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【AWL株式会社様】企業の個性を分かりやすく伝える「漫画プロモーション」の可能性 | With Potage Vol.4

Potageは、札幌を拠点とするAIスタートアップ「AWL株式会社」様のCES2023出展をコンテンツ面でサポートしました。CESは、毎年アメリカ・ラスベガスで開催されている世界最大級のITの展示会で、コロナ禍以来3年ぶりの本格リアル開催となった今年は、世界中から11万人ものビジネスパーソンが参加されました。AWL様は、Potageが制作したプロダクト解説漫画を展示やPRの目玉として出展し、はじめてのアメリカ出展で大きな成果を残しました。今回のインタビューでは、PRの手段としてPotage制作の漫画を選んだ理由や、今後の海外進出への手ごたえ、そして今後のPotageとのコラボレーションの展望について、お話を伺いました。



プロフィール

■土田美那氏 AWL株式会社CHRO(最高人事責任者)
タイ、オーストラリア育ち。北海道大学卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック(株))に入社。R&D部門、マーケティング部門、デバイス事業における人事領域で、グローバル人事業務・マネジメントに従事。人事基幹システム構築、技術人材スキル管理システム等の全社横断プロジェクトを推進。更に、2013年よりシリコンバレーにて新規事業開発、地域活動に携わる。17年AI TOKYO LAB(現AWL) にて人事及び事業オペレーションを牽引し、現在のGLOBAWLカルチャーを築く。

■AWL株式会社様について
AWL(アウル)は「AI(人工知能)+OWL(フクロウ)」を足した造語。
約20カ国から集まる多国籍なメンバーが、リテール店舗の課題解決、価値向上を実現するためのAIカメラソリューションを開発、提供しています。北海道のドラッグストアチェーンである「サツドラ」との提携により、店舗での実証実験を繰り返し、実際の業務で使える水準でAI機能を、低価格で提供出来ることが強みです。「店舗」×「人」×「テクノロジー」の組み合わせによって生み出される価値の創出を追求しています。

世界を舞台にインパクトあるプロモーションを実現した「漫画」の展示

河原あずさ(以下、河原):CESへの出展お疲れ様でした。CESは世界最大級のITの展示会で、世界中から11万人ものビジネスパーソンが参加されました。日本企業も、大手企業からスタートアップまでたくさん出展していましたが、AWLさんも初めての出展をされました。僕もサンフランシスコに駐在していた2013~2016年当時は毎年行って、最新のテクノロジーをリサーチしていた身ですし、自分のことのように嬉しく思っています。

土田美那(以下、美那):ありがとうございます。今回のCESは、スタートアップエリア(Eureka Park)のJETROによるジャパンパビリオンへの出展が急遽決まり実現しました。結果、1,000人以上の来場者数、750名以上の方との名刺交換、今後に繋がるご縁もいただきました。そして、西村経済産業大臣にもお越しいただき、ブースやデモを見ていただきました。

河原:今回は、弊社も実はその出展にかかわることができたと判明しまして、嬉しさのあまりにインタビューすることになりました(笑)。

美那:ありがとうございます。あずさんには、AWLのサービス「AWL Engine」について説明する「漫画」をこの度制作いただき、出展の目玉コンテンツとなりました。

 出展が決まった際に、小さなブースで、どうやってグローバルの企業さんたちに、弊社のサービスをPRすべきか、とても悩んでいました。ここ数年のコロナ禍の影響もあり、今回のCESが久しぶりの現地開催ということで、来場者の増加も見込まれていました。

 そこで思いついたのが、元々は、2022年夏に営業資料用に制作頂いたあずさん作の漫画を英訳して、パネルとフライヤーにして展示することでした。「日本と言えば、漫画!アニメ!」というイメージは外国の方にも浸透していますし、あずさんの漫画でサービスの説明をすると、いいインパクトが与えられると考えたのです。

河原:元々は社内資料用として日本語で制作された漫画だったんですよね。だから、今回は、思わぬかたちでCESに参加できて、海外の方々にも僕の漫画を観て頂けて、とてもうれしい限りです。そもそも、どういう経緯で、サービス説明を漫画にしようと考えたのでしょうか。

美那:AWL EngineのようなAIサービスは、目に見えない要素が多いですし、技術的に難しいことをたくさんやっているので、技術職以外の社内スタッフでも理解が難しいものだという印象が正直ありました。しかし、AWLを世界に広げていくためには、私たちのよさを、どれだけシンプルに伝えるかが重要です。

 そこで思いだしたのが、あずさんが描いてFacebookであげていた「グラフィックレコーディング」でした。

 そもそも、SNSやブログで見ていると、あずさんの文章は日本語がとても分かりやすくて、上手だと感じていました。それに加えて、イベントなどの様子をグラフィックレコーディングや挿絵にされているのを見て「更に分かりやすい!」となったんです。それで、いつか一緒に仕事をしたいなと、ずっとチャンスをうかがっていました。

