記事一覧

Xカード解題―その虚実(9/6追記あり)

 「地雷」「NGワード」……こういったものでTRPGセッション中に気まずい、あるいは破滅的な雰囲気に陥ることは「稀によくある」ことで、実際、こういった経験からTRPGを止…

葦ノ葉
11か月前
67

Kutulu 2020(Kutuluを現代日本で遊ぶための二次創作ルール・アイデア)

 Kutuluは、クトゥルフ神話をモチーフとした推理と恐怖を味わうための独特かつ簡潔なゲームシステムです。このシステムは、クトゥルフ神話体系の原作者H.P.ラブクラフトが…

葦ノ葉
1年前
10

雌のブルーについて

 ブルーは、本来、その命の形質すべてが、本質的に魔術的であり、異常な様相を持つ。その、最も明白な様相は、ブルーのほとんどが雄であることである。これまでの研究によ…

葦ノ葉
1年前
7

ファンタジーTRPG世界、グローランサの紹介

“双犬”ヴァザタンは、丈の高い草叢に潜み、足を組んで座る祈祷師の脇まで進んで静かに跪いた。見えるのは微笑む祈祷師の白濁した両眼のみであり、彼は無意識のうちに、首…

葦ノ葉
2年前
21

クトゥルフ神話TRPGシナリオ「カタシロ」リプレイ(ネタバレ有)

 これは、クトゥルフ神話RPG(以下、CoC)のシナリオ「カタシロ」(作:ディズム氏)のリプレイ(実際のセッションのやり取りを文字で起こしたもの)です。今回、オンラインのテ…

葦ノ葉
3年前
73

ブループラネット・リコンタクトの背景

 時は2199年、地球は経済的混乱と社会的衰退との絶望的な戦いの最中にある。都市国家の複合体が社会と政治を支配し、天然資源は枯渇しつつある。文明は、50年にわたる暗黒…

葦ノ葉
3年前
4

カルト説明:テルモー―狼の父

1.神話と歴史  ハイキムとミキューは獣の部族の創始者である。彼等には大勢の子供がいたが、最後に生まれたのが哺乳類の母である。彼女もまた、肉食獣の神であるフラーラ…

葦ノ葉
3年前
4

啓発への道程

ナイサロールの神秘的な教え啓 発  啓発の哲学は、様々なグローランサのカルト、学舎、個人によって信奉されている。ラーショラン、ナイサロール、グバージ、そして時と…

葦ノ葉
3年前
18

ChaosiumのWebサイトでの購入要領

1.Webサイトで購入する利点は?https://www.chaosium.com/   「クトゥルフ神話TRPG」及び「新クトゥルフ神話TRPG」の大本の版元、Chaosium社は、Webサイト上で自社製…

葦ノ葉
3年前
3

Picrew的な有料サービス構想の覚書

〇 要旨:  Picrewは顔の表情や服等のパーツの組合せにより、半オリジナルのイラストを作成することができる「メーカー」と呼ばれるものを多数集めるポータルサービスで…

葦ノ葉
3年前
3

ドラストール及びその周辺の地図

アーカット最後の塔(Arkat's Last Tower): 第1期から残る古代の砦。現在は、ルナーの守備隊とエティーリズの宣教団が詰めている。カートリン峠の西の関門である。 悪神…

葦ノ葉
3年前
7

ドラストールにおける特殊な遭遇(3)完

プレートウォーカー(ライカンスロープ) 遭遇場所:地獄森  啓発されたフマクトの剣であり、彼の武装は全て鉄製である。彼は立ち上がると4mもある巨躯であるが、あくまで…

葦ノ葉
3年前
5

ドラストールにおける特殊な遭遇(2)

邪鬼 遭遇場所:穢れの谷  邪鬼は、悪鬼が悪魔の台地に顕現している間、従者として現れる。そして、しばしば、悪鬼が姿を消した後もこの世に留まり続ける。この実体を持つ…

葦ノ葉
3年前
7

ドラストールにおける特殊な遭遇(1)

“縮み首の”アダル 〇遭遇場所:蜘蛛の森  “縮み首の”アダルは、悍ましいブルーであり、サナターの寺院からさえ放逐された。サナターのカルトは、他の混沌の存在すら関…

葦ノ葉
3年前
6

ドラストールの住人達(後編) 狼の民、テルモリ

共通の知識:テルモリは、混沌の汚染に起因する人狼の一族である。第一期の時代に、グバージがこの呪いをかけた。狼人達は、自分達が狩場にしているドラストール、ケンティ…

葦ノ葉
4年前
2

ドラストールの住人達(中編) 蜘蛛の民

共通の知識:巨大な蜘蛛の一種が、蜘蛛の森一帯に住み着いている。その文化については、彼らが致命的な危険性を持つ狩人であるということを除き、何も分かっていない。 隠…

