見出し画像

初心者にイチからデザイン教えた話

エディトリアルデザインをやっています、というと大抵、「なにそれ〜?」と言われます。
そもそもデザイナーっていうと服飾のイメージが強いのか、「服とか?」なんて言われたりもします。

もともと雑誌を作りたい!と思ってそれなら編集者でしょ!と編集者を目指していた私も、実際は出版業界に入るまで、そんな仕事があることは知りませんでした笑

そこで今回はまず、私がやっている仕事について話したいと思います。

1.エディトリアルデザインとは新聞・雑誌・書籍などの出版物のデザインのこと

出版物は、記者・編集者が発信したい情報を伝えるために、
ライターに執筆を依頼したり、カメラマンが撮影を、イラストレーターがイラストを描いたりして作っていきます。

その集められた材料と「こんな情報を伝えたい」という内容を整理して、
読者に伝わりやすいように、具体的にレイアウトに落とし込み印刷所に入稿できるデザインデータを作るのがエディトリアルデザイナーの仕事です。(印刷する場合)

写真の大きさや配置・トリミング、視線の導線のような大きな構成から、
内容に応じた文字の種類の選定、文字組み、文字詰めの設定、配色。ページ全体だけでなく、企画全体や本全体のバランスをみながら構成の「見た目」を調整するなど細かいところも
実はエディトリアルデザイナーの仕事です。

エディトリアルデザイナーの中には、
ブックデザイン(装丁)も兼ねていたり、撮影のディレクションやカメラマンの選定から携わる場合もあれば、
編集者から渡された素材のみでデザインを上げる場合もあり、関わり方の深さは媒体やポジション、案件によってさまざまです。

とてもざっくりですが、私がやってきたエディトリアルデザインの仕事はこんな感じです。
広告代理店の中のデザイナーだったときは、自らプレゼン資料を作って、カタログのデザインコンペに参加するなど、
そもそもの「売り方」「魅せ方」の部分から新規提案していくこともあります。
(ブランディングやコンサルに近い視点から冊子を丸ごとディレクション・デザインできるのでたのしい!)

これまで、私はカタログや冊子、女性向けファッション雑誌などをデザインしてきたのですが、
出版物は版権の関係で、あまり個人の実績として公開ができません!

そこで、今回の記事で紹介するのが、友人にイチからエディトリアルデザインを教えた過程です。
いきなり自分の実績紹介ではない投稿ですが。。。笑


2.イチからエディトリアル教えてみた

旅と音楽をテーマに活動しているuyuni

友人である彼から、これまでの旅の写真や文章、そこでインスピレーションを受けて作った楽曲を1冊にまとめた
「楽曲の聴けるアートブック」を作りたい、との相談を受けました。

自分でもやってみたが、パワポ感が出てしまうので、もうちょっとおしゃれにしたい!と。

仕事依頼を受けて直接私がデザインするのではなく、綺麗に見えるポイントを教えるという経験も、おもしろそうだと思ったので
アドバイザー的な感じで相談にのることにしました。

最初に送られてきたのがこちら

写真は素敵だし、
なんとなく伝えたい雰囲気や空気感はわかるんだけどもったいない…!と感じ、持ち前の「もっとこうしたらもっと良くなる精神」で早速色々アドバイスを始めました。

このときまず最初に伝えたのが以下です。
・作業環境
・判型(本のサイズ)
・マージン(余白)
・フォントや文字詰め

・作業環境について
私はページ数が多い文章系のレイアウトには、それに特化したAdobeのindesignというソフトをよく使います。
イラレは、見出し周りのあしらいやちょっとしたロゴを作る時や名刺ちょっとしたパンフレット、
Photoshopは写真の切り抜きや補正、web用のバナー作成時と使い分けています。

彼はindesign持っていなかったのでイラレで進めました。

・判型(本のサイズ)
判型は、本の大きさです。印刷物には加工工程で必要な「塗り足し」という実際の仕上がりサイズより3mmずつ多めに伸ばしておく部分が必要なのですが、
判型の台紙を間違えていたり塗り足しが足りていないと、印刷会社から電話がかかってきて、希望納期に間に合わない!なんてこともあるので
まずそこを伝えました。

