マガジンのカバー画像

むさしの写真帖

394
「写真っていうのはねぇ。いい被写体が来たっ、て思ってからカメラ向けたらもう遅いんですよ。その場の空気に自分が溶け込めば、二、三秒前に来るのがわかるんですよ。その二、三秒のあいだに…
運営しているクリエイター

#モノクロ写真

むさしの写真帖

むさしの写真帖

古いデジカメについて書いています。
ただしこれらの記事は2018年前後のものであるので、カメラのほとんどは手許にないのをご承知おきください。

追記: ネタが尽きたので写真、カメラにまつわること。またアラカンおじさんの日常について書いたりします。(2023年霜月朔日)

リップ・ヴァン・ウィンクルの話

リップ・ヴァン・ウィンクルの話

「寝ますか?寝る前におはなし一つしてあげますよ。

リップ・ヴァン・ウィンクルの話って知ってます?
いい名前でしょ。 
リップ・ヴァン・ウィンクル。

彼がね、山に狩りに行ったんですよ。
山へ狩りに。そこでね、小人に会ったんです。
何ていう名前の小人だったかは忘れましたけどねえ。ずいぶん昔の話だから。

とにかくその小人に会って、ウィンクルはお酒をごちそうになったんですよ。
そのお酒があまりにもお

もっとみる
William Eugene Smith

William Eugene Smith

定着液を変えて幾らか改善が見られる。
ただ現像は足らない気がする。
EI20 で 15 分。
20 分くらいでも良いかも知れない。

写真は William Eugene Smith である。
水俣での取材の様子だが、あの事件は知れば知るほどチッソという会社が果てしなく根腐れをしていた事が見えてくる。
その根腐れに巻き込まれた形で彼自身も殴られて重傷 ( 写真家である彼の片目は視力を失う。「殴られ

もっとみる
戦ぐ

戦ぐ

すんなり読めた方はどれくらいいるだろう。
「そよぐ」と読む。
風がそよぐとかで使う。
そよ・ぐ【▽戦ぐ】
[動ガ五(四)]風に吹かれて草や木の葉などがかすかに音をたてて揺れ動く。「風に―・ぐ葦(あし)」
である。

「そよぐ」という言葉の印象からは程遠い。
そもそも「戦」という字は「単」と「戈」からできているとされている。
「単」は「たて」で「戈」は「ほこ」であるので、いくさなどの意味の他にふるえ

もっとみる
オリンパスワイド

オリンパスワイド

チョートクさんのこの記事を見て。

ぼくもオリンパスワイドを使っていた。
ジャンクのような売られ方をしていて、大変に安価だったと思う。
この頃のズイコーは曇りやすいというのが通説で、ぼくが手に入れたものも盛大に曇っていたが、キイロビンという油膜をとるカー用品を使って磨くとキレイになった。

カメラの写真がほとんどない。
あってもロクなものがない。

チョートクさんも書かれているように、このカメラは

もっとみる
森山崩れ

森山崩れ

ぼくは、そこそこの歴史(日本史)好きである。
というか、ぼくが生まれ育った名古屋という土地は中世の歴史の宝庫である。
信長、秀吉、家康(正確には信長、家康は名古屋市内ではないけど)は言うまでもないが、加藤清正は秀吉と同じく中村区に出自を持つし、福島正則は現在のあま市、前田利家は中川区である。
以下、

柴田 勝家(名古屋市名東区\北の圧城主)
増田 長盛(稲沢市増田南町\群山城主)
長束 正家(稲

もっとみる
辻斬り

辻斬り

D.Zuiko f=3cm 1:2.8
Kodak Plus-X125(D-76 1:1 8min30sec)

二〇一〇年三月一七日の写真。
どうやら名古屋・栄にいた様だ。
オリンパス・ペン(この場合、もちろんデジタルではない)はハーフサイズなので、ライカ判一枚のフォーマットで二枚撮影できる。
つまり三六枚撮りであれば七二枚撮影出来るのだが、普通に撮っていたのではなかなか終わらない(笑)
そこで

もっとみる
祥月命日

祥月命日

その日の父の行動は見ていなくても全て手にとるように分かる。
日曜日の朝、たぶん七時前には起きてきたはずだ。
身支度を整え朝飯の用意をし、仏前に座る。
少しは体調の悪さを感じたのだろうか。
仏間から居間に移動し、炬燵の前の定位置に座り、横にある電気ストーブのスイッチを入れようと身体を伸ばしたのだろう。
そのまま父は亡くなった。
多分八時過ぎくらいだろうと思う。

翌日ぼくが見つけた時、家中の電化製品

もっとみる
ジョハリの窓

ジョハリの窓

"open self” と “hidden self” と “blind self” と “unknown self”。
“Johari Window"では枠が移動する事で対人関係における自己開示の度合いを示す。
言い換えると「あなたと私が知る私」「あなたが知る私」「私が知る私」「あなたも私も知らない私」

その窓から見える景色はどう違うのだろう。
その窓から一体どの「私」が見ているのだろう。

もっとみる