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勝手につぶやき<光る君へ(第27回)&藤の花>

★房事

選挙特番のため1週空いて、先々週どんなところで終わったんだったっけ?と、ぼんくらこいていたら、いきなりのラブシーンでうへっとなってしまった。
偶然にもほどがある。
恋愛ドラマの全部が全部嫌いなわけじゃないけれど、大河ドラマに求めているのはちょっと違うのよな。

房事については、いついつ誰ととかどこにも書き残されていないから、「あった」という証もないが「なかった」とも言い切れない。
でも、創作部分も「十分ありえるよな」と思わせるのが歴史ドラマの面白さなので、そうそう偶然に頼るのもなんだか白けてしまう。

逢瀬の有無に関係なく、それぞれが石山に詣でた話などが通説となっていて、それを脚本家がうまく利用したと思えれば、もうすこし盛り上がるのだが。

彰子への女御教育?について、倫子から「閨房以外に知恵はないの?」と言われてしまう赤染衛門。
このやり取りは、認識のズレを笑うところなのかもしれないが、私はあまり好きじゃない。


★思惑

この時代、月のものが来ないことや体調でしか妊娠を判断できないのよね。
医師(薬師?)とかに診察してもらうとかはないよね。(高貴なお方は知らないが)
生理不順の人とかつわりのまったくない人は、わかりにくいよな。
まずは「心当たり」の有る無しが問われるところ。

殿との心当たりがないことについて、いとが「黙ったまま行けるところまで行く。その先はその時に考える」というアドバイスが割と好き。
これは私が、いと同様、それなりの年齢になったから感じることかもしれない。
そういう「無責任さ」「出たとこ勝負」も、人生には必要なのよな、と。
若い私なら、到底容認できなかったと思う。
こういうとき、自分は年をとったなと感じる。


★道具

「朕は母の操り人形」と帝は言う。
女に狂うのは母の呪縛から逃れたいためということか。
言われた女院もまた、父親の政争の道具だったわけで、つまりは同じことを息子にしてきたということになる。
人は、自分がされたことは覚えているが、していることには無頓着なのよな。

入内した彰子の顔を初めて見た帝が、そのあまりの幼さ(少女っぽさ)に、自分が「道具」にされた経験を重ねずにはいられない感じが、今後の二人の関係においていくばくかの救いになるのかもしれないと思った。


★愛と打算

久しぶりの宣孝のお通いに殊勝に応えるまひろ。
「心を入れ替えました」と言っているが、いやいや、そうじゃないでしょ。
道長との件で気が咎めているだけ。

人は、後ろめたいことがあると、先回りして優しくなる。
浮気した亭主が普段買わない手土産を買って帰ったりするのと同じ。
しかし、そういう疑念を抱かれないように、浮気をしてもいつもと同じように優しくしないと言っている男性もいるのはどうしたものか。

宣孝が「何が起きようとお前を失うよりはいい」と言うのは、本心だろう。
いまをときめく左大臣の女を妻にしていることの実利的なメリットだけでなく、自尊心を満たすものでもあると思う。
どれが愛でどれが打算か、線を引けないところが夫婦の妙であり、線を引かないことが実は誠実なのかもしれない。
「不実とはそういうことも含めて」という宣孝の言葉から。

宣孝の死因は流行り病ということだが、睡眠時無呼吸症候群を起こすなど、心臓に弱点を抱えていたのだろうか。


★藤

紀行で取り上げられた大原野神社は、私の好きな場所だ。
写真が見つからないと思ったら、このころはカメラを持たない旅(証拠にこだわらない旅)をしていたんだったと思い出した。
御所の「藤壺」も紹介される。
藤にちなんで、写真は天神様の藤。(季節外れだけど)

藤を見ると
「 瓶にさす   藤の花ぶさ  みじかければ  畳の上に  とどかざりけり 」
という子規の歌を思い出す。

たとえ老いて朽ちゆくとも、この花はこのままで。
手折って我が家の瓶に挿そうとは思わない。
見に来ることができなくなれば、見られずともかまわない。

だが。
もしも、愛する人がいて、床に臥し、最期にひとめ藤の花が見たいと言ったら。
短くて届かない花でも、かまわず手折って、瓶に挿すだろう。

無条件に、無償の心で守りたい、というものが、いまの私にはない。
そういう意味で、つねに喪失と渇望の根を抱いている。

しかし、私自身をもっと絶望させるのは、守りたいものがないことに安堵している自分だ。
いまの私は、親も夫も子も孫もないことによって、世間の人たちが彼らを守るためにする苦労と味わう苦悩を持たずに済む。
そのことに胸をなでおろす冷酷さ。
恋愛シーンにうへっと思うのは、こういう私だから、なのかもしれぬ。

一応、このあとの「ブラックペアン2」も見る。
先週の感想はこちら。

この視聴にも、あまり熱が入っていない。
期待値、高過ぎたか。


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