葦ノ葉
4年前
3

Xカード解題―その虚実(9/6追記あり)

 「地雷」「NGワード」……こういったものでTRPGセッション中に気まずい、あるいは破滅的な雰囲気に陥ることは「稀によくある」ことで、実際、こういった経験からTRPGを止めてしまう人も少なからずいます。悪意によるものならそんな奴との同卓は金輪際御免被ると啖呵を切るのも一興ですが、全くの事故ならやるせなさが募るばかりです。それが故に、そのような事態を避け得るような手段、ツールが色々求められるのは自然

もっとみる
Kutulu 2020(Kutuluを現代日本で遊ぶための二次創作ルール・アイデア)

Kutulu 2020(Kutuluを現代日本で遊ぶための二次創作ルール・アイデア)

 Kutuluは、クトゥルフ神話をモチーフとした推理と恐怖を味わうための独特かつ簡潔なゲームシステムです。このシステムは、クトゥルフ神話体系の原作者H.P.ラブクラフトがその小説の舞台とした1920年代~1930年代のアメリカ(あるいはヨーロッパ)を上手く再現している一方、その頃より社会がはるかに複雑で、かつ「銃器」について所持や使用が極めて厳しく制限される現代日本を舞台にしてそのまま運用するのは

もっとみる

雌のブルーについて

 ブルーは、本来、その命の形質すべてが、本質的に魔術的であり、異常な様相を持つ。その、最も明白な様相は、ブルーのほとんどが雄であることである。これまでの研究によると、ブルーの雌はわずかに10~15%であり、共通の変異として半陰陽(5%)がある。
 セッドは、嫉妬深い女神と言われており、だから崇拝者は雄のみを求めるとされているが、真実ははるかにおぞましい。セッドは、神々の戦の間、冷酷な嵐の神によって

もっとみる
ファンタジーTRPG世界、グローランサの紹介

ファンタジーTRPG世界、グローランサの紹介

“双犬”ヴァザタンは、丈の高い草叢に潜み、足を組んで座る祈祷師の脇まで進んで静かに跪いた。見えるのは微笑む祈祷師の白濁した両眼のみであり、彼は無意識のうちに、首にぶら下がる革紐の骨の護符を握りしめた。猟犬は、どちらも茶毛の大きな猛犬で戦えるように仕込まれているが、ヴァザタンの違和感を敏感に感じ取った。まだ若い方の一頭は控えめに鼻を鳴らしたが、ヴァザタンの鋭い身振りに静かになった。
「角の曲がった鹿

もっとみる

クトゥルフ神話TRPGシナリオ「カタシロ」リプレイ(ネタバレ有)

 これは、クトゥルフ神話RPG(以下、CoC)のシナリオ「カタシロ」(作:ディズム氏)のリプレイ(実際のセッションのやり取りを文字で起こしたもの)です。今回、オンラインのテキストセッションで遊んだもののログを利用しています。
 舞台化等、色々、話題の多い作品であり興味がありましたが、実際に遊べる機会に接したので、自分なりにどう参加するを考えてみました。継続探索者がお勧めとあったので、CoCのキャン

もっとみる
ブループラネット・リコンタクトの背景

ブループラネット・リコンタクトの背景

 時は2199年、地球は経済的混乱と社会的衰退との絶望的な戦いの最中にある。都市国家の複合体が社会と政治を支配し、天然資源は枯渇しつつある。文明は、50年にわたる暗黒時代をかろうじて生き延びたが、それはただ「荒廃(Blight)」として知られている。30年近くもの間、人工的に合成されたウィルスが世界中の農業生産を破壊し、社会はパニックに陥り、何十億もの人口が餓死するに至った。その混沌とした状況が安

もっとみる
カルト説明:テルモー―狼の父

カルト説明:テルモー―狼の父

1.神話と歴史
 ハイキムとミキューは獣の部族の創始者である。彼等には大勢の子供がいたが、最後に生まれたのが哺乳類の母である。彼女もまた、肉食獣の神であるフラーラを含む、多くの子供を産んだ。彼女の最も偉大な息子は、狼の父であるテルモーである。彼の一党は、テルモリそしてウルフランナーとして知られている。
 神の時代のテルモーについて伝わる物語はほとんどない。テルモリもバラザールの犬人族も、それぞれの

もっとみる
啓発への道程

啓発への道程

ナイサロールの神秘的な教え啓 発
 啓発の哲学は、様々なグローランサのカルト、学舎、個人によって信奉されている。ラーショラン、ナイサロール、グバージ、そして時としてアーカットといった様々に認識される神格と関連するとされているが、啓発は厳密に言うなら信仰ではない。啓発には、入信者、侍祭、司祭といった位階はない。礼拝の儀式も無く、信者が利用できる精霊やルーン魔法も存在しない。啓発について、学者達は、そ

