新刊試し読み!『決定版 営業部長の戦い方』
2月19日(月)発売の新刊、『新刊試し読み!『決定版 営業部長の戦い方』の「はじめに」を公開します!
多くの会社に「営業部」はあり、どの営業部も、きっと売上が厳しい環境下にあります。
そうした中、一番悩んでいるのが営業部長ではないでしょうか。
その営業部長が、いかに変わればいいか、これからの指針を示した本は、きっと需要があると考え企画された1冊です。
■編集担当からのひとこと
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【はじめに】
現在私は、大学における日本ではじめてのMBAのクラスを担当する一方、企業の営業リーダーや管理職の研修を行っています。
昨今私に研修を依頼してくる経営層や人事部、経営企画室の人は、次のようなことに大変頭を悩ませています。
自社のビジネスが伸びないのは、
・営業リーダーが、時代に合った「やるべきこと」をできていないか らではないか
・顧客へのデジタルを駆使した科学的なアプローチ手法に対応できていないのではないか
・多様な志向を持つ若手社員をうまく育てられていないのではないか
・世の中の変化に合った方針を打ち出せていないのではないか
私に相談にくる彼らも、これからどうしていけばいいのか、どこに課題があるのか、確かな答えを描けないでいます。
考えてみれば、多くの管理職世代が育った時代は、今から比べればはるかにビジネスがしやすい環境でした。しかし当時と今とでは、環境が違いすぎます。この違いを踏まえ、若い世代のことを理解し、適切に行動させることは、生半可なことではありません。
つまり、今営業部長や営業担当役員になり、時代の変化に真正面から対応するには、相当な努力が求められるのです。
現場に渦巻く葛藤を理解し、ひとつひとつ丁寧に解決していくことはもちろん、「短期的な売上や利益」を上げ続けなければならないのは言うまでもありません。
これらをこなしていくには、とてつもない労力がかかります。
定年退職が近づいてくると体力・気力が衰え始めますから、ついついサラリーマン人生を穏やかに卒業していきたいといった「逃げ腰」になったとしても、無理はありません。
また頼りにしたい企業研修にしても、昨今はなかなか即効性のある効果は期待できないのが実情です。台所事情が悪くなり、かつてのように教育投資に資金がかけられなくなった企業は少なくありません。
とはいえ、私が営業部長になったときのことを思い返してみれば、営業部長は今この瞬間も孤独に悩み、苦悩していることは容易に想像できます。
その頃の私は、これから何をすればいいのか、右も左もわからずに、ただただ不安でいた記憶が鮮明に残っています。
つまり当の本人は、どうしたらいいのか、自分の果たすべきことは何なのかを、教えて欲しいと思っている、だけれども教えられる人が誰もいない、というのが現実なわけです。
営業課長になったときは、少し事情が違いました。何をすればいいのか、社内に事例も多く存在し、先輩に解答を求めても、ある程度的確な答えが得られました。
ところが、営業部長になったときは、周りに聞いて回るのも自分の価値を落とすようで恥ずかしいし、そもそも周りを見回しても、はっきりとモデルになるような人がいませんでした。ですから、課長と部長の役割の違いがわからないまま日数ばかりが過ぎていきました。
こうなると、できることは次のことに終始するようになります。
・今までやってきたことの権限を大きくした範囲で続ける
・課長の部下指導やビジネスを助ける
・組織の長として経営陣とのパイプ役を果たす
・組織のやるべきこと、目指すべきことを会社方針に準拠して発信 する
自分が営業部長としてやるべきこととは何か。そのことに自信を持って答えられない状態は、役員になっても継続しました。役員になって何をするべきかも、営業部長の権限が大きくなった範囲でしか考えられず、ずいぶんと部下に迷惑をかけました。今になって振り返れば後悔することだらけです。
もしあのとき、営業部長は何をするべきか、営業の役員は何をするべきかを、もっと明確にわかっていれば前向きな動きがとれたはずだと思うのです。
日本の組織は、序列を大切にするタテ社会がいまだに厳然と存在しています。
そのうえ、現場の責任者と経営の責任者とを分ける教育システムも脆弱です。
海外のように、経営をビジネススクールで体系的に学んできた人がその任に就くのではなく、現場で叩き上げて、現場のことをよく知る人がある日突然経営陣に就くことが大半です。
であるならば、こんなにも時代が大きく変化する中で、課長、部長、役員の役割分担は、変化しつつも明らかに存在するはずだ。その中で、とりわけキーパーソンとなり得る部長の役割は何なのか、それを明確に解き明かしてみようというのが本書の狙いです。
本書を読まれた営業部長の方は、明日から自分は何をなすべきか、迷わず、腹落ちして行動できるそんな状態を作り出すことを目標にしています。
今まさに部長自身の役割について迷っている方はもちろん、次に部長の任に就かんとする方、あるいは営業部長をどう導いたら経営がうまくいくかと思案されている経営陣の方々に、本書が最適な手引き書になると自負しています。
私たちのビジネス環境は絶えず変化しています。この変化に対応し、成長し続けるためには、過去の成功体験にとらわれず、常に自己革新を図り、新しい学びを取り入れる姿勢が必要です。そんなときに、本書が会社全体の営業力を向上させ、持続可能な成長を実現するヒントになることを願っています。
ぜひ、最後までお付き合いいただければ幸いです。