・マージン(余白)
判型(台紙の大きさ)を決めたら、その中で版面設計をしていくのですが、
ざっくりいうと、ベースの紙にたいして文字はどの面積以内に置いて、マージン(余白)は上下左右どのくらいとるか、基本ルールを決めるという感じです。
本の厚さ、紙の種類によっては、ノド(本を開いた時の中央)に食い込む部分を計算して、すこし多めに取るなどページによって見え方が変わらないように微調整することもあります。
そうすることで、本全体の統一感を出し、どのページを開いても自分で決めた基本ルールがあるようにします。

デザインはその基本ルールを最低限守りつつ、少しずつ外していく。途中にコラムなど別ルールのページも盛り込みリズムをつけていく。
人によってやり方はさまざまだと思いますが、indesign使いはそのように仕事を進めることが多いと思います。

基本ルールばかりだと単調になるのでは?!と思うかもしれませんが、たとえばノンブル(ページ番号)の位置が毎回微妙に違ったら、読む人はわかりにくいですよね?
そういうわけで、特別な意図があって「あえて」そうデザインする場合をのぞき、まずは基本ルールを決めることが大事です。  

説明用に赤線を引きました。

・フォントや文字詰め
そこから、伝えたい雰囲気を伝えるのに適したフォントの種類や大きさを選んでいきます。
文字詰め(文字同士の空き具合)も意識します。
近いと強く、広いとゆったり優しい印象になります。(フォントにもよりますが)

例えば、スーパーのチラシやドンキホーテのPOPを見てみると太く強調した文字同士がかなりくっついていると思います。店頭でインパクトを出すために効果的です。

逆に、無印良品のような落ち着いた雰囲気を出したい場合は字面面積が小さめで太いゴシックを文字間隔広めでゆったりと配置したり、
高級感を出したいときは明朝系のフォントにし優雅な印象にします。

このように表現したい雰囲気によって声色を変える調整を行います。

文字のサイズはポイント(pt)や級(Q)など人によって使うサイズの単位が違いますが、私は級数(Q数)を使っています。
1Q=0.25mmなのですが、本当に0.25mm単位でも、何文字も並んでくると、ページ全体の印象は全く変わるんです!

なので、最初はダミー文字でも原稿を流してみて、基本設定をいくつか試してみて、使う文字の大きさを決めたりします。  


上記を伝え、
その他に、見出しは見出し、住所は住所、本文は本文とわかるように同じ情報は同じQ数にする、
大中小を意識するなどのアドバイスをして上がってきたのがこちら。  

1回のアドバイスで、初心者でもここまでできる!とちょっと感動。  

ここからさらに細かい点の修正やりとりを繰り返し、全ページ作っていきました。

今回お伝えしたのは初歩の初歩で、実際にはまだまだ意識しているところは沢山ありますが、エディトリアルデザインの超ざっくりした仕事内容は少しは伝わったかと思います。

って、私など、自己紹介記事にもある通り営業職からの転職デザイナーなので、10年戦士のベテランからしたらこの解説もつっこみどころ満載なのでは…と内心おびえていますがw笑

おわりに

この冊子のリリースパーティーはたまたま打ち合わせで使わせて頂いていた
高円寺の焙煎DISCO茶蔵さん(2020年4月24現在クラファン中)にて開催したのですが、打ち合わせしていた所からイベントやらせてください!につなげる、彼のバイタリティには感動です。

写真も音楽も良く、心地よい空間づくりの一助になれてよかったです。

QRコードから音楽を聴けるシステムを作ったメンバーなど、
この冊子に携わったみんなと初顔合わせもでき、自分が手を動かしたわけではないけれど、なぞの達成感を味わいました。

渾身の冊子はこちらから購入できます。

ASOBI BOOKMARK Release!
https://uyuniuyuni.com/asobi-bookmark-release%EF%BC%81/

トップ画像もこちらよりお借りしました。  

次回は自分の実績で紹介できるものから、デザイン解説を載せようかなと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?