見出し画像

あした帰った 『シリーズ 集まりをひらく』

あなたはいくつの集まりに身を置いてきただろうか。どういった集まりを好ましく思い、どういった集まりを避けてきただろうか。集まりに生まれ落ちたあなたは、やがて集まりを去りゆくだろうか。集まりはあなたを、あなたは集まりを、迎え入れるだろうか。

『シリーズ 集まりをひらく』は「あした帰った」による上演シリーズです。 期間中に2つの無料企画含め、計7つの上演が行われます。各上演は入替制ですが、参加中の入退場は自由です。誰かとお話したい方、誰かの話を聞きたい方、誰かの手伝いがしたい方、誰かと共にいたい方、お集まりください。


7月4日(木) 19時〜21時
プレ企画:ひきこもりから考える−『HIKU』再考
*無料/要申込

フランスで活躍するアーティストが創作した作品『HIKU』は、日本在住のひきこもり生活体験者3名の映像を織り交ぜつつ、本人たちの自宅からのライブ出演を通して、フランスの観客とのやり取りがリアルタイムに行われる舞台作品です。2023年の初演以降、現地での評判も良く、今年はスペイン、ベルギーなどに巡演予定です。あした帰ったメンバーである八木智大は「ひきこもり生活体験者」として『HIKU』に出演しています。

『シリーズ 集まりをひらく』のプレ企画として、日本ではあまり紹介されていない『HIKU』の記録映像上映会を開催します。上映中、出演者である八木に対し、あした帰ったメンバーが様々な質問をぶつけます。吃音当事者でもある八木が抱く想いを通じて、複雑に入り組んだ当事者性(インターセクショナリティ)について考える機会を持ちます。集まりをひらくきっかけとなる上演です。


7月5日(金)19時〜21時
トークセッション:「あした帰った(ex-劇研アクターズラボ+伊藤拓也)はどんな集まりなのか?」
*無料/要申込

元々私たちは京都のアート系NPO団体であるNPO劇研が運営する企画「劇研アクターズラボ」の「公演クラス」でした。伊藤拓也が講師を務め、2020年から3年間、NPO劇研と高槻城公園芸術文化劇場(旧:高槻現代劇場)からの支援を受けながら活動してきました。2023年6月の上演を最後に劇研や劇場からの支援は無くなり、自分たちで独立して集まりを運営しています。現在のメンバーは、お休みのメンバー含め8名です。毎週1回ほど集まりますが、私たちの存在を知らない人からしたら、あまり外に開いていない集まりに見えるかもしれません。しかし実際はいろいろな人を歓迎したいと思いますし、参加された人と共に何ができるか、どうすれば共にいられるか、そんなことをよく考えている集まりです。


7月6日(土) 10時〜12時
1)入る

手近な辞典に拠ると「入る」には22の意味があるそうですが、この『入る』との関連が強いものは、「あるグループ・範囲の中にある」、「ある事柄やプロセスを始める」、「飲み物ができる」という3点に絞られます。本来、演劇とは作り手から受け手に一方的に流れるものではなく、その時その場に居合わせた人たちが共に創り上げる双方向的なものです。この前提をあらためて再確認することが『入る』の意図です。

『入る』に入る皆さまには、珈琲が提供されます。珈琲を嗜みながら、居合わせた人と話しても良いし、ただそこに居続けても良いです。もし居辛さを感じたら、別の場所へ移動しても良いし、また同じ場所に入り直しても良いです。私たちも話したり、聞いたり、見たり、ぼーっとしたりすると思います。あした帰ったのティー・パーティーの始まりです。土曜日の早い時間帯ではありますが、珈琲の全国大会に出場経験もある元バリスタが淹れる上質な珈琲を、是非ご賞味ください。


7月6日(土) 14時〜17時
2)想う

気象庁の報告によると、2023年に最大震度4以上の地震活動は41回発生しました。体で感じられない震度1(無感地震)以上では、2227回もの地震活動が2023年に観測されています。1日6回以上の地震活動が毎日起こっていた計算です。これまで数え切れないほど多くの人が地震などの自然災害によって被災しました。しかし一口に被災と言っても、そこには多様なグラデーションが存在します。当事者/非当事者を分ける線がどこに存在するのか、はっきりと分かる人はおそらくいません。しかし分からなさは、私たちが誰かを想うきっかけになるのではないでしょうか。

『想う』は震災を軸に誰かを想うワークショップです。共に3時間過ごす中で、共に身体を動かしたり、共に何かを読んだりします。分からなさをきっかけに、誰かを想う時間を持てたら幸いです。


