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大人になってから観る、’’崖の上のポニョ’’

こんばんは、お久しぶりです。梅雨は嫌ですね、どうにかして雨の日のいいところを探し続けるような毎日ですが、今のところ「雨にまつわる曲の聞き心地がいい」、「家に引きこもっていても後ろめたくない」くらいしか思いついていません。

 さて、そんな感じでお家に閉じ込められていた私は金曜ロードショーで放映され、録画してあった「崖の上のポニョ」を本当に久々に鑑賞しました。前に観たのがいつだったか、思い出せないほど…
 ストーリーや結末や、そう言ったことはやっぱり覚えていたのですが、こんなに心動かされた映画だと言うことは、知りませんでした。正直爆泣きしました。情緒が不安定なのもあったかもしれませんが、この感情をどこかに出しておかないとどうにかなりそうなので今回はポニョについて一生語りたいと思います。

崖の上のポニョはあまりに有名なので、ここからはネタバレ全開、あらすじなどは割愛いたしますのでご容赦ください。

まず、美しいと思ったシーンがこちら。

海の上でのやりとり

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急遽帰ることができなくなった父、海の上にいる耕一とモールス信号でやりとりをする場面です。母のリサははそのことで拗ねて暗い部屋のベッドの上に足を投げ出しています。まずここでは、宗介が五歳にしてモールス信号を覚え、海にいる父に対して健気に交信を行なっていると言う状況で、年を取った私の涙腺が緩んでしまいます。しずかな海に浮かぶ船たちはまるで冬に見るイルミネーションのようで、その風景の美しさにも息を呑んでしまいます。またここで流れる「発光信号」の温かいメロディで胸がいっぱいになります。

ここで耕一が「すまない」と謝り、りさが「ばかばかばかばか」と罵ると、耕一が「愛してる」と返すというやりとりがあります。私はここが本当に心のやりとりとして好きです。耕一が登場し、りさや宗介と会話するシーンというのは多くないですが、このひとシーンだけで愛に溢れた家庭なのだということを感じ取れる、非常に心温まる場面であると思います。耕一は家族に愛情はもちろんあれど、船乗りと言う仕事に対しても確かな誇りと夢を持っている。それに対して小金井丸の船員は「奥さん、怒ってるでしょうね」と評していますが、そんな夢を持ち続ける父の背中があるからこそ宗介が憧れを抱きながら育っていると思うと目頭が熱くなります。またいつも溌剌としていて元気なリサが、耕一にはある意味素直に、(原因は耕一だろうと)態度に出せていると考えると本当にいい夫婦だなと心の底から思います。耕一に会いたい、家族で集まりたいと言う気持ちの裏返しだと思うと、本当に愛おしくて泣けてきますね。(情緒)

また怒っているりさや宗介のために光一は船上でカラフルな灯りを点灯させます。この不器用で美しいロマンティックさを持った場面が大好きです。

交信が終わり、部屋の電気をつけてもリサはベッドに突っ伏して拗ね、涙を流したままです。そんなリサに対して宗介はそんな母の頭を撫でながら、「リサ、泣かないの。僕も泣かないから」と声をかけます。そのまっすぐでどこまでも透明な純粋さがいたく胸に突き刺さります。大人になってすこし失ってしまった純な優しさをこのシーンからは受け取ることができます。「僕も泣かないから」と言う言葉は五歳の男の子としては少し成長しすぎにすら思えますが、たくさんの愛情を日々感じている宗介だからこそ、それを自分も表明し誰かにあげられるんだなと切に思います。それはリサに対してもこうしてあげられているし、ポニョにだってそうです。

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そんな健気な息子の愛を受け取ったリサは「私はっ元気ー」と’’さんぽ’’の一節を口ずさみながら宗介に愛を返すかのように抱きしめます。私時々思うのです、自分の愛するものに対してその愛を常に表すべきだな、と。たとえそれが血がつながった親子だとしても。そう言ったことをリサから本当に学びます。

ただ真っ直ぐで純粋な愛

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時間は飛んで、終盤のシーンです。こちらは海の中に沈んでしまった「ひまわりの家」でグランマンマーレ(ポニョの母)と宗介が会話するシーン。

ポニョが人間になるには、魔法を捨てその身を引き受けてくれる人が必要になります。そこでグランマンマーレは宗介に対して「ポニョの正体が半魚人でもいいですか?」と問います。

それに対して宗介は、「ぼく、お魚のポニョも、半魚人のポニョも、人間のポニョも、みんな好きだよ」と答えます。

私はここでありえないほど嗚咽しました。ここまで誰かに受け入れられたらきっと幸せだろうな…と(何があったの)宗介は海のように広い心でポニョを受け入れているということを飛び越えて、それが好きだと純な心で言っているのです。

この言葉にもう説明は要らないでしょう。この暖かい言葉を聞くためだけに、この映画を観たっていいです。

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今見ると最強の押しかけ女房に見える真っ直ぐなポニョ、優しさに溢れた宗介、元気なリサ、夢を持つ耕一、不器用なフジモト、寛大さと娘を思う気持ちを持つグランマンマーレ、崖の上のポニョには他のジブリ作品と同じく、愛おしいキャラクターばかり登場します。

今見て本当によかった。大人になってから、私はこの作品を観てほしいと切に思います。お時間あればぜひ、今一度ご鑑賞ください。


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