Picrew的な有料サービス構想の覚書

〇 要旨:

 Picrewは顔の表情や服等のパーツの組合せにより、半オリジナルのイラストを作成することができる「メーカー」と呼ばれるものを多数集めるポータルサービスであり、そのメーカーで作成したイラストはSNSのアイコン等に利用できる。特に、TRPGセッションのPC、NPCのキャライラストに活用できるため、オンラインセッションの普及の大きな要因の一つとなっている。メーカーを利用し、作成したイラストはDLが無料なので、非常に利用者が多いと推測されるが、サービスの規約とは別にメーカーの作成者の個人的規約(商用、加工不可等)があり、TRPGセッションに利用される場合、そのような規約が軽く扱われるケースも散見できる。TRPGのオンラインセッションの更なる普及、セッションから派生する同人創作行為の活発化に伴い、メーカーのクリエイターとの間に軋轢が発生するおそれがある。一方、Picrew的なサービスについてのTRPGや同人創作についての需要は間違いなく大きく、規約を当初からTRPGや同人創作といった行為に最適化するように整理し、それを受け入れてメーカーを提供してくれるクリエイターに金銭的報酬が出るようなサービスは十分成立する余地があると考えられる。

〇 用語定義:

・モンタージュ・ツール:
 表情等のパーツの組合せでイラストを合成作成するアプリ
・メーカー:
 モンタージュ・ツールに表情等のパーツのデータを入れて、イラストを作成するようにしたもの(作成したデータはDL可能)
・メーカー主:
 モンタージュ・ツールに自作のイラストデータを入れてメーカーとして提供するクリエイター
・ユーザー:
 メーカーを利用して半オリジナルのイラストを作成・DLする者

〇 サービス内容:

 TRPGセッションや同人創作等に使用可能なイラストデータ(モンタージュ・ツールによりユーザーが作成)の売買についてユーザーとメーカー主の間を仲介する。
 DL毎の価格は、メーカー主が、技術の自己評価、イラストジャンルの需要等から見積もり自分で設定(100~500円程度?)

〇 サービスに必要な機能の骨格:

・モンタージュ・ツール及びそのフォーマット
・データDL時のメーカ主とユーザーの間の代金決済機能(クレカ、Webマネー等)
・上記の機能及びメーカーのポータルとなるサイト

〇 収益方法:

 ユーザーがイラストデータをDLする際にメーカー主に支払う代価の内から一定割合を徴収することで収益とする。メーカー主とユーザーの間の取引が拡大・活発化すれば自動的に収益規模は拡大する。

〇 TRPGセッション、創作行為等を主とするユーザーのメリット:

・TRPGセッション、創作行為等へのイラストの使用についてメーカー主とトラブルになるリスクが低減
・イラスト依頼といった方法に比べて安価で、自分の希望に沿った素材を入手できる。
・無料のPicrewに比して、(インセンティブがある分)メーカーの質的・量的充実が期待できる。

〇 メーカー主(クリエイター)のファンユーザーのメリット:

・推しクリエイターを目に見える形で支援できる有力なツールの一つとなる。
・メーカー主によるメーカーの更新等を通じてファン感情の充足を得られる。

〇 メーカー主のメリット:

・質の高いメーカーの作成や、メーカーの更新に積極的になる動機付け(金銭報酬)がある。
・質の高いメーカーを作成すれば、追加の作業をしなくても継続的な収入が見込める(収入を得つつ、他の仕事も受けられる)。

〇 ビジネス上の着意:

・メーカーの使用及びDL頻度が収益の柱なのでメーカー主の参入障壁がどれだけ低くできるか、ユーザーの使用利便をどれだけ高くできるかが成功の鍵
・サービスの内容的に既存技術でほとんど自動化できると思われるので、可能な限り自動化して運営の固定コストを極限することが重要
・上記2点から、メーカー主及びユーザーから月額のような形で費用を徴収するのは望ましくない。

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