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【読書感想文】思春期の黒歴史炸裂『ひらいて』

こんにちは、小谷りなです。

最近、近くの図書館へ行くのにハマっております。

綿矢りささんの『ひらいて』という作品を借りました。

映画化もしているそうですね。


あらすじ

陽キャの主人公・(高3)は、クラスメイトのたとえに片思い中。ある日、彼宛の手紙を勝手に読んだところ、同級生の美雪と交際中ということが発覚。がとった行動は・・・


感想(ネタバレなし)

三角関係!と思われたかもしれません。そうなんですけど、それがまたちょっと違います。まさかの三角関係になります。

なかなかの奇行に走る愛・・・(笑)

ですが、どうもその奇行に、なぜか共感できてしまうんです。

そして、好きな人が近くにいる時のあのドキドキ。好きな人を前にした時の自分の無力さ。どうにもこうにもコントロールできないあの感情。とにかく描写が細かくて、目につくもの、感じるもの、聞こえてくる音、全てを文字にしたあの表現が生々しかったです。

で、思春期特有の、危なっかしい、「認められたい」「自分を見てほしい」あの欲求って、なんなんでしょうね。

私自身、この物語を読んでいて、もうしばらく封印していた、過去の自分の醜い嫌なところまでよみがえってきて、なんとなくバツが悪い気分になってしまいました。


あの頃好きだった人、あれは本当に彼が好きだったんだろうか。

私を恋愛対象として見ていた女友達のあの表情の裏には何があったんだろうか。


彼が好きなのか、自分が好きなのか、
相手を思っての行動なのか、ただの自己満足なのか。


過去にも付き合った人に、自分でもわけのわからない言い訳を重ねてみたり、なんとなく嘘をついて相手の出方を見てみたりしたことがあるけれど、それが良くない方向に傾くのも自分ではわかってるくせに、なんでしょうか、あの破滅行動。自分でコントロールできない、あの衝動。

常に相手を試すような。
でも本当は自分の価値を試してるだけで、そこに相手の都合や、配慮は何もなかったし。自分の価値を試す必要はないと少しずつ学んでいったけど、学校というあの狭い箱の中で必死に生きるあの時代には、そんなことでしか自分を許せなかったんでしょうか。


あと、主人公への最大の共感ポイントは、私自身、陽キャグループに属していながら、寡黙で地味なタイプに惹かれていた点以外のなにものでもありません。(必死)

全く自分に興味がなさそうなのが良いんです。(爆)

好きかと聞かれればわからない、でも確実に、”なんか惹かれるヤツ””目で追っかけてしまうヤツ”ってのは、だいたいこの物語の西村たとえみたいな人物でした。

イキったヤツ、偉そうなヤツ、かっこつけてるヤツ、悪ぶってるヤツ、そんなのに興味はなくって、ちゃんと信念がありそうな、そういう人に惹かれていたのです。

残念ながら、私自身も主人公と同じく玉砕(?)した経験もあり、やはりいつ思い出しても苦々しくて、そしてあの頃の自分は痛々しい(恥ずかしい)です。

ある時には、と同じように、自分の持ち前の明るさとかを半分計算で使ってしまったし、傷をつけるような発言をしてみたりした。相手に罪悪感をうえつけるような言葉はたくさん投げて、
またある時には、元カノと連絡をとっていた彼氏に怒ったら開き直られたその腹いせに、他の男の子とデートに出かけたりもして。遊びに行っただけで、別に、なんのやましいこともなかったけれど。

自分の浅はかさに、外に出られないくらい恥ずかしくなるけれど、そうでもしないと保ってられない何かがあったように思います。


そんな昔のどろっとした記憶が流れ出て、消えない。

もうずっと忘れていた記憶が、この物語を読み進めるうちに、どんどん溢れ出ました。


思春期は怖い。思春期は無敵。



ちょっと昔を思い出してみたいとき、是非この本を手に取ってみてください。きっと、学生時代の思い出が、みるみるうちに蘇ってくるはず。


それは決して、綺麗なもんじゃないかもしれませんが。


おわり。


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