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エッセイ

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身の置き場に困る

身の置き場に困る

1年に1回引っ越しをしている。

引っ越しをすると寿命が短くなると言われているが、私にとってはプラスなのかもしれない。

長く生きると、長く居ると、慣れてしまう。

「慣れ」はいつも恐ろしい。

いつの間にか満足できなくなり、欲望が昂る。
自分の力を過信し、驕り高ぶり、届きもしない木に実るりんごをまたどうしても欲しくなってしまう。木に実るりんごを食べる自分にしかなりたくない。それは酸っぱくとも。

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マンション

マンション

「もう少し残れる?」と聞かれ即座に返答した挙句、最寄りの最寄りまでの山手線終電に駆け込む羽目になった。
かつては闇市とギャングが居た街、池袋
終電のアナウンスが流れ緑の車両に人々が駆け込む時代も終わった。

悠々と一つ飛ばしに座り、車両は新宿、高田馬場へと進んでいった。
最寄りの最寄りである池袋に着き、おぼろげに階段を降りた。
改札を出ようとすると残高不足の改札音で目が覚めるほどにぼんやりしている

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Summer-sadness

Summer-sadness

傷に染みる粉が入った液体の制汗剤は、
指定バッグの中で爆発すると激臭と共に教科書がずぶ濡れになるという悲劇の伝説であまりに有名だったよね。

チャイムがなると、号令を無視し教室を抜け出した。
一人でに準備をし、
彫刻刀を持って人気のない1号館と2号館を繋ぐ橋に向かって小走りした。

今日は最後の授業だったので少し心が躍っていた。
何も予定があるわけでないが、休み前の期待。
帰りにアイスは決まってる

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乖離記録

乖離記録

確かに意識はあった。
その時にはあったが、起きた時には断片的にしか思い出せないこと。
それは無意識的行動なのかもしれないが、何か自分の中のものを整理しようとしている行動だったので、書き記す。

2/28 2:04

ちょっと休憩中 髪の毛切ってたらシャンシャン戸祭声が聞こえてきて自分は左前髪の輩からの声を汲んできってやったけも右前髪に寄るようにってマスターが言ってきてうざい
そしたら、からっとひっ

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傷

21/3/1 20:00
帰路に着く。
ふいに緑のものが食べたくなり、
駅に降りて歩き、ちいさな閉店間際のスーパーに寄る。
ふと見るとアボカドが売れ残っていた。
96円という少し値引きされたいくつかのものから柔らかいものを揉んで選び、
片手に納豆を持ち会計に行く。
アボカド丼に決まったと少しわくわくしながら小銭を受け取り、肉用の薄いビニールを手に歩いた。
川沿いのアパートまで駅まで徒歩11分。

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カラー

個性にならなかった時には無難でしょうと紛らわせて押し込む
混ぜようとしても無駄になってしまった色
一色一色が同じ成分でできている
レンズに映し出すことで際立った存在、
瞼を伏せれば黒になる
混ぜ合わせればグレーに変わる

美術室での掃除を任された私は
机に張り付いた絵の具を剥がして
舌の上に乗せた
多分、その色を体に入れたら
少し元気になれるかなとか思ったから

薄い橙色

自分で使うことは無かっ

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      drunken* at night

drunken* at night

メンソールみたいなこの町で
もう遅い 止まってる その心で
吸い込まれそうな右からの鉄塊
絶え間なく タイミング良く 進むTT

アナウンスによって 知覚
神経ひりひり 顔は青ざめて
下町 たたずむ夕日と沈んでく耳
知らない町の商店街

氷の街から逃げ出して
きらきら 憧れたね
もうやり切れなく ひび割れた指先
引き戻された その一瞬は
流れた流れた 暖かい日の間

知り過ぎた
知らないまま

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目下

目下

水を見に行った
生き物よりも照らされた澄み切った水が
流動してゆくさまを見ていた

照らす光りによって水は受け入れられる
可視化される

目に焼き付けたフィルムの幻影を
いつ思い出すのだろう
それは多分 次の区切りに近くなった頃

雁字搦めにされた海月の触手が悲しくなる
それは留まるように操作されているのだろう

抜け出すことや、留まることを
出来る生き物もあり、
できない生き物もいる
これらはど

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2016年 2

スチューデントアパシーが訪れた頃。
気がついたら大学生という期間が長く、自由すぎる環境の中で
「自分で自分のことを決め、行動する」
という思考がなかった私はやりたい事も特になく、配信サイトで流れる配信者と時間を忘れカーテンを閉めた部屋で指先から会話をしていました。

ある配信者に心を掴まれました。その方は人を惹きつける才能がありました。そして精神的な病を患った方でした。
毎日毎日ODをし、「ラリっ

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右半身

右半身が重く、
特に脚と手が痛い。

右半身を酷使しているわけでもないが、動かすとギイギイと音が鳴る。

右半身にまつわるスピリチュアルな話を小耳に挟んだので覚書程度に書くことにする。

右半身と左半身では
体からのメッセージの方向性の違いがある。

右半身は
「これから先の未来」
左半身は
「これまでの過去」
へのメッセージであるそうだ。

右半身が痛いというと、
これから先の未来に不安を感じ

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人生、1周目

人生、1周目

突然ですが…
私、人として生まれてきてからは
未だ1周目であります。

前世はあまり覚えておりません。

最近やっと気づいたことであります。
それは
上を見たら青天井
下を見ても沼に足を取られる事を学びました。
23年目にしてやっとでありますが。

その上で私は青天井を見上げ高めたいのです。

だがやはり、
落ち込む事、床に伏して動けない時期ももあります。
また、ただの実力足らずや

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2020/05/23 5:05

2020/05/23 5:05

憂鬱と疲れと目眩、不眠、低気圧
体のバッテリー、7%

昨日までの快活さがある自分が恋しい。
今は何もかも忘れてしまいたい
投げ出したい、無くなりたい‼︎……

なにを作っても消費されて、終わり。
意味なんかない




:

うつらうつら、天井を見つめ続けた、
もうどれくらい寝たのかも
夢の内容もしゅわりと消えていった

セーブ時点から始めよう

諦めたくない、
やりたいことで認められたら

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動くということ

動くということ

皆がストレスを抱えている。
失業者が増え、在宅ワーク、いや、テレワークも増えた今。
家に居ること、またマスクを着用しないと非國人のような目で見られることも多くなった。

今回フォーカスしたのは動くということだ。
動くというのは仕事で動くということでもない。娯楽や自発的な運動をすることだ。

日が経ち、自粛期間が延長されたが一応の自粛明けの頃の人々の輝かしい表情は目を見張るものがあった。

また

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踞る

踞る

4:30
慣れ親しんだ 冷たいフローリング

赦されたいと思っていたが、赦され続けてきた

気づかなかった

ほどけた温もりの中で
不平不満を吐き続ける

煤が出る

今日聞いた音楽の歌詞も忘れて
椅子に座るのもやっとだ

わざとらしい映像も演技じみた語択も
やめないでよ 安心させてよって
これが生活というものなのかって書くけれど

難しいことはやめて 淡々と説明してくれよ
わかったは

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