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ドラストールにおける特殊な遭遇(1)

“縮み首の”アダル
〇遭遇場所:蜘蛛の森

 “縮み首の”アダルは、悍ましいブルーであり、サナターの寺院からさえ放逐された。サナターのカルトは、他の混沌の存在すら関わり合いを避けるほど忌まわしい集団なのだが、そのカルトからさえ放逐されていることは、アダルがどれほど忌避すべき存在であるかを示している。
 アダルが、日常、行っていることは待ち伏せによる襲撃である。彼は、集団の中の司祭、ルーンロード、魔道士、あるいは祈祷師を無力化するか、逆に、それ以外の人間を彼らの助けは及ばない状況下で殺害する。アダルと意思疎通する唯一の方法は、彼に飛び掛かって拘束し、彼が戦うのではなく交渉せざるを得ないような状況に追い込むことである。
 アダルは、相手が多人数であることに怯むことはない。彼は、常に一人で行動し、多勢に対して戦うことに慣れている。彼は、サナターから知的生物以外は食してはならないという制約を受けており、獲物を求めて常に外に出ている。アダルは、獲得した生首を縮め、身の回りに隠しておくことに特別の才能があり、彼の干し首は、攻撃時の部位別命中表の中に入らない。彼の同盟精霊は、非肉化した霊体であり、アダルは、しばしば、自分の敵に対して、そのMPを削るために、自分の同盟精霊に精霊戦闘を仕掛けさせる。
 彼は、プレートの兜、胸当て、鎖帷子のスカートで身を固めており、四肢にはリングアーマーを装備している。兜は鉄製である。彼の2本のショートソードも同様に鉄製である。

〇所持している干し首
ブルーの魔道士、フマクトの剣、七母神の司祭、ゾラーク・ゾラーンの死の王×2

灰の男
〇遭遇場所:灰の平原

 灰の男は、人の姿を取ってはいるが、彼の肌はひび割れ、干からびた泥地のような様である。彼は、常に漂う濃い灰の雲に囲まれている。彼は盲目であり、その眼窩は虚ろな空洞である。彼は高度に発達した〈大地の感覚〉を有しており、振動から他の者の動きや位置を1Kmまでなら感じ取ることができる。このため、彼は〈大地の感覚〉が働く距離の内なら、相手に対して目が見えるかのように、普通に振舞うことができる。彼は、食事も呼吸もせず、病気や大抵の毒にも耐性がある(鉱物性の毒のみ効果がある)。
 灰の男は、知能はさして高くない。しかしながら、彼の行動原理は複雑であり、その行動は予測しがたい。彼は、極度に好奇心が強く単純で、当初は友好的であり、会話は粗野だが分かりやすい。だが、いつでも、突然、暴力的な状態になることがある。その結果、誰かを殺すと、彼は、すぐに戦闘をやめ、死体を漁り始める。そして、死体を細切れにし、その持ち物をくまなく調べる。もし、彼が死体を漁っているときに攻撃されたなら、彼は身を守るために再び戦う。
 灰の男に対して、10m以内に近づいたものは、息を止めない限り、彼の周りを漂うアルカリ性の灰を吸い込んで肺を痛めることになる。灰の男が魔力を投じることで、この灰の雲の範囲は100mまで拡大する。灰の平原では、常に雲の半径は100mである。
 オーランス等、嵐の神々を信仰する者なら、風を操る呪文か、シルフにより灰の雲を吹き払うことができる。
 弓等では、灰の男を傷つけるのは困難である。矢、石等は、まず、彼の周りを取り囲む灰の雲を貫通する必要がある。近接戦闘では、灰の雲が目に入ってくるため、〈闇の感覚〉や〈大地の感覚〉を持たなければ、あらゆる行動は制限を受ける。
 灰の男は、灰の平野においては、投射されたあらゆる呪文を吸収する。これは、〈治癒〉や〈防護〉のような投射された側が利益を受けるような呪文も同様である。また、大地の精霊(ノーム)が灰の男に触れた場合、即座に吸収される。

バブール
〇遭遇場所:死霊ヶ原

 この猿のような存在は、元々が何だったのは不明である。彼は、古代のドラストールの住人の霊を召喚し、その霊を、灰色肌の肉体に憑依させる。強力な霊は、依り代となる肉体を得られる見返りに、喜んでバブールに仕える。彼らは、憑依している肉体に何かあった場合、バブールが新しい肉体を提供してくれると考えているので、戦闘や死を恐れない。彼は常に3~18体の憑依された灰色肌を付き従えている。
 召喚される亡霊は、元は人間であったので、人間の肉体に憑依するのを好む。灰色肌は、ドラストールにおいては、霊が望みえる最高の依り代である。人間の冒険者の一団は、亡霊達にとっては垂涎の憑依先であり、バブールは、亡霊のために、生きたままその一団を捕らえようとする。バブールは奴隷を手に入れることに非常に執心しており、商機になり得る。
 彼は恐ろしい魔力を持った霊を従えているが、その霊は、さらに複数体の精霊、死霊を支配している。

悪鬼(カコデーモン)
〇悪魔の台地

 カコデーモンは、我々の世界に顕現することができるが、それは稀なことであり、困難も伴う。悪魔の台地では、顕現が最も容易であり、この世界に実体化していられる持続時間も様々なことから、近傍で遭遇する可能性がある。彼の者が、物質界に顕現する動機は不明だが、自らを英雄界に縛り付けている数々の制約について侮蔑していることから、おそらく純粋な悪意からそうするのだろう。彼の者が姿を現すときには、彼は付き従う邪鬼も一緒に召喚する。そして、邪鬼を自分の側に留め置くか、気まぐれに力と破壊を定命の者に見せつけるための何らかの使命に送り出す。
 悪鬼は、立ち上がると9mの高さになり、通常は単独である。彼の者は、大抵、襲わない見返りに何らかの代償を要求するが、代償を受け取ると、すぐに手のひらを返して襲い掛かる。彼の者が思いつく代償は、大抵、見事なまでに受け入れがたい犠牲である―例えば、その場に居る者全ての左腕をよこせ、など。あるいは、一人を除き、他の男を全て生贄に捧げるように要求し、その幸運な一人を投票で選ぶように命じるかもしれない。もし、出会った者達が、悪鬼のカルトの入信者であったり、どんなカルトの諸族であれオーガだったりした場合は、悪鬼はすぐにより特別な奉仕を要求するか、通常よりは悲惨ではない代償(全員の左脚、片方の睾丸など)を要求するかもしれない。

ドーカット
〇遭遇場所;ドーカット

 ドーカットの廃墟にしばしば現れるこの亡霊は、名を持たないが、それが宿る場所の名で呼ばれている。その霊は、ドーカット以外にも移動することができるが、それは理由が在るときに限られる―例えば、ドーカットの廃墟を再建したり、探索したり、祝ってくれる入植者を探しに行く、などである。
 ドーカットの亡霊は、通常は透明で不可視であるが、その存在は物質界にある。定命の者と会話したり攻撃したりするには、自らに《視覚化》の呪文を投射しなければならない。祈祷師やその同盟精霊は、ドーカットの存在を感じ取ることができるが、これは彼らにひどい恐怖感を与えるかもしれない。
 ドーカットが可視化されると、その姿は石積みで組み立てられた巨大(30mほど)な人間の形態をしている。窓や狭間がその身体に付いているのが見えるが、住人はいない。

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