『距離に負けない』　（中高生たちの超短編小説 009）

探究学習塾エイスクールの中高クラス「探究ラボ」に通う16名の中高生たちと4名のメンター・ファシリテーターが書いたオリジナルの『超短編小説（インスタント・フィクション）』を掲載しています。誰が書いたかわからない、ちょっと不思議な約400字の世界をお楽しみ下さい。感想（コメント）もお待ちしております。

三十数年前に知り合った彼女との恋愛を、今なお続けている。

彼女は私の人生で最も大切な人だ。

しかし、私たちは遠く離れた地に暮らしており、

毎日の連絡は電話やインターネットを通じて行うことになっている。

毎年、お互いに会える時間を大切にしているが、

年を重ねるにつれ、それが難しくなってきた。

私は彼女が健康であることを願い、

彼女は私が笑顔であることを願っている。

だが、距離が私たちを分かつ。

私たちの恋愛を試しているのだろうか。

距離という名の頑固者が二人の間に立ちはだかっている。

最初は何とかしてそいつを打ち破ろうとしたが、無駄だとわかった。

私たちはそれを乗り越える方法を探し、努力を重ね続けている。

そして、それが私たちの愛をさらに強くすることになっている。

私たちは、動けないが、負けない。

私たちは、遠距離の愛を選んだのだ。