河原:そうだったんですね。すごい!発信してみるものですね。

河原のグラフィックレコーディング

美那:最初のお仕事の機会は、AWLの6周年記念の社内オンラインイベントのファシリテーターを依頼したことでした。そのイベントの進行や演出がとても好評だったのですが、並行して社内で「AWLの説明するのが難しいサービスや技術をどのように世の中に発信すればいいのだろうか」という課題が持ちあがったんです。

 その議論の中で、広報メンバーから「漫画でPRするのはどうでしょう」という声があがりました。それを聞いて、あずさんの描いていたイラストを思い出して、すぐに相談することにしたんです。イベントをきっかけにして、社内にはあずさんのファンが既にたくさんいて、スムーズにご一緒する流れになりました。

河原:その後、CTOの土田安紘さんに時間をかけてヒアリングをして、AWL Engineがどのような優位性を持っていて、クライアントさんのビジネスにどのような貢献をするのかを一緒に言語化していきました。その後に、どのように描けばAWL Engineの素晴らしさが、あまり技術に明るくない方にも伝わりやすくなるかを考えつつ弊社で練り上げ、ネームと呼ばれる漫画の下書き原稿を制作して、それを再度お見せしてディスカッションしながら、2ヶ月ほどかけて完成まで持っていきました。

AWL Engineの説明漫画

美那:完成したサービスの説明漫画は、とても面白くて、わかりやすいものでした。いちばん喜んでいたのは、漫画のキャラクターにしてもらったCTOの土田でしたけれど(笑)。

 ちなみに、あずさんの書籍「コミュニティづくりの教科書」は、社内の合宿研修の教科書としてスタッフのみんなに読んでもらっていたんです。本の文章とイラストを見ても、あずさんの言葉の力と、それを絵に落とし込める才能がとても素晴らしいと、スタッフの間でも評判でした。だからこそ、弊社としても受け入れやすかったのだと感じています。

河原:その漫画が急遽決まった海外出展で役立ったわけですね。

美那:はい。CES出展が決まり「漫画のパネルやフライヤーをつくろう」と思い立ち、急遽英訳することにしました。けど、漫画の中の効果音のカタカナなど、日本語もあえて少し残したんです。結果、日本っぽさが残って、それが展示の個性につながりました。

 大きなイベントでの出展において大事なのは「インパクト」です。「なんだこりゃ!」という良い意味での驚きを与えられないと、ブースの前を素通りされてしまうんですよね。そこで、あずさんの漫画を前面に出して、スタッフははっぴを着て、とにかく「日本らしさ」をアピールする戦略をとったんです。

 結果多くの来場者の目を惹くことで、たくさんの商談を持ち帰ることができ、今回のような手段がすごく有効だと実感しました。今後もこういうインパクトあるPRをしていきたいですね。

CES2023の出展風景

河原:Potageは「コミュニティ・アクセラレート・カンパニー」と名乗っているのですが、その理由として「新しい事業を加速させる存在」でありたいという思いが根底にあるんです。コンサルタントともちょっと似ているようで違っていて、お仕事をする相手に並走して、一緒に手足や頭を動かしながら、事業を広めていく存在でいたいと思っているんですね。

 今回のお仕事は、ただのイラストレーターの仕事ではなくて、事業や技術の本質的な部分や、スタートアップとしてのビジョンやバリューを弊社が理解できていたからこそ実現できたと自負していますし、そんな特性を見抜いて頂いて、活用頂いて、とても嬉しく思っています。また、大型コンベンションの展示ブースのプロデュースの経験も多数ありますし、そこで「分かりやすく伝える」ことの大事さが分かっていたからこそ、CESにもはまったと思うんですよね。

世界で戦うには、企業や事業の個性を分かりやすく伝えることが大事

美那:今回あずさんにご相談した大きな理由のひとつに、同じ時期(2013~2016年)にカルフォルニアにいて、英語が話せることと、グローバル感覚を持っていることが大きかったんです。私はAWLでHRとPRを見ているのですが、外国人が従業員の半数以上を占める中で、様々なバックグラウンドのメンバーの感覚でも分かりやすい言語化が大事だと日々痛感しています。あずさんの文章や言葉はいつもスッと入ってきますし「難しいことでも、感覚的に分かりやすく言語化とビジュアライズができる」能力が、そこで活きるだろうと感じたのです。

 私自身も、10歳までオーストラリアで育ったので、むしろ英語より日本語が不得意な一面があるんです。だからこそ、グローバルな目線でみたときのあずさんの分かりやすさを見抜けたのかもしれません。

河原:ありがとうございます。3年間アメリカでビジネス活動をして痛感したのが「わかりやすく伝えないと、何も伝わらない」ということなんです。僕が当時いた会社は日本でしかビジネスをやっていなくて、知っている現地の人は誰もいなかったですし、僕自身も、複雑なことを説明できる英語力は持ち合わせていませんでした。

