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シャン州(ミャンマー)2018


Shan State シャン州 

 ミャンマーのシャン州はヤンゴン、パガン、マンダレーに次ぐ人気観光地インレー湖を擁する州だ。もちろん見所はインレー湖だけにはとどまらない。今回の目玉であるシャン族の新年祭の撮影を終えてシャンの面白そうな所を回ってみることにした。

 最近人気のカックー遺跡というのがある。多くのパゴダがそびえたち、風鈴をぶら下げた先端からは涼しげな音が流れる。おそらく鈴はパゴダの装飾の一つであって、日本の風鈴と同じような涼しさを演出する目的とは思えないが、日本人からすると暑い日差しの下で爽やかな涼しい音を聞きながら観光できるのはどことなく和的な感覚もあってとても印象深いものになる。


パオ族

 ところでこのカックーに向かう途中にはパオ族の集落が多くある。黒い民族衣装に頭にタオルを巻くことで有名な少数民族だ。ちょうどコメの収穫時期でもあり脱穀をしていたり、ニンニクや結構意外だったけどコーヒーの収穫も行われていた。私的にはこちらのパオ族の方がとても気になった。

 パオ族に限らないがミャンマーでは農作業における機械化というのはあまり進んでいない。基本的に人力頼りで行われている。まず脱穀は木の台に叩きつけて籾を落とす。こういうのはインドなどでも見たことがあったのでさほど驚きとかはなかったが、次は結構意外で ”そういう発想はなかった” 的なやり方だった。籾と藁くずとかを分けるのに自然の風とかを利用するのがよくあるのだが、この日にはほとんど風はない。そこで彼らはどうしているかというと草刈り機を利用していた。先端がどうもプラスチックな感じがするのできっと風用の羽に交換してあるのだろう。これで不要な藁などを飛ばし、さらには大団扇で残りの藁も吹き飛ばす。ちょっと日本ではありえないような工夫が生きていた。そして袋詰めを行っていく。全て手作業なのでもちろん時間そして労力はかかるはずだけど、彼らはにこやかに楽しそうに作業していた。実に昔ながらの牧歌的な光景がここではいまだに健在なのである。しかし民主化に伴って草刈り機だけではなく刈り入れや脱穀なども機械化になってしまう時期というのは意外にも近いのかもしれない。



カウンダイン

 翌日はKaung Daing (カウンダイン)に向かう。市場もそれなりに楽しめたが、何よりも興味深い光景だったのは納豆工場。工場というか全て手作業なので工房といった方がいいかもしれない。おそらくミャンマーにはこのようなところがいっぱい点在しているのだろうと思っていたが、帰国して調べてみるとこのような納豆はシャン州が産地らしい。歩いて行くとこの工場周囲一帯には納豆の臭いが漂っている。納豆が好きな人にはそう問題はないだろうけど、納豆嫌いの人にとっては臭いだけできっと近づけないだろう。さらに近づくにつれ建物の周りに乾燥させている茶色のチョコクッキーのような物体が一面に広がっているのが見えてくる。これが納豆をペースト状にして平べったく伸ばしたものであった。Pae Poteとか Pe Pote と呼ばれるらしい。このまま生で食べることはなく炒め物などに入れたりするというので、納豆というよりかは豆鼓(中華料理で使う乾燥した納豆)に近い存在だ。


ニャウンシュエ

 今回のシャン巡りの拠点となっているのはニャウンシュエ。ここから川というか運河ができておりインレー湖につながっている。運河の橋の上からインレー湖方面を眺めると多くのボートが軒を連ねるごとく並んでいる。ボートの音を聞きながら夕日を眺めているとなぜかビールが恋しくなってくる。


インディン

 次の日に訪れたのはインディン遺跡。こちらもカックーと同じように多くのパゴダが並ぶ遺跡だ。ここには宿泊しているニャウンシュエからインレー湖を通るためボートで移動となる。ボートで漁をしているインダー族を眺めながらしばらく行くと、インディン方向となる川をさかのぼるようだ。両岸の村々や時折現れる寺院などのんびりと見ながら進むのは結構気持ちがよい。暑いから風が気持ちよいせいもあるだろうか、このままいつまでも眺めていたい気持ちにもなった。

接岸してからインディンに向かうには屋根のある参道のような通りがしっかりとできている道をすすむ。両側には土産物屋が並ぶがあまりやる気がないのか国民性なのか押しの強さは全くなくこちらが声をかけないと反応がないほどであった。これがインドやタイの観光地なら手ぶらではなかなか放してくれないはずだ。インディンはパゴダの数としてはカックーには及ばないがこちらの方は小山の上にあって階段状にパゴダが建てられているため少し上から天へ延びる穂先の密集感を撮り収めることができる。


インダー族

 帰りにはちょうど学校の下校時間に重なったようだ。水上学校前に多くのボートが並び、親が待ち構えている。そんななか、きっと自宅が近いであろう生徒たちは自分たちで船を漕いで帰っていく。インダーは生まれながらの水の民だなと思わせる光景だ。



ミンタウク

 夕日はMaing Thauk(ミンタウク) 。ここはウーベインのような長い橋があるのだが、高さが全くない。水面から1mちょっとだろうか。したがってウーベインのように橋桁をシルエットのようにという撮影には全く向かない。水面に一直線に走る道として構図でのみ生かすことができそうだ。水草も多いので、なるべく少ない場所を探すのもちょっと一苦労する。そして夕日を待った。しばらく夕日を撮っているとちょうど舳先に女の子を乗せたボートがやってきた。日本なら危ないから親に怒られそうな座り方だ。が、しかしインレー湖にいると時折このように座っているのを目にするのだ。だからインレー湖においてはこれが普通の座り方の一つといってもいいだろう。インダー族なら子供の時から川に飛び込んで水浴びしているくらいだから、たとえ落ちても問題はなさそうだ。そして向こうから段々と近づいてくる女の子をファインダーで追っていると西洋船舶のフィギュアヘッドの女神様のようだなと、ふと思った。可愛らしい小さな女神様のおかげかどうかわからないがこの日は先ほどまで雲に隠れていて心配だったお日様が無事に地平線に顔を出してくれて夕日の撮影を楽しめた。


ヘーホー市場

 最終日はヘーホー空港からヤンゴンに飛び、そして帰国となる。ヘーホー空港までのわずかな時間を利用してヘーホー市場に寄ってみた。ここもシャン族やパオ族で占められた少数民族市場で規模も大きくなかなか雰囲気が良い!特に気に入ったのはトマトを売るパオ族達。写真のように横倒しにした大籠から溢れるような大量のトマトがビジュアル的にも旬で豊作感が出ていて、見ていて楽しい! 


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ホムペ
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