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いまこそ、医療を学んで備えよう〜医師・看護師(なりきりラボ#15)〜

小学生向け、アウトプット型・探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」(2019年度グッドデザイン賞受賞)。子どもたちの探究心や創造性を刺激する、数十の職業が詰め込まれています。マガジン「なりきりラボ・おしごと算数の世界」では、その一つひとつのタイトルの魅力をご紹介します。今回は、「医師・看護師」(なりきりラボ#15)です。

<プログラム開発者、いわたく・きいろちゃん・ほっしーに聞きました!>

いわたく(岩田拓真):
株式会社a.school(エイスクール)代表取締役校長。京都大学総合人間学部卒、東京大学大学院工学系研究科修了(専門分野は、脳科学とイノベーション)。大学院在学中に、ひとり親家庭に対して動機づけ教育を行うNPO法人Motivation Makerを仲間とともに創業し、理事に就任。Boston Consulting Groupにて経営コンサルタントとして勤務した後、a.schoolを創業。探究学習の塾「a.school」を運営するとともに、様々な創造的な教育コンテンツの開発に携わる。自分自身も新しいことを学ぶのが大好き。一児の父。

きいろちゃん(木幡壮真):
a.school講師・プログラム開発・新規事業立ち上げ運営リーダーを務めるマルチプレイヤー。東京大学工学部卒。大学在学中、教育系ベンチャーにて中高生向け進路プログラムの企画・営業・運営のインターンを2年間経験。東京大学アントレプレナーチャレンジ2018では教育系サービスを考案し特別賞を受賞。同年11月よりa.school「なりきりラボ・おしごと算数」メンターを務め、2020年4月新卒でa.schoolへ入社。

ほっしー(星功基):
学び表現作家/a.school研究開発者。慶應義塾大学環境情報学部卒業。佐藤雅彦研究室にて「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)や「日常にひそむ数理曲線」(ベネッセコーポレーションとの共同研究)などのプロジェクトに携わる。ベネッセコーポレーション進研ゼミ中学講座にて、12年間、理科や数学の教材編集、デジタル推進を担当。「学びは自分たちでつくる:Cスタ」など、学びと表現の間を探る活動・作品づくりを行う。「文字とことばのデザインユニット・二歩」として2冊の絵本を刊行。

ー みんなの憧れ、医師・看護師。どちらも毎年のように、小学生が選ぶ人気職業トップ10にランクインしますよね。「なりきりラボ」ではユーチューバーから経営者までさまざまな仕事を扱ってきましたが、満を持してという感じですね!

いわたく:はい、エイスクール初の医療系プログラムです!医療は誰しもがその恩恵を受けて生きている大切な仕事で、いつかはとりあげたいと思っていました。でもこれがまた、非常に専門的な職業なんですよね。

教育プログラムに仕立てようとすると、どうしても知識習得がメインのインプット寄りになってしまって、なかなか仕事の真髄であるアウトプットに挑戦しづらいという課題がありました。医療の本質に切り込もうとすればするほど高度な専門性が必要になるというか、つまりはプログラム設計の難易度が高いんです。

設計チームの力量が十二分に備わるまではおあずけかなと思っていたのですが、「なりきりラボ」「おしごと算数」あわせて30の職業をプログラム化してきた今、ようやくその時が来たのかなと。

ー 確かに、コピーライターなら自分でコピーを考えたり、メカエンジニアならメカを作ったりと子どもでもアウトプットしやすいけれど、医師・看護師は誰かを本当に問診したり手術したりできないですもんね。実際のところ、どんなプログラム内容なんでしょうか?

いわたく:プログラム全体を見渡すとやはりインプットが多めですね。全8回のうち、前半5回はインプット、後半3回はアウトプットにあてられています。

インプット・パートでは身体の仕組みや身近な病気や怪我、感染症やアレルギー、生活習慣病などを切り口に医療で扱うさまざまなテーマを学ぶのですが、ここでオリジナルの診断シミュレーションゲームが登場します!これはきいろちゃん渾身のゲームだよね。

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きいろちゃん:そうですね、自分で言うのもなんですが、今回の診断シミュレーションゲームは本当におすすめ!ぼく、ゲームを活用して彼女の頭痛の原因を診断できちゃったんですよ!(一同驚き!)