 そんな中で、より広く自分たちの活動について知ってもらうためには、複雑なことや難しいことを言っていてもダメで、いかに短い時間で、わかりやすく、自分達が何を実現したいかを伝えないといけないと感じたんですね。
サンフランシスコでイベントを重ねる中で、一見難しい技術やアイデアをわかりやすく、よりかみ砕いてアウトプットする魅せ方や伝え方を身に着けてきました。今、美那さんのお話をうかがって、その時の経験や視点が生きたのだと実感がわきました。

美那:そういう意味で言うと、AWLの伝え方には、まだまだ改善の余地があると思っています。AIって、IT業界の中ではすでに「新しいもの」ではなくて「当たり前に存在しているもの」というイメージが強いんです。一方で、CESの来場者は、真新しさをプロダクトに求めます。そういう意味で、私たちの技術の新しさを伝えるもっと良い演出の仕方があったように思います。来年出展するとしたら、私たちの技術がビジネスにつながるように、しっかりと作戦を立てて臨みたいです。Potageさんにも手伝っていただけると嬉しいですね。

土田美那さん(左)と西村経済産業大臣(右)

河原:ぜひ。それこそが、Potageの本領が発揮できる領域だと思っています。イラストや漫画やデザインは1つの要素でしかなくて、大事なのは、事業全体をトータルで見た後に、その企業や事業の個性を、いかに分かりやすく伝えていくかなんですよね。そのストーリー作りから見せ方まで、一気通貫でサポートできると、もっといいアウトプットがつくれると思います。

美那:日本にはどうしても、自慢をしないようにする控えめな文化があると思うのですが、スタートアップとして大事なのは「自分達が誇るものに自信もって前に出していく」ことだと思うんです。この文化を一緒に変えていきたいですね。

河原:AWLさんの他にも、日本の大企業やスタートアップは、いい技術をちゃんと持っていると思うんです。けど、自信をもって説明できていなかったり、発信が弱かったりする傾向を感じています。これは結果論ですけど、漫画にすることで、日本の方から見たら柔らかな雰囲気の発信になり、海外の方からするとインパクトあるコンテンツとして受け入れられたことは、他の日本企業にもたくさんのヒントを与えてくれる気がします。

美那:そうですね。今回は北米進出の足掛かりもできて、私たちの夢の実現のいい一歩が踏み出せました。けど、まだ成長の余地はあると思っていますし、この熱を止めないように、ぜひPotageさんと一緒に成長していきたいです。今より先の世界に向けて、ポジティブな仕事を増やしていきたいです。

 Potageさんとは、この「世界に打って出よう」という熱が共有できる感覚があります。それは、あずさんと私が、起業の熱が非常に高かった同じ時期に、サンフランシスコ・シリコンバレーにいたからだと思うんです。社会人として苦労している時期に、前職のメーカーの駐在員としてシリコンバレーに行く機会に恵まれましたが、様々な起業家やローカルの人たちを見て「自分達もこんな風にポジティブな仕事をしたい!日本だけでなく、世界にチャレンジしたい!」と強く思いました。大きな夢かもしれないですが、こういうことは言わないと叶わないですし、言葉にしながら、行動を重ねることで、実現に近づいていくのではと考えています。そしてPotageさんとは、この夢を共有できる感覚があるんです。

河原:アメリカの起業家たちはとてもエキサイティングに自分の事業を語れるのに、日本の企業はそれが得意ではないな、と、当時感じていました。日本企業は、すごくシャイな様子で伝えたり、文字だらけの難解な資料で技術を伝えたりする傾向があるんですよね。

 そんな光景を目の当たりにして、自分達の事業や技術に対して「もっとわかりやすく伝えようよ!」と強く思っていたんです。それ以降、北米や日本のイベントで、様々な企業の製品やサービスを分かりやすく伝えて、ファンを形成するお手伝いをしてきましたが、今回のAWLさんとの取り組みは、その僕の思いが世界につながる可能性を示してくれましたし、弊社にとって大きなきっかけになる出来事だったと改めて思います。

 僕は、スタートアップにはもっとグローバルに目を向けてほしいし、大きなビジョンをつくって、もっと分かりやすく発信してほしいと思っていますし、Potageとしても、そのお手伝いができればと日々考えています。AWLさんは、元々グローバルな視点を持っていて、世界に打って出ようという野心があるからこそ、一緒に仕事をしていて楽しいんですよね。だからこそ、この取り組みは、もっともっと発展させていきたいです。

美那:そうですね。もっといろいろな形でインパクトある発信をしていきたいですし、そのためにも、Potageさんのお力をお借りしたいです。今後とも、ぜひよろしくお願いいたします!


インタビュー・執筆:桑田まどか(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)、河原あずさ(Potage)

※本記事は公開時の内容に基づいています


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