ASD≠自分軸で生きている人

前回の記事では、たくさんスキをいただきまして、誠にありがとうございます。
更新前の障害者手帳・自立支援医療の有効期限は今日までです。

今回は、対面ではなく書類送付で更新したものの、仮の手帳や自立支援医療書類も受け取っていないため、明日は一時的に無手帳障害者で、自立支援医療もなしになりそうです。

さて、本日は画像なしですみません。

発達障害の他人軸とは?

最近、昨年12月から月に数回ほど通所している就労移行支援事業所の精神保健福祉士さんから、発達障害を抱えている人は「自分軸ではなく他人軸で生きている人が多い」と聞きました。それを初めて知って、勉強になりました。

自分の意志がなく、あるいはあっても相手にはっきりと伝えることができず、他人の要求を断るのが苦手で、したくないことを無理してしまい、自分がつぶれてしまうというパターンです。

発達障害=自分軸で生きている人というステレオタイプ


一般的には、発達障害(特にASD)は、

・こだわりが強い
・空気を読むのが苦手
・コミュニケーションが一方的
・他人に興味がない
・他人のことをあまり考えない
・他人に対する気遣いが苦手
・マイペース


というイメージをもたれます。実際、そのように解説している書籍やウェブサイトも数多くあります。

つまり、発達障害を抱えている人=自分軸で生きている人というイメージで見られやすいのです。さらには、本人は自覚がないのに、周りからは自分勝手な人、自己中心的な人、わがままな人というネガティブなイメージで見られることもありえます。

でも、それはステレオタイプです。一部のASDの人だけに目立つ特徴ですが、実際にはASDの多くは、そうではないことがわかりました。

上記のイメージは、いわゆる「積極奇異型」または「孤立型」と呼ばれるタイプのASDに多いタイプかもしれません。
世間一般で、ASDというと、「積極奇異型」が典型的なASD(世間では「アスペルガー症候群」という名称のほうが通じる)と見られています。
この積極奇異型は、ASDの中では比較的古くからよく知られているタイプで、ASDはこのイメージが強いのです。

世間一般ではあまり知られていない積極奇異型以外のASD

しかし、世間一般が思うほど、ASDは単純化できるものではありません。

ASDには、「積極奇異型」だけでなく、「尊大型」、「受動型」、「孤立型」、(最近では「大仰型」という分類もあり)など4~5種類のタイプがあるとされています。

また、同じ人でも、これらが複雑に重なり合っている場合もあります。さらに、ADHDと併発していて、その特性も重なり合っていることも多いので、非常に複雑です。

さらには、年齢が進むにつれて変化していく場合もあります。ASDで多いパターンとして、幼少期は「孤立型」だったものの、成長して社会経験をある程度積んでいくにつれて、「受動型」になっていくことがあります。

特に、筆者のように、発達障害が知られていない時代に幼少期を過ごした世代では、子ども時代には周りから「変わった子」と思われていたとしても、大人になれば、あからさまなコミュニケーショントラブルは減るので、周りも自分自身も発達障害に気づきにくいといえます。

人当たりはいいが、他人軸になりやすい「受動型」

ASDの中でも、特に他人軸になってしまいがちなのが「受動型」と言われるタイプかもしれません。
現在の筆者も、その傾向が強いと感じています。幼少期は孤立型が強かったのですが、特にいじめに遭った中学1年以降は、「周りに波風を立てたくない」と思い、受動型が強くなってきました。

この受動型は、自分から積極的に行動するタイプではありませんが、周囲には合わせていこうとするタイプです。
そのため、他の人には従順で、「お利口さん」、「扱いやすい人」に思われ、人当たりがいいのです。
他人との会話にもほとんど問題もなく、他人からの食事やミーティングの誘いにも従うタイプです。
しかし、このようなタイプは他人から利用されたり、だまされやすいタイプといえます。

また、利用されたり、だまされることはなく、たとえ相手に悪気は全くなかったとしても問題が生じます。

受動型のASDは自信がなかったり、自己肯定感が低いので、自分で判断することが苦手です。そして、断ることがとても苦手です。
その結果、他人の意見や行動にすぐに振り回されるのです(しかも、この他人も、人によって言っていることがまちまちだったりします)。

そして、自分からやりたくないことや、楽しくないこと、本心ではないこと、不本意な場合でも、相手の顔色あるいは感情を見て、それに合わせてしまいます。

その結果、知らず知らずのうちに体力的にも精神的にも非常に疲れて、大きなストレスを慢性的に抱えることになります。
当然ながら、うつ病などの二次障害の原因になります。

https://sensei-japan.com/1441/

<参照>【受動型】アスペルガー症候群の特徴は?学校生活や恋愛の傾向って?
(でぃーこみゅ)

コミュニケーションでの失敗経験も他人軸になる原因に

ASDでは、他人とのコミュニケーションの中で、失敗したり、トラウマ経験を積んだりして、自分を出そうとすることを過度に抑制してしまうことがあります。
特に、ASDだと失敗経験がいつまでも記憶に残りやすいところがあります。そこで、過去の反省から、自分を抑えようとしてしまいがちです。
筆者もそれがあるかもしれません。

その結果、自分がやりたくないことや、本当は自分の意見があるのに、はっきりと相手に伝えられず、悶々としてしまったりすることもありえます。

厄介なことに、それに、周りだけでなく自分でさえ気づかないのです。
無意識のうちに、無理して合わせていることに気づかないこともあります。

無理して周りに合わせていないかをまず自問

世間一般では、「発達障害=自分軸で生きている人」というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。

他人軸になっていて、苦しんでいる発達障害、ASDを抱えている人も、数多くいるということも知られてほしいなと思います。また、ASDを抱えている人やグレーゾーンという人は、いま一度、自分が無理して周りに合わせていないかどうかを、自問してみてもいいかもしれません。