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突然ミニマリスト生活へ|本:キャベツの新生活

小説や映画の中で、ふいにミニマリズムやミニマリストに出会うことがあります。
初めからそう定義付けされて描かれているものもありますし、そうではないものもあります。
いずれにしても、その要素が感じられるものに出会うとワクワクします。

そんな作品の一つをご紹介します。

有吉玉青「キャベツの新生活」講談社
2002年
(※「吉」の字は「『土』の下に『口』(𠮷)」の字体(吉の異体字)が正式)

今から20年近く前に書かれたこの小説、主人公が突然ほぼ全ての物を手放して、新生活を始めるところからスタートします。

ある時、主人公の青年が長い出張を終えてアパートに帰ると、なんとそこは火事で焼失。
彼は出張の荷物と寝袋だけを手に、新しい部屋を契約し、そこから会社に通うという生活を始めます。

元々住んでいたアパートは、自分の物や友人が持ち込んで来た物など多くの物たちでごった返していたという主人公。
新しい部屋は、コンクリート打ちっ放しのお洒落なデザイナーズマンションで、彼は「ここには本当に自分の気に入ったものだけを置こう」と考えるのですが……

こんな感じの導入です。
物が何にもない空っぽの部屋の描写、ワクワクします。
そこでの主人公の生活の様子、入念な掃除、ここに何を増やすか・増やさないかという葛藤、その生活の中で見えてくるもの、過去の様々なこと等…

全てを読み終えて、もう一度読み返したくなる小説です。
ミニマリストの方もそうでない方もぜひ。
オススメです!

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