見出し画像

冤罪と闘った親子の軌跡「7番房の奇跡」

みなさまこんにちは。今回は、先日のyoutubeライブ配信で西野亮廣さんが紹介されていたという韓国映画『7番房の奇跡』をご紹介致します。

『7番房の奇跡(原題:7번방 의 손물)』2013年公開

画像1

画像2

あらすじ
1997年、知的障害を持つ父ヨングと6歳の娘イェスン。ふたりきりの家族は支え合いながら仲睦まじく暮らしている。しかしある日父が幼女殺害容疑を掛けられ刑務所へ収監されてしまう。離れ離れになる親子。7番房の囚人達はみな強面揃いだが、あるきっかけでヨングに命を助けられた房長は、どうしても娘に会いたいヨングの願いを叶える為にイェスン潜入計画を実行する。計画は成功しつかの間の再開に喜ぶ親子。天使の様なイェスンの存在に、心癒されていく7番房の面々。ヨングの純粋無垢な姿に、刑務所長もその有罪判決を疑い独自に調査を始め無罪を確信する。ヨングの無罪を勝ち取る為に、皆で裁判の問答の練習を繰り返すのだが、裁判でヨングが殺害を認めた事により、死刑を言い渡されてしまいー。

キャスト

ヨング:リュ・スンリョン
妻と死別し娘を一人で育てている。知的障害により6歳ほどの知能しかない。イェスンの小学校入学祝いにセーラームーンの鞄を買ってやりたいが、それが悲劇の引き金になってしまう。
リュ・スンリョンさんと言えば、以前ドラマ「キングダム」の記事でも取り上げた俳優さん!キングダムで演じた様な怖い役からコミカルな役、そして今回のハンディキャップがある役まで演じる、今の韓国映画界に無くてはならない存在です。正直この映画を見ても、途中までリュ・スンリョンさんだと気付きませんでした。それくらい作品毎に違う顔を見せてくれます。

画像5

イェスン:カル・ソウォン(子役)/パク・シネ(大人)
ヨングの一人娘。父を支える心優しいしっかり者。7番房の囚人達の心の癒しとなっていく。父の無罪を証明する為に弁護士となる。

カル・ソウォンちゃんは2006年生まれ。この映画で一躍大人気になりました。とにかく可愛い!!天使。その一言につきます。大人になったイェスンを演じるパク・シネさんは言わずもがな人気女優さん。

画像3

画像4

実在の事件をモチーフに:春川強姦殺人事件
映画はフィクションですが、1972年に韓国春川(チュンチョン)で発生した強姦殺人事件をモチーフにしています。当時小学生だった女の子が下校途中に行方不明となり殺害され、市民が誤認逮捕された事件です。

感想
やるせない。とてもやるせない映画です。知的障害、誤認逮捕、冤罪、死刑。ハンディキャップは英語では"Gifted"とも表現しますよね。Giftとして皆でサポートするべき存在です。社会的弱者となりがちなハンディキャップのある人を、不自由な弱者にさせない社会であってほしいのに、この映画では悲劇のオンパレードです。だからこそこの映画はハートフルかつコミカルな作りで包んで、誰もが安心して見られるようにしています。父の誤認逮捕で引き裂かれた子供が刑務所の中を秘密で出入りして暮らすという奇跡のような設定であり、更にはヨングの無罪を確信した仲間たちや刑務官までもがヨングとイェスンを気球で脱出させようとする奇想天外なシーンも。とてもファンタジックな映画であり、7番房の面々も個性的でたくさん笑える映画です。だからこそ考えてみて欲しい。冤罪の重さについて。上にある韓国版のポスターに書かれている”잘못들어 오셨습니다””間違っていらっしゃいました”という意味です。冤罪で間違って刑務所に来てしまったヨングと、こっそり忍び込んで来てしまったイェスルの事をさしています。悲しい事に冤罪は、まだ現実的に存在しているかもしれず、世界のどこかにヨングの様な人がいるかもしれないのです。

画像6


※以下ちょこっとネタバレあり※
キーアイテム「セーラームーンの鞄」

日本語版のポスターでイェスンが背負っている黄色いランドセルは、この物語のキーアイテム「セーラームーンの鞄」。お店の残り一個の鞄を取り合って男性と揉めてしまうヨング。後日この鞄を背負った女の子を見かけて後を付いて行ってしまうヨングですが、女の子は運悪く凍った路面で足を滑らせて転倒死し、現場に居合わせたヨングは誤認逮捕されてしまうのです。ちなみに韓国版セーラームーンの「月にかわってお仕置きよ!」「愛と正義の名の下に許さない!」

画像7

物語の終盤で、遂にヨングはイェスンにこの鞄をプレゼントする事ができます。しかし幸せはつかの間で、まもなく死刑判決が下ったヨングには刑が執行される事に。イェスンと最後の別れをした後、急に死の恐怖が押し寄せたヨングは泣きながら「ごめんなさい」「許して下さい」と叫びます。死刑を目の前にして、嘘の自白をした事をここで初めて後悔したのです。大人になり、父の名誉を回復する為に法廷に立ったイェスンが、「私は正義の名の下に父を許します」と涙ながらに告げるシーンは、この「セーラームーンの鞄」と、父の最期の叫びに繋がる言葉なんですよね。父の魂が休まるように。全ての伏線が回収される秀逸なストーリー展開です。

画像8



韓国国内映画動員数 歴代8位の実力を見よ

「7番房の奇跡」は、韓国国内でなんと歴代動員数8位!(あの「パラサイト」は19位です)。主演男優賞や脚本賞、企画賞等々多くの賞も受賞しました。西野さんもおすすめする映画「7番房の奇跡」、ぜひご覧ください。



この記事が参加している募集