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むさしの写真帖

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「写真っていうのはねぇ。いい被写体が来たっ、て思ってからカメラ向けたらもう遅いんですよ。その場の空気に自分が溶け込めば、二、三秒前に来るのがわかるんですよ。その二、三秒のあいだに…
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2024年6月の記事一覧

6月の憂鬱

6月の憂鬱

6月は22年前に心筋梗塞を起こした月だ。
家人は、ぼくが夕方に自宅で倒れ救急搬送された病院で、その深夜に医師から「助かる確率は30% 」と言われたそうだ。

あの年はワールドカップの年だった。
療養中の唯一の退屈しのぎはテレビを見ることだったが、どの局もワールドカップ関連ばかりで、看護師さんが「テレビも他に見るものがなくなっちゃったね」と溢していたのを覚えている。

それから12年。
10年前の2

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気分を変える

気分を変える

ここのところ写ルンですのレンズを使っていたので、たまにはM3/4用に使っていたCCTVレンズを付けてみる。
写ルンですレンズは広角なのはいいけれどF値はf/11くらいの固定だから夜には使いにくい。
フィルムカメラとは違ってISO値を勝手に上げてくれるから、いきなりシャッタースピードが1/8とかになってしまうことはないけれど終日これ一本だけで過ごすというのは悩みどころだ。
内蔵フラッシュもあるけれど

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化け物

化け物

見慣れたはずだけども、やはりあの人混みを目の前にすると気後れしてしまう。
朝の名古屋駅のJRや私鉄から地下鉄へと移動する人の多さもかなりのものだったが、新宿のそれとは比較にならない。
なにせ乗降客数がギネス記録だ。

もうキャパシティ的には限界を超えているのだと思う。
東京には人が多すぎるのだ。
こちらに来て驚いたことの一つに「人がいない場所がない」ということがある。
例えば夜遅くに駅から歩いて帰

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アラカンフォトグラファーがベランダに立ってみたら

アラカンフォトグラファーがベランダに立ってみたら

インスタを見てると「◯◯歳フォトグラファーが...〜たら」というのがよく流れてくる。
よく見たら同じカメラを持っているので「アラカンフォトグラファーがベランダに立ってみたら」という感じで撮ってみる。

いやよく写るね、ホント。

伊良湖岬

伊良湖岬

芭蕉が保美の里に隠棲していた愛弟子の杜国を訪ね、伊良湖岬を清遊したのは貞享四年(1687年)十一月。
また島崎藤村は
「名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の實一つ
故郷の岸を離れて
汝はそも波に幾月
舊の樹は生ひや茂れる
枝はなほ影をやなせる
われもまた渚を枕
孤身の浮寢の旅ぞ
實をとりて胸にあつれば
新 なり流離の憂
海の日の沈むを見れば
激り落つ異郷の涙
思ひやる八重の汐々
いづれの日にか國に

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いい420

いい420

昨日中古レンズを買いに新宿まで行ったというのを書いたが、このカメラに付けるレンズなのである。

オリンパスE-420。

2008年に発売された一眼レフだ。
16年も前のカメラなので性能云々の話をしても仕方ない。
ぼくはこのカメラを死蔵していたのだ。
というよりも「忘れていた」が正しい。
先日、納戸の整理をしていた際、こちらに越してきてから1度も開封してない段ボールがあり、なんだっけな、と思いなが

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残すべきものと残るもの

残すべきものと残るもの

これは2015年に書いたもの。

久しぶりに赤線跡を歩いてみた。
ここは名古屋市北区の「城東園」である。

まだ辛うじて残っているが、建物の老朽化からか建て替えが進んでいて、どんんどんなくなっている。
前回訪ねたのは1年くらい前だが、その時から比べても何軒も建て替えられていた。

もっと心配だったのが、港区の「港陽園」跡地にある「かもめアパート」

この見事な豆タイルの細工を見よ!てな具合である。

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まねごと

まねごと

新宿に行ったので、ちょっとあの人のまねごとをしてきた。
あとから見ると小っ恥ずかしい。