真面目な話、医師・看護師というととかく医療ツールを使ったり手術をしたりという見た目重視のお仕事体験になりがち。でも、今回のプログラムでは問診・診断という医師の本質に光をあてることを意識しました。

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あ、でも、子どもたちのワクワクを加速させるために、ホンモノの手術針を使った「縫合ワーク」や、聴診器を使った「問診ワーク」など、医師・看護師になりきる仕掛けも満載です!

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ー お医者さんや看護師さんに憧れる子どもたちにとっては、かなりモチベーションがあがる内容ですね!アウトプット・パートはどうでしょうか?

いわたく:プログラム全体をとおして、医療のなかでも診断・治療・予防という3大分野を学ぶのですけれど、インプット・パートでは診断が、アウトプット・パートでは予防が、それぞれ大きな比重を占める感じかな。

アウトプット・ミッションはずばり、自分の家族の健康状態を把握して、家庭でできることを考えること(低学年は担当講師の健康状態)。大切にしたいのは、これからの長い人生でアクションを継続できるように、「家庭の医学」に対する感度をあげ実践の一步を踏み出すことなんです。

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ー 自分の家族の健康を守るアクションという意味では、「おしごと算数:栄養士」も似たところがありますよね。ただ、今回扱うのはさまざまな病気や怪我が対象となる医療。正直なところ、子ども本人やご家族の状況次第では、ややセンシティブな話題かもしれないという不安もあります。

ほっしー:それは本当にそのとおりですね。今まさにご本人や家族の方が健康に大きな課題を持っているかもしれないなか、それに正面から向き合うには勇気がいるし、他人には立ち入ってほしくない領域もあるかもしれません。

このプログラムで強調している医師・看護師の"3つのプロの技"というのがあるのですけれど、それがこちら。

1)人間の身体の仕組みを理解する
2)どんな状況でも冷静に判断する
3)患者によりそったサポートをする

この3番目が一番大切だと思っていて。だからこそ、患者さんとの接点が特に多い看護師も医師と並べたんです。

患者によりそうためにはリスペクトが必要ですよね。問診を疑似体験するワークがあるのですが、これをするときも相手の領域に土足で踏み込むのではなく敬意をはらって慎重にアプローチしてもらいます。

残りの二つのプロの技も大切です。例えば今ですと、新型コロナウィルスという未知なる脅威に対する漠然とした不安がありますよね。でも多くの病気や怪我についてはわかっていることも多くて、科学的な事実を根拠とする知識を身につけるだけで前向きに取り組めるはずなんです。そういう、正しい知識を身につけること、エセ科学に振り回されずに冷静に判断することは医師にならずとも身につけておくときっと力になる教養です。もちろん専門家ではないので、知識に対して謙虚になり安易に素人判断を下さないように注意する必要がありますが。

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きいろちゃん:これからの時代医療に携わるのは医師・看護師という専門家だけではないという意識も大切ですよね。特に予防医療という観点から考えると、私たち一人ひとりが主体性をもって考え行動することができます

ほっしー:そうそう、先天性/遺伝性の病気は確かにセンシティブなところがまだまだありますが、一方で生活習慣病は比較的生活者自身の予防アクションが直結しやすいところがありますよね。昔は成人病とよばれていた病気が1994年から広く生活習慣病と呼ばれるようになってもう20年以上経ちますが、表現を変えるだけで人々の捉え方が大きく変わったように思います。

いわたく:過去に単発の医療系ワークショップを何度か開催したことがあるのですが、参加者のほとんどがなにかしら大きな病気をした経験がある子どもばかりでした。自分や身近な人が身を持って経験をしないとなかなか学ぶ機会がない、正面から向き合う機会がないトピックが医療なんだと思います。

でも今は縁がないからといって距離を置いたり、センシティブだからといって避けたりするのでなく、人生100年時代のいつ・誰にどのような形で訪れるかわからない健康課題に正しく前向きに取り組めるように備えることは子どもたちにとってとても大切なことかなと。なので、まずはスタートラインに立つためにも、プログラム全体のトーンは楽しく面白く前向きに仕立てつつも、配慮をもって運営していけたらと考えています。

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グッドデザイン賞受賞の小学生むけ・アウトプット型探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」は、東京は本郷・池上の直営校のほか、全国のパートナー校、そしてオンラインでも受講できます!くわしくはエイスクールのホームページをご覧ください。


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