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#障害者グループホーム
「親なきあと」の収入と支出を知ろう
まずは、子どもに入ってくるお金と出ていくお金にはどんなものがあり、それぞれどのくらいの金額になるかを把握しておきましょう。
継続的に仕事をすることがむずかしい障害者であれば、収入の柱になるのは障害年金です。
年金の受給額は、現在でも物価変動率などの指標に合わせて毎年改定されていますが、日本の財政状況によっては、将来的にさらに大きく変わっていく可能性はあります。
しかし、ここでは予測することが
必要以上のお金はいらない【2】
将来を見通すのは非常にむずかしく、「今がこうだから、この先もこうなるはず」とは、もちろん言えない状況です。
しかし、将来がわからないからといって、打つべき手を打たないと、困るのは子ども本人です。
「親なきあと」に、子どもがお金のことで苦しまないように、まずは知ることから始めましょう。
そして、もし今からやるべきことがあるなら、ぜひ「転ばぬ先の杖」を準備しましょう。
必要な準備をすることによ
必要以上のお金はいらない
そういった気持ちは痛いほどよくわかります。
でも実は、障害のある子には必要以上にたくさんのお金を残すことはない、と私は考えています。
それはなぜか。
障害者はさまざまな場面で福祉の支援を受けており、最低限の生活はできるような社会保障がなされています。
もちろん、より豊かな生活を楽しむためには不十分なものですが、子どもに一生涯かかるお金を、親がすべて工面しておかなければいけないといった状況で
わが子にお金をたくさん残すべきか?
働くことができない、あるいは働いていても、健常者と比較すると収入が少なく安定していない、という子どものために、できるだけたくさんのお金を残したい、と考える親は多いと思います。
2歳のダウン症のお子さんをおもちのお母さんから、「子どもが生涯安心して生活できるためには、どのくらいのお金が必要でしょうか」というご質問を受けました。
「そのために夫婦で一生懸命働いて、貯金しておきたい」と、強い覚悟が感
自身を過信せず、準備は早めに
ある自治体の福祉担当者によりますと、障害のある子どもの将来が不安だという人が役所に来たはいいけれど、その親の話自体がよくわからない。
調べてみると、親に認知症が始まってて、実は子どものほうがしっかりしていた、というケースが多くあるとのことです。
わが子のめんどうを見るために、自分がしっかりしなくてはいけない、ボケてなんかいられない、と気が張っている人は多いですが、そう思いどおりにいくとは限りま
子どもの「ライフスタイルカルテ」を作る
二つ目に、これだけは今すぐにぜひやってほしいことについて、提案したいと思います。
それは、子どもが支援を受けるために、本人の必要な情報をまとめた「ライフスタイル」(通称「ラスカル」)の作成です。
極端な話ですが、明日にでも親が死んでしまうことだって、絶対にないとはいえません。
子どもが一人で残されたときには、行政などの支援者がサポートしてくれてることと思います。
そのときに、子どもの生活に
自分たちの「老いじたく」も合わせて考える
親自身が病気になったり、認知症などで判断能力が低下してきたというときの対応も、ぜひ合わせてシミュレーションしてみてください。
自分自身のために成年後見制度や日常生活自立支援制度などを活用するのか、判断能力のあるうちに遺言を準備するか、また認知症になったときに現在の住居に住み続けるのか、老人福祉施設などへの入所を検討するのか。
考えを進めていくと、やらなければいけないことが次々と出てくると思いま
「親なきあと」をシミュレーションしてみよう
「親なきあと」の準備は結局どうすればいいの、と悩んでいるみなさんのために、具体的にやっておいていただきたいことを2つ紹介します。
まず一つ目は、自分たちがいなくなったあとのシミュレーションをする、ということです。
子どもといっしょに持ち家、あるいは賃貸住宅に住んでいるけれど、自分たちがいなくなったら子どもは介護なしでは一人で生活できない、といった場合はどうしますか。
子どもが入れるグループホ
高齢期には親自身がかかえる問題が目白押しに
では、両親が75歳になるころには、どのようなことが起こっているでしょうか。
体のあトラブルなどで、病院に通うことも多くなっているでしょう。
もしかしたら、入院や手術などが必要になり、病気によっては、重い決断を迫られることがあるかもしれません。
人によってはそろそろデイケアなどの介護サービスを利用するようになっているかもしれません。
また、もし認知症などの理由から判断能力にも不安が出てくれば
自分が元気なのはあと何年?
厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は男性79.94歳、女性86.41歳となっています(2012年現在)。
女性の平均寿命は世界一です。
では、平均寿命まで長生きすると想定して、自分の年齢と子どもの年齢を対応させて、それぞれの時点の状況について想像してみましょう。
ここでは、夫婦は同い年として、両親が30歳の時に障害のある子が生まれた、という例で考えてみました。
●親50歳、子ども2
きょうだいや親族には頼りすぎない【2】
親がなくなったあと、きょうだいの家に同居していて、きょうだい側が障害者本人を虐待したり、必要な福祉サービスを受けさせなかったり、といった悲劇につながる可能性もゼロではありません。
また、これもあまり考えたくはありませんが、障害者が相続した遺産や、障害年金をあてにしたりという、経済的な虐待の話もときに聞こえてきます。
きょうだいや親族の場合、血縁関係があることにより、「面倒を見ているのだから、こ
きょうだいや親族には頼りすぎない
まず頼る相手として、身内があげられます。
障害者本人のきょうだいは、年齢も近く、本人の特性もよくわかっているので、強力な支援者です。
きょうだいが、障害者である自分のきょうだいのめんどうを見たい、寄り添ってあげたいと言ってくれていれば、親としてはとても心強いことでしょう。
ただし、ぜひ心に留めといておいてほしいのは、それが本心からの言葉かどうかをしっかり見極めて、ということです。
障害者の
日常のケアやサポートを誰に託すのか
お金を管理するシステムは整えた、住むところの見通しも立った、でも、当然それだけでは安心できません。
親がいるうちは、あたりまえのこととして行ってきた日常生活でのサポートを、「親なきあと」にはいったい誰が担ってくれるのか、ということが大きな課題です。
障害者支援施設に入所した場合は、施設の職員や医療支援してくれる人がいます。
また、グループホームに入居すれば、世話人がいてサポートしてもらえます
親なきあとの住む場所について、どこかで妥協することも必要かも
現在ある施設の中から、障害がある子どもの将来の生活の場を検討するとなると、
●グループホーム
●障害者支援施設
この二つに絞られると思います。
あとは、障害のタイプや状態によって、自宅やアパートなどの一人暮らしを考えるというくらいで、選択の幅が非常に狭いのは確かです。
そこで、みなさんに共通してお伝えしたいのは、理想的な環境を求め過ぎないこと、どこかで妥協することも必要だということです。