1粒のあま梅に溶かされた私の心。
暑い暑いある日。
炎天下での仕事。
汗をたくさんかく方ではない私のカラダかボタリ、ボタリと落ちてゆく汗。
なんだこれは。
私はこんなに汗をかくことが出来るのか。
炎天下の中、部活動をしていた学生時代も少し蘇って
暑さにやられていながらも私は感動していた。
出ていった水分を補おうとポカリスエット500mlを一気飲みし、その後また1本買って飲み干した。
炎天下の仕事の後は何だか頭がずーっとボーッとしてしまって
その後の仕事にあまり集中出来なかった。
隣に座る先輩に体調悪いでしょ?熱測ってくれば?と心配してもらい
作り笑顔で多分大丈夫ですと言いながらも仕事をすることが結構しんどかった。
きっと熱中症の前の熱射病というものなのか
そんな類の状態であったと思う。
岩盤浴をたくさん堪能した後、温泉に浸かって
1つ2つ目のお風呂あたりでもうのぼせているのに気づかないふりをして温泉も堪能しようと我慢して
頭がボーッとしてしまうようなそれと同じ感覚だった。
なんとか終えた仕事帰り。
先輩と駅へ向かう帰り道。
コンビニの前でちょっと待っててと先輩が1言。
コンビニへ入って行く先輩の後ろ姿を見ながら
ボーッとコンビニの前で待つ私。
コンビニから出てきた先輩の手にはバラ売りの1粒のあま梅。
ハンカチで袋を拭きながら良かったらと1言。
先輩の1粒のあま梅を買うためにコンビニに寄ってくれた行動と
このご時世あってか袋を拭いてから渡してくれた配慮に
私は感無量になって頭が真っ白になりながらも
その1粒のあま梅を受け取った。
私は自分の想像を超えてやさしくしてもらえたり、何かをしてもらえると
この上なく嬉しい気持ちになって
そして嬉しいと同時になんでこんなに他人にやさしく出来るのだろうと
その人のことをとても羨み、そして少し悔し恥ずかしい気持ちになる。
私より大きな人はいっぱいいるなぁ。私はまだまだだなという風に。
でもとにかくその帰り道は先輩の眩しいくらいのやさしさと1粒のあま梅が嬉しくて嬉しくて
お守りかと思うくらいにそのあま梅がカバンに入っていれば無事に家に帰れる、そう思った。
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