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【エッセイ】ショート寸前

 公共温泉の脱衣所にて、ドライヤーをかけていた。閉館が近い時間、私のほかに利用客はいない。
 髪が多くて乾かすのに時間がかかる。半ばまで乾いたかというところで、突然ドライヤーの風が止まった。
 間違ってスイッチを切ってしまったかと手元を見ると、コードの付け根から煙が出ている。あれ、と思った瞬間、火花が出た。(頭の中で、ドラゴンボールの歌のスパーキング、という歌詞を口ずさんだ)
 コードはそのまま小さく燃えはじめる。とっさにバースデーケーキのろうそくよろしく吹き消したが、火はまたすぐ復活してしまう。
 これは水か? いや、たしか水につけると感電してしまう。ひとまず落ち着いてコードを抜いた。こんなところで理科の授業が役に立つとは思わなかった。
 コードを抜くと火もおさまり、一件落着である。清掃のお姉さんに事情を説明して、その場をあとにした。
 それにしても、もしドライヤーを水に突っ込んでいたら感電してガイコツが透けていただろうし、火が髪に引火していたら今ごろカミナリさまの髪型になっていたことだろう。しかも、あられもない格好でドライヤーをかけていたので、運ばれるような騒ぎになっていたらみなさまに恥をさらすところだった。ああ、危なかった。
 この一件以来、なぜかセーラームーンの主題歌が頭の中をぐるぐる回っている。思考回路はショート寸前、今すぐ会いたいの。
 ショート寸前どころか、がっちりショート済である。
 思考回路は、、、うーん、こちらもやっぱりショートしてしまっているようだ。

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