もっとみる

ChaosiumのWebサイトでの購入要領

1.Webサイトで購入する利点は?https://www.chaosium.com/

  「クトゥルフ神話TRPG」及び「新クトゥルフ神話TRPG」の大本の版元、Chaosium社は、Webサイト上で自社製品の販売を行っています。当然ながら、全て英語版なのですが、「クトゥルフ神話TRPG」及び「新クトゥルフ神話TRPG」について、まだ翻訳されていないシナリオや設定集を購入することができます。全て

もっとみる

Picrew的な有料サービス構想の覚書

〇 要旨:

 Picrewは顔の表情や服等のパーツの組合せにより、半オリジナルのイラストを作成することができる「メーカー」と呼ばれるものを多数集めるポータルサービスであり、そのメーカーで作成したイラストはSNSのアイコン等に利用できる。特に、TRPGセッションのPC、NPCのキャライラストに活用できるため、オンラインセッションの普及の大きな要因の一つとなっている。メーカーを利用し、作成したイラス

もっとみる
ドラストール及びその周辺の地図

ドラストール及びその周辺の地図



アーカット最後の塔(Arkat's Last Tower):
第1期から残る古代の砦。現在は、ルナーの守備隊とエティーリズの宣教団が詰めている。カートリン峠の西の関門である。

悪神の高原(Demon Plateau):
 1,000m以上の標高があり、その西端にラルツァカークの居城、憤怒の城砦がある。混沌の怪物の巣窟である。

イルランド(Illlands):
 アーカット最後の塔の北側に広

もっとみる
ドラストールにおける特殊な遭遇(3)完

ドラストールにおける特殊な遭遇(3)完

プレートウォーカー(ライカンスロープ)
遭遇場所:地獄森

 啓発されたフマクトの剣であり、彼の武装は全て鉄製である。彼は立ち上がると4mもある巨躯であるが、あくまで巨人ではなく、成長しすぎた人間であるとされている。彼は、出会う人間に対し友好的に振舞い、仲間になろうとするが、非人間、特にブルーやその他のろくでもない存在には嫌悪の情を示す。以前は、彼は熊人間(人間と熊のシェイプチェンジャー)であった

もっとみる
ドラストールにおける特殊な遭遇(2)

ドラストールにおける特殊な遭遇(2)

邪鬼
遭遇場所:穢れの谷
 邪鬼は、悪鬼が悪魔の台地に顕現している間、従者として現れる。そして、しばしば、悪鬼が姿を消した後もこの世に留まり続ける。この実体を持つ精霊は、通常、殺すことはできないが、その肉体を破壊し、ゴープや他の混沌の群体から肉体を再構成するまで、一週間ほど、その精霊を駆逐することができる。このため、悪魔の台地は、時として、邪鬼の群れに悩まされることがある。
 この怪物は、その強い

もっとみる
ドラストールにおける特殊な遭遇(1)

ドラストールにおける特殊な遭遇(1)

“縮み首の”アダル
〇遭遇場所:蜘蛛の森
 “縮み首の”アダルは、悍ましいブルーであり、サナターの寺院からさえ放逐された。サナターのカルトは、他の混沌の存在すら関わり合いを避けるほど忌まわしい集団なのだが、そのカルトからさえ放逐されていることは、アダルがどれほど忌避すべき存在であるかを示している。
 アダルが、日常、行っていることは待ち伏せによる襲撃である。彼は、集団の中の司祭、ルーンロード、魔道

もっとみる
ドラストールの住人達(後編) 狼の民、テルモリ

ドラストールの住人達(後編) 狼の民、テルモリ

共通の知識:テルモリは、混沌の汚染に起因する人狼の一族である。第一期の時代に、グバージがこの呪いをかけた。狼人達は、自分達が狩場にしているドラストール、ケンティルランド、ビリニの森林地帯は、全ての彼らの領域であると主張している。森に隣接している居留地では、家畜はおろか人間さえ捕食されることがある。彼らは、狼の兄弟としか話さない。野蛮で獰猛であり、ナンタリ台地で、彼らに恐怖せず旅できる者はいない。彼

もっとみる
ドラストールの住人達(中編) 蜘蛛の民

ドラストールの住人達(中編) 蜘蛛の民

共通の知識:巨大な蜘蛛の一種が、蜘蛛の森一帯に住み着いている。その文化については、彼らが致命的な危険性を持つ狩人であるということを除き、何も分かっていない。

隠された知識:蜘蛛の民は、ドラストールの蜘蛛の森にのみ生息する古代の知的種族である。彼らの文化は、複雑な社会的行動パターン、化学物質と匂いで構成された精巧な言語で形作られた、人間の常識や知識では馴染みのない異質なものである。蜘蛛の糸と固着性

もっとみる