7月6日(土) 19時〜21時
3)聞く

あなたはどんな音が聞きたいですか? あなたはどんな声を耳にしたいと思いますか? 人生の最期に、どんな音や声を聞きたいと願いますか? 私たちが聞きたいものをここに集めました。かつて聞いた声、いま聞こえる音、いつか聞くかもしれない声など、いろんな音声を上演します。しかしそれらを過不足なく聞き取ることは不可能です。聞くなかで、なにかが聞き落とされます。時にはなにかが聞き足されます。そのようにして、私たちは聞き継いでいくしかありません。近い声も、遠い声も。

上演後には、皆さまとお話する時間を設ける予定です。聞くことができるもの、また聞くことができないものも含め、集まった皆さまと共にじっと耳を澄ます機会になれば幸いです。


7月7日(日) 10時〜12時
4)遊ぶ

「あなたはその日に豚になる あれからそれからブーメラン あの子もその子もぶらぶらと 愛したそばからぶっきらぼう あきれてそびれて無礼講 朝まで添い寝でぶり返す 愛して損してぶら下げて 呆れた底なし武勇伝 明日の葬式ぶん投げろ アーメン素麺ボクニンゲン!」

あなたには一緒に遊べる人はいますか? 友だち、家族、職場の人、近所の人、顔も見知らぬあの人、誰でも構いません。一人でもいたら、あなたはきっと幸せでしょう。でも一人だって遊べます。一人で遊ぶ人を羨ましいと感じる人も多いはずです。児童文学作家のミヒャエル・エンデは、「どの人間にも遊びたい子どもが潜んでいる」という言葉を残しました。そんな子どもとあなたは出会えていますか?

『遊び』は、さまざまな違いを抱えた参加者が、同じ時空間で共に存在しようとする試みです。ツールとして「遊び」を用いますが、十分なアソビもご用意します。私たちもどうなるかわかりません。ちょっぴり怖いけど、期待もしています。


7月7日(日) 14時〜17時
5)去る

結局 みないなくなる 一人見えなくなり また一人いなくなる こんどは三人も見えなくなる 何処にもいなくなる しばらくの間に かぞえて見れば 十何人もいなくなる あまりたくさんいなくなり ついにかぞえることも出来なくなる その人らはもう 何処にも生きてはいない 呼んでもふりかえる人ではない かぞえれば 減って行くところを知らない ― 室生犀星「みないなくなる」

劇場は、ある一定期間のみ借用されますが、その場を借りた人も、その場に参加した人も、その場を管理する人も、結局は「みないなくなる」ものです。劇場を借りる人がしばしば使用するタイムテーブルの最後には「退館」と記されます。使い終わったので去るということです。

『シリーズ 集まりをひらく』のラストを飾るのは、その場に集まった皆さまと共にその場を「去る」という上演です。退館準備を行い、実際に退館して、その場を共に去ります。「その人らはもう 何処にも生きてはいない」のでしょうか? ご参加、お待ち申し上げております。 


会場
高槻城公園文化芸術劇場 南館 中スタジオ1


料金

一般 1500 円
フリーパス 3000 円
※介助者、未就学児の方は無料です。お気軽にお申し込みください。
※フリーパス購入で、全演目に参加可能です。

演出の都合上、あした帰った『シリーズ 集まりをひらく』の受付開始(開場時間)は、開演の10分前となります。高槻de演劇2024の総合チラシの表記とは異なりますので、ご注意ください。


チケット販売

オンライン予約 

Google form

Peatix

メール予約
ashita.kaetta@gmail.com

オンライン予約は、上記Google form、もしくはPeatixよりお申し込みください。メール予約の場合は、お名前・電話番号・参加日時(演目)・人数をご記入ください。未就学児や介助者同伴の場合は、その旨お知らせください。質問等がある場合は、お気軽にメールにてお問い合わせください。

※フリーパスは枚数限定、メール予約のみ受付しております。


劇場でのチケット取り扱い
高槻城公園芸術文化劇場南館1F(〒569-0077 高槻市野見町6-8)
TEL:072-671-9999(10:00~17:00 / 月曜休館 *祝日の場合は翌日)
※介助者を伴う申込みは電話でのみ受付けます(介助者無料)
※詳しくは、劇場公演ページをご確認ください。


関連URL

高槻de演劇2024
#1『質問と答え』
#2『ブラインド・デート』
#3『あなたは山になる』 (劇評
あした帰った BLOG (2021-2023)
あした帰った BLOG (2019-2020)
X(旧Twitter)@ashitakaetta


謝意

本企画は医学書院「シリーズ ケアをひらく」や羽鳥嘉郎『集まると使える—80年代 運動の中の演劇と演劇の中の運動』(ころから、2018年)のコンセプトやネーミングに影響を受け立案しました。記して感謝します。


アンケート

上演は無事終了致しました。ご参加されたお客様、是非アンケートにご協力ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?