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映画館で飛び跳ねる男

映画館でのマナーは心得ているつもりだ。

上映中は、
a)おしゃべりをしない
b)音をたてて、飲食しない
c)やたらと体を動かさない

その日、
ほぼ満席の映画館でのこと。かなり前の方の席だった。

題名は忘れたが、ジャングルの中を歩き回るシーンが映し出されていた。
寝不足だったこともあり、画面の中に溶け込んでしまいそうな妙な感覚に襲われていた。要は、居眠りの入り口付近に差し掛かっていたのだ。
その時、突然、画面の向こうから、大きなトラがこちらに向かって襲いかかってきた。
とっさのことに、ボクは、
「ギャッ」と席から飛び跳ねてしまった。

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自分の犯した大失態に気がついたとき、後方席から、くすくす笑いが聞こえてきた。
ボクは、上記マナーc)を破ってしまったのだ。

その後、映画が終わるまで、背中に冷たいものを感じつつ、ボクはまんじりともせず、自分の罪を悔いていた。

もう一つ。
これも題名は忘れた。
欧州の街角で、真っ赤なコートに真っ赤な頭巾の女の子を追い掛けているシーンだ。
まだ幼稚園くらいの小さな女の子で、走り方があどけない。
そしてついに袋小路に追いつめた。

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振り向く赤ずきんちゃん。
しっかし、それは、
小さな女の子ではなく、老婆だった。
シンデレラに毒リンゴを食べさせた魔法使いの老婆だったのだ。
このときも、あまりのことに、
「ギョエッ」
と身を引いてしまった。
またも、あの、クスクス声。

われの守護神は背後霊
希代の呪われし者◉‿◉乁[ ◕ ᴥ ◕ ]ㄏ

そこで、

《新・映画館での心得》
☆真剣に、
☆決して自分を見失わず、
☆全身の筋肉を臨戦状態に保ち、
☆出来たら、後ろに人がいない席に座る。

これじゃ、映画を観ていてもつまらないや¯\_༼ᴼل͜ᴼ༽_/¯

結構、映画は観てきた。
学生時代は、ロードショーだけじゃなくて、古き名作3本建てとか、オールナイトとか。レンタルしたり、ダウンロード購入したり、テレビ放送される映画は、録画して、じっくりと鑑賞する。

ギョッとした話で終わらせると、品性が疑われるので、(すでに疑われています←天の声)

感動した映画の話。

<独断と偏見のチョイス>

1)メリーポピンズ(ジュリーアンドリュースの方。リターンズの方は、最新特撮に頼っただけで、幻想的なあの感じが得られなかった。ストーリーもスッキリしない)

古き良き時代の英国で、幼い姉弟の教育係として雇われたメリー・ポピンズが、夢と優しさを教える。優しく幻想的な世界観にうっとり。
《好きなシーン》
絵の中に入って、絵の中で踊ったり、競馬に参加したりするシーン。

https://www.youtube.com/watch?v=drHkJGKn4Lk


2)千と千尋の神隠し

千尋は転校地に両親の車で向かう途中で、神様たちの世界に迷い込んでしまう。幻想的な映像に思わす、ゾクッとして、向こうの世界に入り込んでしまった。

《好きなシーン》
千尋が両親を飲食店に残して、周辺を歩き回っていると、辺りは徐々に暗くなり、不思議な船がやってきて、半透明の神々が現れるシーン。

https://www.youtube.com/watch?v=KXYMMyAZOcM&t=154s

3)いま、会いにゆきます

幼くして母親(ミオ)を亡くしたユウジは、ミオの残した自作絵本で、雨の季節になったら戻っててくる、との言葉を信じて梅雨入りを待った。そして、本当に戻って来たミオ。
優しさに満ち溢れていて、涙ぐんでいる自分を照れた。

《好きなシーン》
まもなく消えてしまうミオが、ケーキ屋さんで、子供が18になるまで毎年誕生日にケーキを届けてもらう予約をするシーン。

https://www.youtube.com/watch?v=8vHeKWoK9U0


これら3つの作品の共通項は、
「幻想的な優しさ」

いつまでもそんなものを追い求めていては、

一生ピーターパンのまま

なのに•́ ‿ ,•̀

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