡調査が行われている研究プロジェクトであること
◎喫煙と飲酒:喫煙と飲酒の両方のデータがとられていること。かつ,出生前の親からデータが得られていること

「いまから研究をしよう」と思っても,こういうデータを得ることはなかなか難しいものです。長い期間もかかってしまいます。何かの研究プロジェクトが行われていないと難しいですよね。そこで,オーストラリアの長期縦断研究のデータで検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Prenatal tobacco and alcohol exposures and the risk of anxiety symptoms in young adulthood: A population-based cohort study)。

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