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ロイス・ワインバーガーの植物アートでの問いかけ

ロイス・ワインバーガー(Lois Weinberger,1947-2020/オーストリア) 概念芸術のアーティスト・詩人、また、農業・園芸家だ。
そして、生態系や環境問題のあり方に揺さぶりをかけた作品を早期から制作していた。
芸術と自然に関する、新たな議論に大きな貢献している。
(例)ドクメンタX(documentaX kassel-1997):その内容は、放棄された列車のプラットフォームに、ヨーロッパ南部および南東部から100メートルの植物を植栽。
Gleis 1 von Lois Weinberger in Kassel Hauptbahnhof

略歴-Lois Weinberger
1947年、シュタムス-オーストリア生まれ。チロル地方の山間にある村の農家に生まれ、両親の仕事を手伝いながら鉄骨工などの職に就いた。1970年以降、ロイス・ワインバーガーは、自らを農業労働者と認識のもと、自然と文明の空間を芸術的に探究するための土台となる民族詩的な作品を開始した。そして、70年代後半からは、アーティストとしての活動も本格的に行っている。作品には「断片的な目録」「Ruderal *Vegetation(荒地の*植生)」等・・
ウィーンの自庭で育てた荒地植物(いわゆる雑草)を各所に植えるガーデン・プロジェクトを皮切りに活動を行なっている。
1991-1992年、ワインバーガーはワイルドキューブを設計する。ワイルドキューブは、人間の介入なしに自然な植生(*Vegetation)によって植林が行われるスチールゲート・エンクロージャ(囲い)だ。(RUDERAL SOCIETY-都市空間のギャップ)
1993年、 "BRENNEN und GEHEN":フェスティバルシーズン中にザルツブルクのシーンの前の広場でアスファルトを引き裂き、この8×8mのフェンスで囲まれたエリアを独自のデバイス(案件)として残した。
1997年、*ドクメンタXに選出(註-参照)この作品は2015年から復元され、カッセルの芸術作品として残る。
2009年、*ヴェネチア・ビエンナーレ(第53回)-(註)参照
年、カッセルとアテネの*ドクメンタ14(documenta14 kassel)に招待されている。(註)参照
その他、ウィーン美術賞等他、多数、展示会を開催した。日本国内でも、ワタリウム美術館(エンプティ・ガーデン-1999/見える自然・見えない自然-2019)他、何度も展示がされておりご覧になった方も多いだろう。1993~94年、カールスルーエ工科大学(Karlsruher Institut für Technologie/ドイツの工業大学)の教授もされていた。
2020年4月23日、病(循環器)により逝去された、72歳だった。ご冥福をお祈りしたい。
2020年8月29日-11月8日、水戸芸術館現代美術ギャラリーで、人間と環境のつながりを考える-「道草展:未知とともに歩む」が行われている。
その解説は「異常気象や環境汚染など、人間と環境のつながりやそのあり方が問われる現在。こうした社会的意識の高まりを背景に、植物への関心やフィールドワークから生まれた作品を展覧する。」-部分引用:水戸芸術館
この遺作展を通じて、そのロイス・ワインバーガーの理念は生き続けいていくだろう、それは、生態系、環境問題を含めて、ロイス・ワインバーガーは、これからも時間軸に、その変化が刻まれていくという事だ。

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(c)Lois Weinberger

(註)
・Vegetation(植生):ある地域に集まって生育している植物の集団:ワインバーガーは、そこで、野生の成長と雑草の価値を追求している。
・ヴェネチア・ビエンナーレ(第53回-2009):オーストリアパビリオンのジャルディーニに堆肥の山を作り、自然植生のための構造を持つスペースの制作を行う。
・ドクメンタX(documentaX kassel-1997):放棄された列車のプラットフォームに、ヨーロッパ南部および南東部から100メートルの植物を植栽。
・ドクメンタ14(documenta14 kassel-2017):カールサウエ(カッセル)の公園で、遊歩道の間の雑草に「難民キャンプ」を開くため、芝生に長いスワス(Swath/芝刈り)を描きました。一方、アテネでは、ワインバーガーは、家族の歴史の伝記(両親の農場にあった物)と雑草をショーケース展示した。

LOIS WEINBERGER

LENTOS - LOIS & FRANZISKA WEINBERGER

(追記)エネルギーの最小の形態は、シャボン玉の丸(球体)、それは、地球の今、向かっている姿だろう。生態系や、環境問題、具体的には、温暖化や、その為に出来上がってしまった、日本から、ユーロ圏への北極の航路の開設、そして、多くの災害や、外来植物等々ある。そこへ、ロイス・ワインバーガーは、その作品によって、揺さぶりをかけた事は確かな事だろう。ご冥福をお祈りしたい。


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