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「たかが人生じゃないの」

「Action!」という声が室内に響き渡る。その瞬間からすべての空間が物語の世界へと切り替わる。

先日、日仏合作映画のメインキャストを決めるため、オーディションで何百人という女優さんを呼んだ。有名な人から無名な人まで、どんどん絞り込まれていく。いま立ち会っている現場は、人の人生を大きく変えるものなんだと感じた。


私が映画に携わってからまだ日が浅い。知れば知るほど、わからないことだらけだ。こんなことを言ったら怒られるかもしれないが、最近売れている芸能人の名前を聞いてもほとんど知らない。好きな役者さんを聞かれるといつも困ってしまう。はっきり言って私は人に興味がない。

目の前にどれほど有名な人がいても、私にとってその人は「人」だ。オーディションでは、何百人という「人」に会って、何百回と挨拶を交わす。初めて会う人たちの緊張した顔や、笑顔や、涙を見る。正直、全身が痛くなるほど疲労感を感じた。だけどそこでは、「本気で生きる人たち」の生き様を見ることができた。

気が強くてツンとしているのに、緊張して頭が真っ白になる元有名アイドル。フランス映画に出るのが夢だったと熱く語る人。自分の力が出しきれず堪えきれずに涙する人。

そこには、たくさんの剥き出しの感情が、たくさんの生き様があった。


私は「たかが人生じゃないの」という言葉が好きだ。他人なんてどうでもいい。だから友達も少ない。芸能人にも興味がない。あの人たちがどうなろうと知らない。桜を見る会のために捕まろうと、私には関係ない。

でも、涙が出そうになるくらい愛しくてたまらない、とそう思った。


✳︎

余談。私が好きなデ・ニーロはマーティン・スコセッシ監督の「タクシードライバー」。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」も、「レイシング・ブル」も捨てがたい。。

ちなみに、1日1映画を見ることにしていて、ここ3日間で見た映画はどれも最高だった。「グッド・ウィル・ハンティング」、「学校」。久しぶりに映画で泣いた。あと、リバー・フェニックスの「旅立ちの時」。感想なんて私には書けない。ただ、最高。最近の映画でいうと「ジョーカー」や「ライ麦畑の反逆児」も素晴らしかったな...。

毎日ひとつを見ていても知らない映画はたくさんある。本当に凄い作品がたくさんある。死ぬまでに世界中の映画をどれだけ見ることができるのかな?なんて、思ったり思わなかったりする。


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