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クイティアオ屋台のおばちゃん

タイに初めて住み始めた頃の話。

職場はバンコクのアソークにあり、アパートはプロンポンのソイ39にあった。職場からアパートまでは徒歩20分くらいだったかな。

仕事帰りに晩ごはんを買って帰るんだけど、その時によく行った店がソイ39の入口にあるクイティアオ屋台だった。

当時はタイ語が全くわからず、コミュニケーションをとるのが困難だったけど、足繁く通ううちに店のおばちゃんと顔見知りになり、次第に言葉はなくともお互いに笑顔を交わすようになっていった。

知り合いも全くいないタイ生活の中で、どこか心が温かくなったのを覚えている。

「あー、仕事終わったなー」と思える瞬間が、そのおばちゃんと顔を合わせるときだった。家族でも友達でもないけれど、心がやわらかくなった。

心なしか麺を多めに入れてくれているような気がして、
本当はそんなことしてくれていないかもしれないけれど、勝手にそう思えて優しさを感じていた。

シーロムの方に引っ越してからは頻繁に行くことができなくなり、たまに出向くぐらいしかできなくなっていたのだが、ある日久しぶりに訪れたとき、店がなくなっていた。

「今日は休みなのかな」と思って、日を改めて行ってみたところやはりない。そこでやっと店を閉じたことを察知した。

「もしかしたらまた店を出しているかも」と期待して、プロンポンを通るたびに覗いてみるのだが、やはりもうない。

タイに来たばかりの頃の思い出の屋台。あの頃はタイ語を話せなかったけど、もしおばちゃんにまた会えたら、タイ語で色々な話ができたらいいなと思っている。

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