ちょっと性別不明の友人がいます -2-
序章はこちら
前回のお話はこちら
2. 私とサワとタイと
突然だが
サワにはタイ人の彼女がいた。
なぜタイ人?!と思うかもしれないが
私たちの大学は
学生の半分が外国人で
誰がどこの国の人と
どんな関係を持っていても
不思議ではない環境だった。
そんな私は残念ながら
外国の人と恋に落ちることはなくて
国際恋愛ってどんな感じなのか
今でも全くわからない。
ただサワと彼女を見ていて
どんな言葉や文化を持っていても
恋人と仲良くしたり喧嘩したり
そのうち一緒に暮らそうか
なんて
ごく当たり前なんだなと
なんとなくそんな風に思っていた。
なんとなく、で過ぎるくらい
大学生活は毎日目まぐるしく
加えて一人暮らしだったため
とにかく生きていくのに必死だった。
勉強も遊びも
そしてサークル活動も。
(ここからはサークルの説明なので読み飛ばしても問題ありません。
タイにもジェンダーにも関係ない話がしばらく続きます…)
私とサワが入っていたサークルは、タイの貧困地域で教育支援をしていた。教育支援というのは実際に何かを教えるわけではなく、教育環境を整える支援を主にしていた。
例えば保険衛生として手洗いの大切さを伝えたり、給食費を稼ぐためにタイパンツを作って売るノウハウを親に伝えたり…
まだまだ発展途上だった20年前は、そんな活動から始まったサークルだった。
私たちが入部した時はそこから7、8年経過していたので、実際に教育の分野でも何か支援をということで教育部という部署があった。
私とサワはその教育部のメンバーになった。
そういう経緯でできた部署だったため、かなり手探りというか教育学部でもない私たちが教育の分野の支援をするという、今考えればなかなか無謀ともいえることを一生懸命やろうとしていた。
そして一生懸命やるために
議論は必須だった。
毎年2回、長期休みを利用して現地へ渡航し支援活動をしていたのだが、渡航する前の半年間、来る日も来る日も議論を重ね、企画書を作り、全体で発表し、企画書が通らなければまたやり直し。なんとか企画書が通れば、今度は支援に向けた資料づくり。
どうすれば現地の子どもたちに気に入ってもらえるか、どうすれば現地の先生たちが継続して使ってみようと思うか、また来る日も来る日も議論を重ね、サークル内からは「また教育部がやってる…」と、なぜか教育部=議論好き、みたいな
構図までできあがった。
議論好きが集まったのか、集まってみたら議論が白熱したのか。どちらにせよ議論を加速させていたのは、サワと私なんだろうなと今は少し思う。
いや、きっとそうに違いない。
大変ではあったけど、やりがいのあるサークル活動を送っていた。
サワと関わる時間が
一番長かったサークルは
とにかく体も頭も忙しく
長い時間、頭を突き合わせていながら
サワがどんな人なのか
ということは
そんなに気になることではなかった。
それは外国人がたくさんいて
多様性を認めるのが当たり前だった
というのもあるし
相手の人がどこの国の人か
そんなに重要ではないように
相手の性別や性的指向がどうかは
それもそんなに重要ではなかった。
そしてそれらは少なくとも
私たちサークル同期の
共通認識であるくらい豊かな環境だった。
そして気付けば
サワに彼女ができていた。
彼女はタイ人で
ともにサークルの教育部で
私も知っている子だった。
まだあまり日本語が得意ではなく
流暢な英語を話す可愛い子だった。
それで改めてサワは
サバサバした性格を演じているわけでも
好んで男っぽい格好をしているわけではなく
彼女ができた=サワは男なんだろうな、と
きっと誰もが思った。
ここで私が密か気になっていたのは
サワの性的指向
ではなく
彼女の性的指向である。
なぜか、
ということで再び前回の
「タイには性別が18タイプあると言われています」
初めてこれを見る人は
何がなんだかわからないと思う。
私も調べながら書きたいが
読めば読むほど頭がこんがらがりそうになる。
(こちらがわかりやすかったのでここを参考に進めてみる。18タイプすべてがわかりやすく書いてある。)
私なりに整理してみると
・身体的な性別
・精神的な性別(性自認)
・性的指向
この3つがどうなっているか
ということだと思う。
この表の女性は
今だとストレートと言われるタイプ。
・身体的な性別:女性
・精神的な性別(性自認):女性
・性的指向:男性
FTMであるサワはトム。
・身体的な性別:女性
・精神的な性別(性自認):男性
・性的指向:女性
タイ人の彼女がレズビアンの可能性も
なきにしもあらずだったが
サワとの関係を見るに
サワを彼氏として頼り
寄り添っている様子から
タイ人の彼女はこの表だと
ストレートの女性になるのかなと思った。
しかし18タイプの中には
いわゆるバイやトムを好きな女性、
男っぽい女性が好きな女性
など
ちょっと待てよ?と
思われるタイプがあった。
・身体的な性別:女性
・精神的な性別(性自認):女性
・性的指向:男性のような女性
少しニュアンスが違うけれど
宝塚の男役が好き、みたいな感じかな。
もしタイ人の彼女が
ストレートではなかった場合…
女性である前提のサワを好きかもしれない。
だとすると
サワは…男なのか女なのか…
ハッキリしないまま
なんとなく日々を過ごしていった。
あえてハッキリさせないまま
どんどん日々は過ぎた。
いやハッキリさせる必要もないまま
それはそれでよかった。
あの時までは。
それは私が
サワと彼女が同棲している家に
遊びに行った時のことだった…
次回はそんな私とサワと
誰にも話したことのないあの日の話。
「サワと私の13年間」
愛を込めて「サワわた」!!!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
サワは彼女と同棲するため
部屋を借りるのに
親の承諾を得るのが大変だったと
当時は話していました。
たしか女友達とルームシェアをする
と説得したと言っていたかな。
ふとそんなことを思い出しつつ
ぜひ次回もお楽しみに。
★☆★
創作大賞2023狙って全力を尽くします!
応援よろしくお願いします。
★☆★
たまにサイドストーリーも書けたらいいなと思っています。
ぜひスキ、フォローお願いします♪
コメントも嬉しいです。もしかしたサワも見てるかも!
(サワへの直接の質問、コメントは嬉しいですが
サワからのお返事は難しいです。ごめんなさい。)
次のお話はこちら
あなたの応援でますますがんばれます。 いつもありがとうございます!