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絵画オタクのおすすめの本

絵画を題材にした本はたくさんあります。
解説本の知識を詰め込んで教養を深めるのも悪くないですが、せっかくなら面白いものを読みたいですよね。
誰にとっても読みやすく、かつ、読み物として面白い本を厳選してご紹介します。

絵画の解説編


巨匠に学ぶ構図の基本 名画はなぜ名画なのか

著・内田 広由紀  出版・視覚デザイン研究所


よく「この絵は構図が素晴らしい」などと言いますが、良いとか悪いとか以前に、構図ってよく分からない…そんなモヤモヤを解決してくれるのがこの本です。
実在の絵画を例に、構図の種類とその効果が分かりやすく説明されています。

何より分かりやすいのが、実在の名作絵画と、その絵の構図をマイナーチェンジした図を対比させていることです。

見開きの左ページに実在の絵画、右ページにマイナーチェンジした図が置かれています。
ページをめくって右ページと左ページを対比すれば、構図の効果が一目で分かるようになっているのです。

これが本当にありがたい!

構図がほんの少し変わるだけで、絵の印象がガラリと変わってしまうことがよく分かります。
(思わず何度も見比べてしまいました。)

絵も大きめ&フルカラー印刷なのでとても見やすいです。
同じシリーズで配色の基本verもあります。こちらも必見です!


日本の色図鑑

監修・吉田雪乃  絵・松尾ミユキ  出版・マルイスタッフ 


日本の伝統色に「花色」という色があります。
「花色」と聞いてどんな色を思い浮かべますか。
ピンクでしょうか?それとも黄色?

実は、花色はツユクサのような青色のことです。
昔の日本人にとって、花というのは野の花を指しました。
現代の私たちがお花屋さんで買うような鮮やかな花ではなく、道端などに生えている野生の花たちです。

この本では、上記のような色の由来や特徴などが、一色ごとに解説されています。
その数なんと88色!
「花色」のような意外な発見がたくさんあります。

こちらも見開きで、2ページ毎に1つの色が紹介されています。
右ページは全体が一色で塗られ、色の名前が書いてあります。
左ページでは、右ページの色の解説や関連色について説明されています。

色見本としても、辞典としても、読み物としても使いやすい本です。


名画がテーマの小説・エッセイ編


ジヴェルニーの食卓

著・原田マハ  出版・集英社


言わずと知れた原田マハさんの著書。
彼女は小説家でありキュレーターでもあり、アートを題材にした名作を山のように書いています。
その中でもこの本を選んだのは、読後感が最高だったからです。

「ジヴェルニーの食卓」は、4つのストーリーから成る短編集です。
印象派の巨匠たちの、作品に掛ける思いを描いています。
主人公は高名な画家…だけでなく、画家を支えた女性たち。

自分の目の前で名作が生み出されているかのように、画家たちの様子が生き生きと伝わってきます。
お涙頂戴でもなく、単なるハッピーエンドでもなく、最後には爽やかで温かい気持ちになれる作品です。

会いたかった画家

著・安野光雅  出版・山川出版社

有名な絵本作家の安野光雅さんが、26人の画家を紹介するエッセイです。

安野さんの絵本にはあまり文章がありません。
「絵」そのものの力で子どもも大人も夢中にさせてしまいます。

そんな安野さんイチオシの画家たちは、
一体どんな絵を描き、どんな人生を生きたのでしょう。

画家本人には会えなくても、美術館などで彼らの作品に会うことはできます。
この本を読んでから作品を見に行くと、感慨もひとしおです。


番外編

観察力を磨く名画読解

著・エイミー・E・ハーマン  訳・岡本由香子  出版・早川書房


「名画」とありますが、絵画の解説本ではありません。
この本の目的は「目という驚異のコンピューターを使って、情報収集能力、思考力、判断力、伝達力、質問力を向上させること」(同書14pより引用)です。
アート分析は、その目的のための手段になるのです。

本を読み進めていくと、私たちの知覚能力を試すテストが次々に出てきます。
そのテストは著者が自身のセミナーで実施したもので、すべてアートが題材です。
セミナーの受講者は、ニューヨーク市警をはじめ、FBI、アメリカ陸海軍、連邦保安局など錚々たるメンバー(すごすぎる!)。
そんな猛者たちが著者から受けた訓練を、本を読みながら体験できます。

私は絵画鑑賞がとても好きですが、本当に絵画をきちんと「見る」ことができていたのか、思わず考えてしまいました。
あなたには「C」が見えているでしょうか。


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