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フェリックス・ゴンザレス=トレスのミニマルアートは実体験だ

フェリックス・ゴンザレス=トレス(Felix Gonzalez-Torres, 1957-1996)
キューバ生まれのコンセプチュアル・アーティストだ。ミニマルアート、コンセプチュアルアート(概念芸術)を作品化した。
トレスは工業的な素材を扱う、、電球、時計、山積みにした紙片やキャンディー、そして、電球・紙の束などを使ったミニマルアートやミニマル・インスタレーションの彫刻作品が著名だ。
 フェリックス・ゴンザレス=トレスの作品の多くは、エイズで亡くした恋人の永遠の不在によって、逆説的に照射される生と自分もエイズでの死の予感が伝わる・・・
そのキャンディーや紙の束を観客に持ち帰ってもらい作品自体が消えていくことで死の過程を暗示している・・・
作品には、LGBTやエイズ体験からの苦難を反映した、ミニマルアートが多い。

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Untitled(Placebo-偽りの薬)1991

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Fig.Venice Biennale 他

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Untitled (Perfect Lovers)-完璧な恋人

(c)Felix Gonzalez-Torres

略歴
1957年、キューバのグアイマロ(Guáimaro)で生まれる。その後、14歳で妹グロリアと共に、スペイン、マドリードの孤児院に預けられ、その後、プエルトリコへ渡る。
1976年、プエルトリコで、美術を学び、そのプエルトリコのアートシーンに積極的に参加して、キャリアを積む。
1979年、ニューヨークに移り住む。
1981年、プラット・インスティテュート(Pratt Institute/工学、建築、ファインアート)を卒業。
1983年、ホイットニー美術館のインディペンデント・スタディー・プログラムで学ぶ。また、ニューヨーク大学の国際写真センターでMFAを取得した。
1987年、アート・アクティヴィスト・ユニット「グループ・マテリアル(Group Material)」に参加。そこから芸術家としてのキャリアを大きく伸ばしていく。このグループは、政治やジェンダーを問題としていた。(教育や文化活動などの共同作業を行う美術家集団)
1990年、アンドレア・ローゼン画廊で初個展。ロサンゼルスに移り、カリフォルニア芸術大学で教鞭をとる。
1995年、グッゲンハイム美術館で大規模な回顧展
1996年、マイアミにてHIVにより死去する、38歳と夭折だった。

その後も2000年のロンドンとニューヨークの回顧展、2007年のベニス・ビエンナーレの展示などで国際的に注目を集め、現代美術の重要な作家として著名だ。
1987年から本格的にアーティストとしての活動を展開する、それは、30才を過ぎてから、ジョセフ・コスース(Joseph Kosuth, 1945- US)やローレンス・ウィナー(Lawrence Weiner, 1942- US)から影響を受け、ミニマルアートやコンセプチュアルアートの系譜を引き継ぎ、そこに時間や関係性で変化する生成や腐敗の要素を取り入れた、独自の作品を展開させていると言うことだろう。

Felix Gonzalez-Torres / US Pavilion, Venice Biennale 2007

Felix Gonzalez-Torres

(註)フェリックス・ゴンザレス=トレス作品は、多岐に渡りますが、このコラムは、基本短文でイメージからの受け渡しをしたいので、今回は、このキャンディーに焦点を当ております。暗く辛い幼児体験から、カリフォルニア芸術大学で教鞭を取るまでには、どれだけの苦難があっただろう、そして、夭折だったのだ・・



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